三鷹市役所
市民も職員も幸せになれる窓口を目指して
市税総合窓口とフリーアドレスで窓口改革を推進
1F


2F


空間デザイン、内装工事、什器備品、別製家具
東京都のほぼ中央に位置し、古き良き“武蔵野”の面影を残す三鷹市。「井の頭恩賜公園」や「野川公園」をはじめとする豊かな自然が残り、都市と緑が調和する「緑と水の公園都市」です。
「三鷹」の地名は諸説あるものの、江戸時代に三つの幕府直轄地にまたがる鷹狩の場が存在したことに由来。当時から、甲州街道と並走する人見街道や一帯を代表する連雀通りを人々が行き交い、明治時代に入ると徐々に都市化が進んでいきました。その後1930年には現JRの三鷹駅が開業し、1940年に町制、1950年に市制が施行され、現在は人口19万都市となりました。
多くの文化人が暮らし、中でも太宰治は30歳で移り住み『走れメロス』『斜陽』『人間失格』などを発表。さらに、世界中から愛される「三鷹市立アニメーション美術館(三鷹の森ジブリ美術館)」は年間を通じて多くの観光客でにぎわいます。
市内にはJR中央線・総武線、京王井の頭線も通り、東京や新宿、渋谷へのアクセスも良好。国立天文台三鷹キャンパスをはじめ、多くの学術・研究機関が存在することでも知られています。
- 分散した窓口による市民の手続の不便さ
- 紙の資料を収納するキャビネットやボックスが空間を圧迫
- 会議や研修のための部屋が不足
税3課の窓口を一つに集約させた「市税総合窓口」にはコンシェルジュを配置
三鷹市役所は2024年9月末に税3課(市民税課、資産税課及び納税課)を一つに集約させた「市税総合窓口」を開設。さらに市民課と共に、執務スペースにフリーアドレスを導入しました。
背景には、民間企業の先進事例を取り入れながら、時代に即した市民サービスの向上や職員の働き方改革を積極的に促進する市長の方針があります。さっそく庁内で検討が始まり、特に来庁者への窓口対応が多い市民課と税3課からリニューアルすることになりました。
まずは現状の問題点を洗い出し、市民課では職員の動線確保とペーパーレスに着目。実際に課内では紙業務が多い上に、次々と広報用のリーフレットや申請書類が増え、管理のために設置したキャビネットやボックスが空間を圧迫していました。
また、税3課では窓口が分散しており、市民の手続の不便さが指摘されていました。「どこを訪ねたらいいのか分からない」「複数の窓口を利用する必要があり、それぞれで待たされる」といった声が寄せられ、職員も対策の必要性を感じていました。
しかも庁舎自体が1965年の竣工と古く、会議や研修のための部屋が不足し、職員の増加に伴うデスクの追加も困難な状況でした。
これらの課題を解決するため、税3課では若手職員を中心にワークショップを開催。各自が「理想の職場」を語り合い、出てきたアイデアを反映させたのが今回のプロジェクトです。
税3課の窓口を一つに集約させた「市税総合窓口」にはコンシェルジュを配置
アイデアの具現化にあたり、パートナーに選んだのは過去に什器レイアウト調査を行ったことのある内田洋行。担当職員は都内のショールームを訪れ、集中を促すデスクやデジタル管理された会議室を見学するとともに、内田洋行がフリーアドレスの導入を支援した都内の自治体の事例について説明を受けました。併せて近隣自治体も視察し、打合せスペースや可動型什器の活用方法を中心に知識を深め、リニューアルの構想を固めていきました。
その中で市民課が最も重視したのは「業務フローを“三線方式”で再構築すること」。第1線は市民と接する窓口業務、第2線はシステムへのデータ入力業務、第3線は審査や確認業務とし、人と書類がスムーズに流れるレイアウトを内田洋行と一緒に検討しました。
また、同課は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001を取得しており、リニューアル後も適切に運用しつつ、ペーパーレスを実現する仕組みづくりに注力。同じくセキュリティに関連し、窓口業務の委託事業者の作業エリアを椅子や床で色分けして可視化する方法も考案しました。

様々なミーティングにフレキシブルに対応
繁忙期には臨時的に任用する職員の業務スペースに
- 「市税総合窓口」の開設とコンシェルジュの配置により「回らない窓口」を実現
- フリーアドレスとミーティングスペースの拡充で、職員の働き方を改革
- ペーパーレスを促進し、保管スペースを有効活用
税3課では市民の手続が効率化するよう、3か所に分散配置されていた従来の各課窓口を一本化し、税に関するあらゆる相談や申請に対応できる「市税総合窓口」にリニューアル。さらにコンシェルジュを配置することで、用件の確認など、来庁者をサポートし、円滑な案内・誘導を実現しています。
また証明書発行と申告・相談の窓口を分けることで待ち時間を削減し、複数の税目や課税と納税双方の手続がある場合でも、ワンストップで手続が完了する「回らない」窓口サービスを目指しました。市民からは「手続がスムーズになった」「迷わずに手続ができる」といった声が寄せられています。
併せてプライバシー保護の観点から、窓口に目隠し用のL字型パネルを導入。窓口を集約して生まれた空間を活用してキッズスペースも確保した待合スペースを新設したことにより、安心して相談に臨めると好評です。
市民課では、“三線方式”による業務フロー再構築と、執務スペースのフリーアドレスを推進。フリーアドレス導入においてデスク規格を統一し、動線を明確化しています。
4課の執務用デスクにはモニターレール付のものを採用。モニターを机上面から浮かせて設置できるので、テーブル机上面を有効活用でき、執務しやすい環境を実現しています。
落ち着いた相談スペースを配置
L字型パネルを導入した相談窓口さらに執務スペースに6人掛けの“ファミレス席”を用意。外部から見えにくく、職員が打合せに専念できる環境を整えるとともに、内田洋行の提案で大型ディスプレイを設置しました。資料を映して職員間で共有できることから紙の印刷を低減、デスクモニターの設置とあわせてペーパーレスを進め、課題であった収納スペースのスリム化を達成できたことも特筆すべき成果です。
また、2Fにはフレキシブルにレイアウト変更できるミーティングテーブルを採用。ミーティングの規模や内容に応じて配置できることから、様々な会議や研修などが行えるため、コミュニケーションの活性化が進んでいます。さらに繁忙期には臨時的に任用する職員の業務スペースとすることなど、柔軟に活用できるスペースとなっています。
職員へのアンケートでは「業務に応じて作業効率が上がる席を選べるようになった」「職員同士で気軽に話せるスペースができて便利」との声が70%近くに達し、課を越えた係長同士が自主的に定例会を開催するなど部署を越えた連携も生まれています。今回のプロジェクトを通してコミュニケーションが活性化し、課長職を筆頭に「できない理由を探すより、どう実現するかを考える」という前向きな姿勢が職場全体に広がり、各自の当事者意識が高まりました。
6人掛けの“ファミレス席“と大型ディスプレイ
色分けされている委託事業者の作業エリアbefore

after

1F 改修ポイント
- マークデスク規格を統一し動線を明確化
- マークカウンター業務を三線分離
- マーク委託事業者の位置を色分け(椅子・床)
- マーク職員用ミーティングスペースの充実
before

after

2F 改修ポイント
- マーク窓口を一本化(総合窓口)
- マーク税3課の窓口担当は当番制
- マーク待ち合い/キッズスペースを確保
- マーク職員用ミーティングスペースの充実
リニューアル後、導入課では自治体の新しい働き方やこれからの執務環境について、多くの自治体でアドバイザーを務める京都工芸繊維大学の仲隆介名誉教授による研修を開催。庁舎の空間デザインや働き方改革が行政サービスの新たな展開につながるという、職員への意識づけを行いました。また、職員を市民役にしての窓口利用体験調査を実施し、動線の変化や待ち時間の検証を重ねてさらなる改善に取り組んでいます。
引き続き業務プロセスの見直しやペーパーレスに取組み、効果検証の結果によっては他部署への横展開も検討。空間整備や働き方改革を進めるとともに、窓口DXの推進も含めて既存の庁舎を活用しながら実現できることを模索しています。とくに、窓口業務改革(BPR)については、デジタル庁の窓口BPRアドバイザー派遣事業を活用し、市民と職員の双方にとって負担の少ない快適な窓口を実現することを目指しています。
「市税総合窓口」の設置や、市民窓口部署のフリーアドレスは全国的にも珍しく、近隣他自治体の視察も相次いでいます。
市民も職員も幸せになれる窓口へ─三鷹市の挑戦はこれからも続いていきます。
1F 執務室内
フリーアドレスに最適なモニターレール付デスク
2F 執務室から見た窓口
2F 来庁者から見た執務室
2F 集中ブース
2F 待合/キッズスペース

