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【食品工場長向けコラム】 製造委託先の帳票管理について

2024/1/18 [食品,コラム]

今回の食品工場長向けコラムは「製造委託先の帳票管理について」と題して、他社に製造や配送を委託する場合、万が一トラブルが発生した際に原因をすぐに特定できるように数値管理や記録の自動化を行うことの重要性についてお話します。

直ぐに確認できるか

2023年のクリスマスに、大手百貨店のクリスマスケーキが崩れてお客様のところに届き、SNS(Social Networking Service)上で大きな問題になりました。製造を委託した百貨店の会見では、原因不明と報告されています。

商品を企画し製造委託する場合や、製造に必要な原材料、包装資材などを仕入れる場合は、原材料からお客様に届くまでの管理すべきハードルの項目、ハードルの高さ、ハードルの幅を企画時に設計し、必要な記録・帳票を設定すべきです。

理想的には、製造時にハードルの高さ、幅を帳票にボールペンで記入するのではなく、自動記録計を利用し、自動的に製造記録がクラウド上にアップできるようにすべきです。

自動記録ができない場合でも、製造状況をカメラで自動記録し、ライブまたは録画で記録できるようにすべきです。

崩れたケーキがあるとお客様から連絡を受けた時に、直ちにクラウド上で確認できる事が大切です。トラブル発生後に工場に連絡し、帳票を集め、ファックスで送付してもらうような状況は避けるべきです。

トレースバックができるか

ケーキが崩れた原因が不明である場合は、ハードルを設定するときに、どうしたらケーキが崩れないようにすることができるかのハードル設計を怠ったことになります。

原材料からお客様に届くまでの自動記録がクラウド上に記録され、いつでも製造確認ができる事が重要なのです。

ケーキが崩れないためには、24時間の凍結時間と-18度以下の環境が必要と設計されているのなら、ハードルの高さ-18度以下、ハードルの幅24時間以上という事が自動で記録されるか、あるいは凍結庫への入出庫時間や温度が映像として記録され、確認できる事が必要です。紙の帳票やタブレットの帳票に、作業者が入出庫時間や冷蔵庫の温度などを入力している帳票では、管理されていない事になります。

設計時には、冷凍庫の温度、ケーキの中心温度、ケーキの堅さの経時変化を自動記録し、冷凍庫の温度と堅さの関係を数値で説明できる理論理屈をもって設計すべきです。

包装資材も、配送時の揺れに対して必要な強度があり、振動計などの数値で説明できる設計値に対して、今回の振動がどうだったかの数値管理が必要になります。

あなたの委託先の管理は、直ちに確認することができますか?

製造委託先の帳票管理について

トラブル発生時に原因を特定するためのチェックポイント

  • トラブル時に直ぐに製造記録が確認できる
  • 原材料、包装資材までトレースバックできる
  • 原材料からお客様まで直ぐに記録が確認できる

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バイトテロを防ぐ従業員教育

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食品安全教育研究所 代表
河岸 宏和 氏

1958年1月北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、農場から食卓までの品質管理を実践中。これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハムソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け総菜工場、玉子加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。毎年100箇所以上の食品工場点検、教育を行っている。
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