富士市役所
新しい働き方で市民サービス向上と職員満足を
実現するワークプレイス改善の取組

富士市では、令和4年度から「ワークプレイス改善」の取組を開始しました。本事例の最大の特徴は、職員発意のボトムアップで「ワークプレイス改善」が遂行されたことです。取組の中心となった、富士市 総務部 行政経営課 課長 小山直樹様、同主幹 前田澄様、同主幹 杉本真未様、同主査 山田尊文様に取組の背景や経緯、効果などをうかがいました。
富士市の「ワークプレイス改善」は、行政経営課メンバーの「働きやすい環境を整備し、新しい働き方を実践したい」という声から始まりました。
①働く環境の改善、②業務効率の向上、③市民サービスの向上の3つを目標に掲げ、令和4年11月に全庁的なプロジェクトをキックオフ。
以前の執務スペースは、①狭い、②不要な書類が多くキャビネットに収まりきらない、③組織改編や人事異動のたびにキャビネットや事務机等の移動が必要でコストがかかる、④会議室の慢性的な不足、といった課題を抱えていました。これらの課題解決に向けた取組を進めたほか、全庁的なレイアウトの見直しにより「職員にとって働きやすい」「市民にとってわかりやすい」庁舎を目指しました。
その一環で、フリーアドレスのパイロットオフィス(8階)と職員向けの多目的スペース(10階)を設置。
行政経営課 課長の小山様を中心にプロジェクトのコンセプトを取りまとめ、内田洋行およびパワープレイスがオフィス空間の設計・施工を行いました。
屋上からの景色
屋上 希望の鐘
8階 フリーアドレスオフィス(総務部 企画課・行政経営課・シティプロモーション課)
10階 フレックススペース
行政経営課 課長小山 直樹 様
ワークプレイス改善の取組は、3つのステップを経て実施されました。
ステップ1(令和4年11月~)の目標は、不要な書類を処分し、スペースを確保することでした。「現存のキャビネットの4割削減を目標に掲げ、約800台のキャビネットの廃棄を実現しました」と小山様。廃棄した文書はなんと25トン。これにより、文書の電子化・共有化、整理整頓の徹底も目指しました。
ステップ2(令和5年6月~)の目標は、ステップ1によって生み出されたスペースを活用して働きやすく機能的な庁舎レイアウトに変更することでした。具体的には、各部署のスペースや会議室の整理を行い、また、「新しい働き方の実践」としてフリーアドレスの試験導入(8階)や職員向け多目的スペース(10階)を設置しました。
行政経営課 主幹前田 澄 様
ステップ3(令和6年4月~)では、さらなる書類の電子化・共有化、省スペース化を継続して実施中です。また、これまでの取組の評価・検証を行い、他フロアのワークプレイス変革にもつなげていく考えです。
苦労したのはステップ2における各部署のスペース再配置でした。以前は、組織再編や人事異動のたびにスペースの増減を繰り返し、空きスペースを求めて移動するうちに、各部署が別の階に散らばっていました。そこで、関連性の高い部署は1か所に集め、市民対応の多い部署は低層階に、業者対応の多い部署は高層階にするなど機能性を重視して再配置しました。「各部署に説明し理解を得ながら約2年間かけてようやく再配置ができました」と前田様。
今回のワークプレイス改善では、8階の企画課、行政経営課、シティプロモーション課の3課共用のフリーアドレスを導入。執務スペースのほかに、リフレッシュエリア、打ち合わせエリア、作業スペースなどを設置しました。
来庁者対応エリアには、カウンターだけでなく、セミクローズブース、クローズブースを設け、来庁目的に合わせて使い分けられるようになっています。
8階 通路側から見た執務スペース
文具など消耗品を集中管理できるマグネットスペースも確保。以前は3つの課が同じものをそれぞれ保管していましたが、1か所に集中したことで省スペースになっただけでなく無駄な在庫が不要になりました。同時に、ペーパーレスを徹底したことでファイルなどの文具の消費量も激減しました。
フリーアドレスについては、たとえば「前回と同じ席には座らない」「退勤時には机の上を片付け、拭いてから帰る」「私物は個人用ロッカーに片付ける」など運用マニュアルを作成し共有。事前周知が功を奏して、よく守られています。
8階 リフレッシュテーブル(ハイタイプ)
8階 ミーティングブース(セミクローズ)
リニューアル前は執務エリアだった10階北側は、休憩・会議・ソロワークなど職員が自由に利用できる「フレックススペース」として大規模な改修を行いました。フレックススペースのうち約半分は、食事や休憩のほかミーティングやソロワーク等にも使える予約不要の「オープンエリア」となっています。
以前は、職員は自席で昼食をとったり休憩したりしていましたが、カウンター越しに来庁者から見えるため、安心して休息できませんでした。新しくできたオープンエリアは入口にセキュリティゲートを設置した職員専用のスペース。富士山の素晴らしい眺望を楽しみながら自由に過ごすことができます。特に昼休憩の時間帯は、職種や年齢を問わず多くの職員が利用。食後にリラックスしたり、部署の異なる職員同士で会話を楽しんだり、思い思いの方法で休憩をとっています。
10階 フレックススペース〈オープンエリア〉
テーブル席(カフェテリア風)
BIGテーブル席
通路側目隠し(杉ルーバーパネル)
ソファ席(ファミレスタイプ)
クローズエリア(会議室エリア)には、大小さまざまな会議スペースが配置されています。以前は20席程度の大きな会議室しかなく常に会議室不足でしたが、利用実績を調べると、2人や4人程度の面談や打ち合わせが多く、大きな会議室はそれほど必要がないことがわかったため、4席~8席の小規模打ち合わせブースを新設しました。クローズ、セミクローズのブースがあり目的に合わせて選択が可能です。
基本的には予約が必要ですが、思いついたときにいつでも使えるよう予約不要のオープンミーティングブースも設置したことで、「会議に対するハードルがかなり低くなった」(小山様)、「コミュニケーションの機会が増え、職場の活性化につながっている」(杉本様)と評価しています。
10階 フレックススペース 〈クローズエリア〉
大会議室(20名)
クローズ会議ブース(4名)
セミクローズ会議ブース(8名)
フリーアドレス導入による効果としては、
① 無駄なスペースをなくしたことで、打ち合わせやリフレッシュスペースができ、働きやすくなった
② 打ち合わせがしやすくなり、また短時間で効率的に行えるようになった
③ 他部署との交流が増えたことで、他部署の職員のノウハウを共有できるようになった
④ コミュニケーションが活発になり執務室全体の活気が増した
⑤ 思い切った文書廃棄によってペーパーレス化が大幅に進んだ
⑥ 消耗品やプリンターなどを複数課で共有でき、無駄なコストが削減できた
⑦ 整理整頓の習慣が根付いた
などが挙げられます。
職員を対象に行ったアンケートでも、「コミュニケーションが活性化した」「ICT活用が進んだ」など、オフィスリニューアル前よりも満足度が上昇。また、93%の職員が、「このオフィスで働くことに誇りを感じている」と答えています。
当初は、オフィスが変わることに対し抵抗感を持つ人もいましたが、実際に運用が始まると「思ったほど大変ではなかった」「変わって良かった」という声が挙がっています。
8階 ミーティングブース(クローズ)
行政経営課 主幹杉本 真未 様
今回、大きな反対もなくスムーズにプロジェクトが進行できたのは、「行政経営課からの押し付けではなく、各課の理解と納得を得た上でプロジェクトを進めたことが奏功したのでは?」と杉本様。
フリーアドレスの導入にあたっては、各課の若手を集め、「フリーアドレスとは何か」「ありたい姿」「欲しい機能」などのテーマでワークショップを5回開催。意見の多かった「フレキシブルで多様な働き方」「メリハリをつけた働き方」「壁のない(ボーダレスな)働き方」などを反映しプランを作成。レイアウトは各課の意見を聞きながら何度も修正しました。
行政経営課 主査山田 尊文 様
文書やキャビネットの廃棄やレイアウト変更に伴う執務場所の移動は、職員にとっても負荷がかかる作業でしたが、「それによって、より広い執務スペースや職員全体が使えるリフレッシュスペースができると、明確な完成イメージを示したことで、大きな不満は聞かれなかった」と山田様。
職員発意で進められた今回の「ワークプレイス改善」。今後の変更にも職員自身で対応できるように、レイアウトは4人用テーブルと椅子を1ユニットとしたグリッドレイアウトとなっています。レイアウトを変更したいときは、ユニットごとパズルのように動かせばよく、床下配線もグリッドに合わせて事前に設置しているので、レイアウト変更のたびに配線工事をする必要がありません。
8階 執務スペース(ハイテーブル席)
8階 レイアウト
10階 レイアウト
「キックオフから3年かかったが、ほぼ当初描いた理想どおりのワークプレイスが完成できた」と小山様以下4名は満足しています。「職員の満足度向上は市民サービスの向上にもつながる」と杉本様。今後も検証・改善を繰り返し、成功事例を参考に、他の部署にも展開していく考えです。

富士市役所様
所在地
〒417-8601
静岡県富士市永田町1丁目100番地

