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住民サービスの向上や業務効率化につながる最新技術に触れようと、市区町村や都道府県の職員をはじめ毎年7000人以上が訪れる「地方自治情報化推進フェア」。2024年も10月9日と10日に幕張メッセで行われ、内田洋行もおよそ125の企業や団体と共に出展しました。当社ブースでは「人が主人公となる“これから”の自治体DXを目指して」をテーマに、いま地方自治体で求められる多様なソリューションの展示を行い、多くの自治体職員に来場いただきました。その盛況ぶりをレポートします。
目次
- 出展者中最大のブース規模
- デジタルと空間の両面から住民接点を充実させ、庁舎空間を手続の場から協創の場へーウチダの「自治体フロントヤード改革」
- 職員の業務効率化を図る「自治体内部事務DX」
- 誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指して地域一体化の基盤づくりを支援する「地域福祉・地域包括ケアの推進」
- 自治体内部で蓄積されたデータを活用して業務を支援する「生成AI活用」
- 「自治体ゼロトラストアーキテクチャー」を見据えた情報セキュリティソリューション
- DX人材の育成・組織づくりための「自治体デジタル人材育成」
- 子どもたちがより豊かに育っていく地域づくりを実現する「こどもデータ連携による子育て・教育DX」
- テーマ別に“見どころ”を紹介するミニセミナーは立ち見が出るほど
出展者中最大のブース規模
日本有数の規模で開催される同フェアにおいて、ひときわ活気づいていた内田洋行のブース。自治体DXのさらなる推進を支援する製品・サービスを展示し、デモンストレーション形式でも披露しました。全出展者中最大の規模となった他、首都圏の主要駅に展開している「大型看板広告」と連動したブースデザインも相まって、多くの自治体職員が引き寄せられるように足を止めていました。
本年の出展ではテーマごとにブースを7つのエリアに分け、様々なソリューションを紹介しました。
デジタルと空間の両面から住民接点を充実させ、庁舎空間を手続の場から協創の場へ―ウチダの「自治体フロントヤード改革」
マイナンバーカードやデジタルを活用して住民接点の多様化・充実化を図り、庁舎空間を単なる手続の場から変革を図る「自治体フロントヤード改革」。内田洋行はデジタルとリアルの両面から自治体フロントヤード改革の対応をワンストップで提供できる企業として、ブース内に庁舎ロビーを再現するユニークな展示を行ない、ウチダの「自治体フロントヤード改革」を提案しました。
自治体フロントヤード改革で特に重要となるのがマイナンバーカードの活用。展示した「マイナンバーカード対応記帳台」はカード内にある氏名や住所の情報を読み取り、住民票や転入届の申請書に反映して自動出力する全く新しい記帳台です。
すでに全国で多くの自治体に採用され、「書かない」を実現するとともに、担当職員にも「案内業務が減った」「手書き文字の読み間違いが無くなった」といったメリットをもたらしています。
「マイナンバーカード対応記帳台」の横には、図書館の閉館時にも同カードを活用して予約した本を借りることができる「マイナンバーカード対応予約本貸出ロッカー」が設置されました。優良事例としてデジタル庁のサービスカタログにも掲載され、多くの職員が実際にロッカーの操作性を体感していました。
また、住民の「行かない」を実現する「オンライン申請システム クラファス」の他、「待たない」を促進する窓口案内システム「MSボイスコールNEO」や遠隔相談窓口システム「LiveOn Call」に加え、支払い手続をスムーズにするキャッシュレスセミセルフレジ「BCPOS」も紹介していました。
さらに、会話をリアルタイムにテキスト化して透明ディスプレイに表示させるサービスも案内。窓口での聴覚障がい者や難聴者との意思疎通を円滑にする上に100カ国語以上の翻訳が可能で、インバウンドや外国人住民への対応を進める自治体の関係者も興味を示していました。
これらデジタルの活用を進め、窓口の機能を集約することにより、空いた空間を住民との場に変換することが可能となります。ブースでは実際に、庁舎ロビーを模したスペースに様々な家具を設置して、住民との協創の場を具現化。ICTだけでなく、空間レイアウト設計からオフィス家具導入までをワンストップで提供し、住民にも職員にも居心地のよさをもたらせる内田洋行ならではの提案が行われました。
自治体内部事務の業務効率化を図る「自治体内部事務DX」
自治体業務の効率化を進めるうえで欠かすことのできないソリューションを集めたのが「自治体内部事務DX」のエリアです。
その中心となるのは、40年以上にわたり自治体システムの導入やサポートに携わっている内田洋行が現場で培ったノウハウや職員の意見を集積させて開発した「e-ActiveStaff総合内部情報」シリーズです。
電子決裁基盤をベースに、財務会計、契約管理、文書管理、人事給与、庶務事務など、自治体内部事務業務をオールインワンで提供可能なシステムパッケージで、中小規模自治体を中心に全国で多くの団体に採用されています。また人事評価システム「ざいなる」やGMOサイン電子契約、文書自動配信サービス「 AirRepo(エアレポ)」など、数々の連携ソリューションも取りそろえ、自治体内部事務の全てをデジタルで完結するコンセプトが提案されました。特に、現在多くの自治体で導入の検討が進められている文書管理や電子決裁のデモコーナーでは、時に順番待ちが発生するシーンもありました。
実際に「AirRepo」のデモを見た来場者は「郵便・FAXのコスト削減だけでなく、印刷や封入に係る業務の効率化も期待できる」といった説明に聞き入っていました。
誰もが便利で快適に暮らせる社会基盤づくりを支援する「地域福祉・地域包括ケアの推進」
「地域福祉・地域包括ケアの推進」エリアでは、情報システム標準化・共通化が進められている「福祉総合システム」に加え、「絆Core地域包括支援センターシステム」が紹介されました。
日本が社会保障費を維持していくには、高齢者が在宅で健康的に暮らすことが不可欠です。彼らを支えるのが各市区町村の地域包括支援センターであり、その取り組みを内田洋行は「絆Core地域包括支援センターシステム」でサポートしています。直営型と委託型の双方を支え、住民基本台帳の内容にも連携してスムーズな情報共有や生産性向上に貢献します。
会場では「既存のシステムは各業務の情報連携や住基連携に課題がある」といった相談が寄せられた他、全ての団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年、団塊ジュニア世代も65歳以上になる2040年を前に、早急に対策を立てたいとの声も聞かれました。
自治体内部で蓄積されたデータを活用して業務を支援する「生成AI活用」
自治体が安心・安全に使える生成AIとして内田洋行が提供しているのが「Mµgen(ミュージェン)GAI」。組織内ネットワークを相互接続するための通信基盤・LGWAN上で稼働し、議会答弁の議事録や住民の意見などインターネット上に公開されていない情報をはじめ、庁内に存在する様々な記録やデータを学習します。そして職員の指示や質問(プロンプト)に応じ、各自治体の様式に従って適切な文書を生成します。
AIが何を参考に回答したのか情報源も確認でき、プロンプトがより的確になるよう提案する機能も。記憶があいまいでもキーワードを入力すれば関連する写真やグラフ、新聞記事などを提示し、業務効率化を助けます。
また「公務員専用AIマサルくん」も展示。ChatGPTに行政情報を学習させた、公務員専用のChatGPTで、全国271の自治体職員に広がり、20万回以上利用されたAIを、多くの職員が実際に体験していました。
「自治体ゼロトラストアーキテクチャー」を見据えた情報セキュリティソリューション
情報化の推進と切り離せないのが情報セキュリティの強化です。ブースでは「ゼロトラストアーキテクチャー」を見据えた様々な製品を紹介。特にサイバー攻撃の標的になりやすい職員のパソコンなど、エンドポイントの対策として「AppGuard」が展示されました。
OSやシステムの大事な部分に近づくコマンドやプログラムの善悪を判断せず、「全てを『拒否』して例外で『許可』する」守り方で、攻撃者が侵入しても目的達成できない仕組みを構築。内田洋行ではLGWAN向けサービスを提供し、多くの自治体で採用が進んでいます。
また通信経路だけでなく、VPNを経由して取り扱ったファイルのセキュリティまでも確保する全く新しいSSL-VPNリモートアクセスソリューション「LOCK STAR-Sgate」や、検疫しながら多段階での確実な認証を実現する「JinCreek」など、デジタルの活用を支えるためのネットワーク・セキュリティソリューションも紹介されました。
DX人材の育成・組織づくりための「自治体デジタル人材育成」
自治体DXの実現には、各自治体のデジタル戦略に則したDX人材育成・組織づくりにおける一貫した取り組みが必要です。内田洋行では現状把握から始め、自治体の方針に合わせた最適なDX人材育成研修・コンテンツを用意。特に職員のリテラシーを可視化する「i測」は自治体DXの現状把握に最適で、来場者が実際に診断を受ける場面もありました。
子どもたちがより豊かに育っていく地域づくりを実現する「こどもデータ連携による子育て・教育DX」
内田洋行では、子どもたちが豊かに育つ地域づくりを目指し、自治体が組織を横断した情報共有によって切れ目の無い子育て・教育サービスを提供できるよう支援しています。その一つが子どもの見守りと個別最適な学びを実現するため、学習系・校務系等の情報を見える化する「こども見守りシステム」。課題の早期発見や学習者の興味・関心に合わせた指導および支援、さらには学級・学校経営に役立てられる先進的なソリューションで、多くの来場者がデモを交えながら意見交換していました。
さらに厚生労働省の要保護児童等に関する情報共有システムに対応した「児童相談システム」も展示され、子育て・教育DXの提案が行われました。
テーマ別に“見どころ”を紹介するミニセミナーは立ち見が出るほど
ブース内ではテーマごとにエッセンスを紹介するミニセミナーを2日間で14回にわたり開催。旬な情報やトピックスが語られ、立ち見や終了後の質問が出るほど人気でした。
情報の価値化と知の協創をデザインする内田洋行が目指すのは、デジタルとリアルをつなげ、人が主人公となる、これからの自治体の働く場・集う場の実現です。2025年度末に迫った「自治体情報システムの標準化・共通化」をはじめ、自治体DXの実現に向けて様々な課題やさらなるデジタル化を求める声がある今こそ、私たちは今後も地方自治情報化の“いま”と“これから”を考え続け、地方自治体のお客様を支援してまいります。
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