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イベントレポート
2025.1.22

図書館とともにすすめる まち・教育・情報の未来
内田洋行「第26回図書館総合展2024」出展レポート

2024年11月5日から7日まで、パシフィコ横浜のホールCやアネックスホールで「第26回図書館総合展2024」が開催されました。内田洋行はこれに出展し、自社製品のデモンストレーションを交えたブースでの展示で来場者の注目を集めました。にぎわいを見せた会場の様子をレポートします。

会期中は1万2786人が来場。好位置を確保した内田洋行ブースには人影が絶えず

同展は「図書館関連で最大のトレードショー」「館種を超えた図書館界全体の交流・情報交換に最適の場」「学習環境・情報流通に関する技術と知見を発表する場」と称され、今年は3日間で延べ1万2786人が来場しました。企業や大学による72のブースが出展し、58のフォーラムが開かれるなど盛況を博しました。

そして今回、内田洋行のブースはエントランス付近、メイン通路沿いにあり、パシフィコ横浜に到着した学校・公立図書館関係者、出版社や書店の職員、学生など絶えず来場者が足を運んでいました。ブース内では、展示ソリューションを来場者自ら操作することも可能とし、「マイナンバーカード対応予約本貸出ロッカー」「VUEVO Display(ビューボ ディスプレイ)」を始め、楽しみながら最新のソリューションを体感していただきました。展示ソリューションの概要を、以下に紹介します。

図書館業務の効率化・利用者サービスの拡充

本を借りる、返す、読書履歴を記録する――。一連の流れをシステム化する「マイナンバーカード対応予約本貸出ロッカー」「自動返却機+読書通帳機」

ブースで最も注目されていたのが「マイナンバーカード対応予約本貸出ロッカー」です。すでに多くのメディアで取り上げられていることもあり、説明やデモンストレーション、体験の順番を待つ人もいたほどでした。

本製品は、予約された本を図書館外に設置されたロッカーに保管し、利用者はロッカーにマイナンバーカードをかざすことで、ロッカーから本を受け取ることができるソリューションです。国内初採用いただいた立山図書館では、利用者に「マイナンバーカードを使えるから便利」「予約した本を閉館時でも借りられる」といったメリットをもたらしています。もちろん、通常の利用者カードでも対応可能です。

また、並列して展示された「自動返却機+読書通帳機」は、返却機に読み終えた本を投函すると返却処理が行われ、同時に、読書通帳に記帳できるものです。これらのソリューションを組み合わせ、「本を借りる、返却する、読書履歴を記録する、再び借りる」という一連の仕組みの実現を提案しました。

「読書通帳機」は、内田洋行が国内で初めて実現したもので、全国の公共図書館のほか、小中学校の図書室とも連携して読書履歴を記録する事例もあります。子どもたちの読書推進の施策として、多くの図書館に採用いただいています。

「据置型リーダーライター・アンテナ」(HF帯/UHF帯)

図書館では、本に貼付したICタグを読み取るにあたりHF帯(High Frequency:短波帯)、またはUHF帯(Ultra High Frequency:超短波帯)のいずれかを選択します。両者の電波は、届く距離、金属と水分による影響、ICタグに書き込む情報の内容などが異なります。内田洋行は各図書館のレイアウトや蔵書数、運用方法をお聞きし、より適切な周波数帯の製品を提案しています。展示では、両者の電波を比較できるよう、リーダーライター機器を用いてその特徴をご説明しました。

蔵書点検・探索システム「YOMMON(ヨムモン)Ⅲ」(HF帯)

ICタグを活用した蔵書点検・探索システムの「YOMMON Ⅲ」。タブレットPC、ICリーダーライター、バッテリーを内蔵し、作業のたびに面倒なセッティングをしたり、わずらわしい配線を気にしたりする必要がありません。

特長は「多くのICタグを素早く読み込む」「読み取りの漏れが少ない」「アンテナ部が軽量で長時間の作業でも楽」「誤配架を発見できる」などです。誤配架を検知できるのは、ICタグ読み取り距離が限定的であるHF帯の特性を生かした、本機器の大きな特徴です。

ICタグ対応ブックトラック(HF帯)

また、ブースではHF帯アンテナを内蔵したブックトラックも展示しました。図書館内で読んだ本を戻す場所として指定したり、棚を使って展示コーナーを設けたりすると「どの本が何回にわたり手にされたのか」といったデータを集めることができ、利用者に人気の一冊が分かったり、新たな企画を考えたりするのに役立ちます。

大量の本をまとめて処理する「トンネル型リーダーライター」(UHF帯)

図書館では地域の小学校などに大量の本を貸し出す“団体貸出“があります。「据置型リーダーライター・アンテナ」では処理に時間がかかるため、代わりに力を発揮するのがUHF帯を利用した「トンネル型リーダーライター」です。
内径およそ50cm四方のトンネル内に入れた分のICタグを全て読み取ることができ、段ボールに詰めた本を台車に載せ、そのまま一度に処理することが可能です。

人の集まる場づくり

「WooD INFILL(ウッドインフィル)」で構成されたブース“がぬくもり”を演出

オフィス空間も手掛ける内田洋行の特徴を示すため、ブース全体を「Wood INFILL」で構成しました。 “ぬくもり”や“安心感”を醸し出す国産材や地域産材を使用し、パネル、ボード、シェルフなどを組み合わせ「Box in Box」と呼ばれる手法で空間の中にもう一つの空間を作ることができるソリューションです。提案にあたっては地域の森林組合と連携し、現地産木材を採用することも可能です。

建築躯体を傷付けたり、大掛かりな工事を行ったりする必要が無く、照明やプロジェクターも自由に設置できて配線を隠すことも可能です。図書館では、例えば展示・企画コーナーや子どものための読書スペースを設置するのに活用できます。

国内外の観光客の“入り口”でもある図書館に「VUEVO Display(ビューボ ディスプレイ)」

近年の図書館は「その土地の地理や歴史、文化にまつわる資料が豊富で職員も情報通」といった理由から、インバウンドを含む観光拠点の役割も果たしています。また、一部地域では外国人住民も増加していることもあり、リアルタイムに翻訳して字幕表示する「VUEVO Display」を提案しました。

この製品は、リアルタイムで会話内容の字幕・翻訳を、透明なディスプレイの両面に表示します。グローバルなお客様や聴覚障がいのある方とも相手のジェスチャーや表情を見ながら自然な対面コミュニケーションが可能です。日本語にも対応しているため、聞こえにくさを感じる利用者と、図書館職員との会話もサポートします。

活気のある情報配信サイネージ「Energy Wall(エナジーウォール)」

デジタルサイネージ「Energy Wall」は、画像や動画、テキストを投稿・設定すると、スクロール形式で自動再生される大型のタッチパネルディスプレイです。

一定時間ごとに各コンテンツの表示サイズが変動し、「いいね!」が多い高評価のコンテンツや、新着コンテンツが優先的にタイル状に表示され、多くの情報を同時に見ることができます。また、特定のメッセージを表示し続けることも可能です。

サイネージと合わせて、内田洋行ではコンテンツ制作も可能です。フロアガイドはもちろん、図書館が蔵書する古地図の資料をもとに、観光案内用の地図情報コンテンツを作成した事例も紹介しました。

「消費電力0W」での表示保持を実現した電子ペーパーディスプレイ「ePoster(イーポスター)」

紙のポスターを電子で掲示できる電子ペーパーディスプレイ「ePoster」。電子インクを用い、表示書き換え時以外では電力不要で画面を維持できるのが最大の特長です。「高い省エネ性」と「電源ケーブルレス」を実現します。

屋外など電源の無い場所への設置も可能なため、図書館で開催される月間イベントの案内や、乗り入れるコミュニティバスの時刻表としても活用できます。「デジタルサイネージを導入したいけれど、予算や設置環境が限られている」「ハードの故障や停電・通信異常によるトラブルが怖い」「紙のPOPやポスターは消費が激しい上に張り替えも面倒」といった悩みを解決します。

人と人、人と本をつなげるIT図書館システム「ULiUS(ユリウス)」

これまで紹介した「マイナンバーカード対応予約本貸出ロッカー」「YOMMON Ⅲ」「Energy Wall」など、各ソリューションの総称がIT図書館システムの「ULiUS」です。

「ICT技術とデザインで『空間』『時間』『世代』を『つなげる図書館』をプロデュース」をコンセプトに掲げ「人と人をつなぐ居心地の良い場創り」「本と人をつなぐより使いやすい、利便性の高いシステム」「人と情報をつなぐ効率よい、利便性の高い、コストパフォーマンスに優れたシステム」「本と情報をつなぐ基本的なインフラ」を提供します。

図書館は従来の「地域の人が集まる施設」から「多様なニーズに『ICT』『デザイン』で応えられる場」へと変わりつつあります。その変化にどう対応するのか、図書館と一緒に考えられるのが内田洋行の強みです。

職員の皆様とともに、図書館のさらなる発展に向けて活動をしてまいります。是非お問い合わせください。