新庁舎移転を単なる建物更新に終わらせるのではなく、働き方そのものを見直す好機ととらえ、「これまでの当たり前」をゼロベースで問い直す改革に挑んできた和歌山県すさみ町。紙・ハンコ・固定席といった従来の前提を見直し、ペーパーレス化の徹底とともに、ABW(時間と場所を自由に選ぶ働き方)の考え方を取り入れた執務環境を構築。DXをツール導入で終わらせず、業務や意識の変革につなげる取り組みを進めています。
本講演では、一般職員・幹部職員が参加したワークショップを通じて見えてきた課題や変化、庁舎移転後の働き方を定着させるための工夫を、プロジェクトをけん引した立場からお話しします。あわせて、自治体の働き方改革の第一人者から、庁舎・働き方・業務改革を一体で進めるための考え方と実践方法を解説します。
<登壇者>
すさみ町 地域未来課 機構改革推進室 係長 松本 大義 様
すさみ町 地域未来課 機構改革推進室 主任 上田 朋葉 様

京都工芸繊維大学 名誉教授/(同)NAKA Lab.代表社員 仲 隆介 様

index
- 人口3300人の町で始まった大改革
- 庁舎移転を契機に働き方を変える
- DX・オフィス改革・機構改革の三本柱
- 現場の猛反発とトップダウンの限界
- 失敗から学んだこと
- 仲教授との出会いが転機になった
- 「天使」と「悪魔」を付箋に書き出す
- 自分たちの言葉で未来を描く
- 「反対」から「自分ごと」へ
- 静かな仲間の存在に気づく
- 計画だけでは改革は成功しない
第1部 すさみ町職員による事例発表
第1部 新庁舎移転をきっかけとしたすさみ町の働き方改革事例発表
すさみ町 地域未来課 機構改革推進室 係長 松本 大義 様
すさみ町 地域未来課 機構改革推進室 主任 上田 朋葉 様
本日お話しするのは、すさみ町が進めている新庁舎建設と、それに伴う組織改革・働き方改革についてです。
これは「こうすればDXは成功する」といった華やかな成功事例ではありません。トップが描く大きなビジョンに戸惑い、その実現方法が見えない中で試行錯誤を繰り返してきた、いわば現在進行形の挑戦の記録です。
私たちの経験が、同じような課題に向き合う自治体の皆さまにとって、何か一つでも考えるきっかけになれば幸いです。
人口3300人の町で始まった大改革
すさみ町は和歌山県南部に位置する人口約3300人の港町です。面積の93%を森林が占め、高齢化率は48%。町内集落の半数が限界集落となっており、全国の自治体が今後直面する課題の最前線にあります。

役場職員は約130人、平均年齢は38歳。その先頭に立つ岩田勉町長は、「町で最も若い世代が集まっているのは役場」と考え、職員には行政事務だけでなく地域の担い手としての活躍を期待しています。その考え方のもと、副業制度を導入するなど、役場の外でも活躍できる人材づくりを進めています。
庁舎移転を契機に働き方を変える
新庁舎建設のきっかけは、南海トラフ巨大地震への備えでした。現在の庁舎は津波浸水区域内にあり、最大6.8メートルの津波によって2階天井付近まで浸水すると想定されています。災害時に司令塔機能を失う可能性があることから、高台への移転が決まりました。

さらに当時は、緊急防災・減災事業債という有利な財源の活用期限も迫っていました。そのため設計から建設、移転までを実質2年ほどで進めなければならないという厳しいスケジュールでした。
しかし町長は、この機会を単なる庁舎の建て替えで終わらせようとは考えていませんでした。これまでの3階建て庁舎は、物理的な距離が組織の縦割りを生み、部門間の連携を妨げていると考えていたのです。そこで新庁舎では、壁の少ないオープンな空間を実現し、組織文化そのものを変えたいという構想を描いていました。
DX・オフィス改革・機構改革の三本柱
町長の構想を具体化するため、私たち機構改革推進室が中心となり、三つの改革を進めることになりました。
一つ目はDXです。従来のLGWAN環境からGoogleのゼロトラストモデルへの移行を進めるとともに、職員端末もWindowsからChromebookへ切り替える計画を進めています。
二つ目はオフィス改革です。時間や場所を自ら選択して働くABW(Activity Based Working)の考え方を導入しようとしています。その前提となるペーパーレス化を進めるため、文書管理のあり方そのものも見直し始めました。
三つ目は機構改革です。従来の縦割り組織を見直し、課をなくして大きな二つのグループへ再編する構想も検討していました。
さらに町長からは、フリーアドレス、週休3日制、ペア制度など、次々と新しいアイデアが示されました。しかし私たち自身も、「どう進めればよいのかわからない」という状態でした。

現場の猛反発とトップダウンの限界
私たちが必死に動き出す一方で、役場内には前向きな雰囲気ばかりがあったわけではありませんでした。
「今の庁舎だってまだ使える」
「たった2年でそんな改革ができるわけがない」
といった声が上がりました。
さらに問題だったのは、町長の思いが十分に咀嚼されないまま、DXやフリーアドレスといった言葉だけが現場に届いてしまったことでした。
その結果、
「毎日席が変わったら電話の取り次ぎはどうするのか」
「課をなくしたら責任の所在がわからなくなる」
「ペーパーレスもできていないのに無理ではないか」
といった反発が次々に起こりました。

現場から見れば、もっともな意見だったと思います。私たちは当初、現場が変化を嫌っているのだと考えていました。しかし議論を重ねる中で、そうではないことに気づきました。職員は変化を拒否していたのではありません。正解のない改革を、どう進めればよいのかわからなかったのです。
町長は「まず走ってみて、後から修正すればよい」という考え方でした。一方、現場は計画を立て、合意形成を行い、段階的に進めることに慣れています。この進め方の違いこそが、私たちが直面した最大の壁だったのです。

失敗から学んだこと
私たちは焦っていました。少しでも早く進めようと、各課へのヒアリングを行い、その結果をもとに組織案やオフィス案のたたき台を作成しました。現場の意見を反映したつもりでした。しかし結果は大きな反発でした。
職員から見れば、それは「現場を知らない人が勝手に決めた計画」に映ったのです。
そこで私たちは大きな気づきを得ました。必要だったのは意見を聞くことではなく、職員自身が「新しい庁舎でどう働きたいのか」を考え、自分たちの言葉で語るプロセスだったのです。
また、DXやフリーアドレスは目的ではなく手段に過ぎません。どれほど優れたシステムやツールを導入しても、それを使う人の意識や業務の進め方が変わらなければ、本当の意味での改革にはつながらないことも痛感しました。
仲教授との出会いが転機になった
そんな中、私たちにとって大きな転機となったのが、京都工芸繊維大学名誉教授の仲隆介先生との出会いでした。
当時の私たちは、現場との対話の進め方に悩みながら、さまざまな事例や情報を探していました。そんな中で目にしたのが、内田洋行のウェブサイトに掲載されていた仲先生の庁舎空間デザインに関する記事でした。その記事を読んだとき、私たちは思わず「町長と同じことを言っている人がいる」と感じました。
町長が感覚的に語っていた「壁をなくしたい」「職員同士がもっとつながる組織にしたい」という思いを、仲先生は明確な言葉と理論で説明していたのです。
そこで内田洋行に相談し、仲介をお願いした結果、町長と仲先生の面会が実現しました。初対面にもかかわらず二人はすぐに意気投合しました。そして、職員一人ひとりが新庁舎を自分ごととして考えるためのワークショップを実施することになったのです。
「天使」と「悪魔」を付箋に書き出す
それまで私たちは、各課へのヒアリングを重ねながら計画づくりを進めていました。しかし、そのやり方では「推進室が勝手に決めた」という印象を拭うことができませんでした。そこで仲先生のファシリテーションのもと、職員自身が主役となるワークショップを開催しました。

まず行ったのは、本音を徹底的に洗い出す作業です。職場の良いところを「天使」、不満や課題を「悪魔」として付箋に書き出し、模造紙いっぱいに貼り出していきました。
天使の声としては、「休みが取りやすい」「部署を超えて助け合う文化がある」といった意見がありました。一方で悪魔の声としては、「仕事量に偏りがある」「古いやり方を変えようとしない」「他部署の仕事に無関心」といった厳しい意見も数多く出されました。
興味深かったのは、同じ職場に対して正反対の評価が存在していたことです。アットホームな雰囲気という長所は、一方で責任の曖昧さや業務の属人化という課題にもつながっていました。
私たちはこの作業を通じて、すさみ町役場の強みと弱みを改めて見つめ直すことになりました。
自分たちの言葉で未来を描く
ワークショップを重ねる中で、職員が考える理想の働き方が少しずつ言葉になっていきました。その成果としてまとめられたのが「ワークスタイルブック」です。さらに議論を重ねた結果、「めぐる ひらく あがらすさみのワークスタイル」というコンセプトも生まれました。安心して働ける土壌をつくり、人と情報が組織を越えて流れ、さらに町の外ともつながっていく。そして、その経験や知見が再び組織へ還元される。すさみ町の豊かな自然になぞらえながら、山・川・海の循環で表現したコンセプトです。

ここで重要だったのは、推進室や外部コンサルタントが考えた言葉ではなく、職員自身が議論を重ねて作り上げた言葉だったことです。
「反対」から「自分ごと」へ
ワークショップは当初、決して歓迎されたわけではありませんでした。「忙しいのに面倒だ」という声も少なくありませんでした。しかし回を重ねるにつれて変化が生まれました。「普段考えたことのない働き方について考える機会になった」「他の職員も同じ悩みを抱えていることがわかった」という声が聞かれるようになったのです。
さらに職員から出てくる意見も変わっていきました。以前は、「どうせ上が勝手に決める」という無関心や拒絶が中心でした。それが次第に、「フリーアドレスになったら決裁はどう回すのか」「デスクが小さくなっても業務は回るのか」といった具体的な議論へ変わっていきました。

私たちは、この変化を前向きに捉えています。なぜなら、それは新しい庁舎での働き方を自分自身の問題として考え始めた証拠だからです。
静かな仲間の存在に気づく
そして、ワークショップを通じて私たちはもう一つ大切なことに気づきました。
反対意見ばかりに目を向けていると、職員の大半が改革に反対しているように見えてしまいます。しかし実際には、新しい挑戦を応援してくれている職員や、声には出さないものの前向きに見守ってくれている職員が数多くいました。私たちはそうした「静かな多数派」の存在に初めて気づいたのです。
計画だけでは改革は成功しない
最初は私たちも、「正しい計画をつくれば前に進むはずだ」と考えていました。しかし実際には、正解のない変革においては、どれだけ綿密な計画を立てても、その通りには進みません。
状況は常に変化します。予想もしなかった反発や課題も次々と現れます。だからこそ大切なのは、計画を守ることだけではなく、目的を見失わずに状況に応じて方向を修正していくことです。走りながら学び、対話を重ねながら軌道修正していく。そうした柔軟さを組織として受け入れることが、変革には欠かせないのだと実感しています。
また、このプロジェクトを通じて改めて感じたのは、手段と目的を取り違えてはいけないということです。DXも、フリーアドレスも、組織再編も、新しい庁舎も、それ自体が目的ではありません。私たちが目指しているのは、その先にある町民の皆さんの暮らしをより良くすること、そしてこれからのすさみ町を持続可能な形で未来へつないでいくことです。

まちづくりに終わりはありません。庁舎が完成すれば終わりという話でもありません。だからこそ、「前例がないからできない」「どうせ変わらない」という空気を次の世代に残したくないと思っています。
正解がなくてもいい。まずは自分たちで考え、手探りでも動いてみる。そして、うまくいかなければまた修正する。そのしなやかな姿勢こそが、これからの自治体に必要な力ではないでしょうか。
私たちはまだ試行錯誤の途中であり、大きな成果を残したわけでもありません。しかし、この泥臭い挑戦が、皆さんそれぞれの自治体で「自分たちならどう動くか」を考えるきっかけになれば幸いです。私たちも同じ方向を向く仲間たちとともに、新しい庁舎から始まる次のまちづくりに向けて、一歩ずつ歩みを進めていきたいと思います。
第2部 すさみ町の事例から私が学んだこと
京都工芸繊維大学 名誉教授/(同)NAKA Lab.代表社員 仲 隆介 様
オフィス改革の本質は「働き方改革」にある
私は40年以上にわたり、オフィスやワークプレイスの研究に携わってきました。その中で強く感じているのは、オフィス改革の本質は建物や家具を新しくすることではないということです。
どれだけ立派な庁舎やオフィスを整備しても、その中で働く人や組織のあり方が変わらなければ、本当の意味での改革にはなりません。逆に、働き方や組織文化が変われば、空間はその変化を支える大きな力になります。
その意味で、すさみ町の取り組みは単なる庁舎建設事業ではありませんでした。新しい庁舎をきっかけに、「どのように働くのか」「どのような組織を目指すのか」を問い直す挑戦だったと思います。
なぜ前に進むことができたのか
すさみ町の発表を聞いて、私がまず感心したのは、推進室の皆さんが諦めなかったことです。改革の現場では反対意見や批判が出るのは当たり前です。多くの場合、担当者は次第に疲れ、改革そのものが形骸化してしまいます。しかし、すさみ町ではそうなりませんでした。
現場との摩擦や反発を受けながらも、「なぜうまくいかないのか」「どうすれば前に進めるのか」を考え続けた。その試行錯誤の積み重ねが、このプロジェクトを支えていたのだと思います。
「抵抗勢力」ではなく「戸惑っている人たち」
もう一つ印象的だったのは、反対意見の背景を正しく理解したことです。改革を進める側は、反対する人を「変化を嫌う抵抗勢力」と見てしまいがちです。しかし、すさみ町の皆さんが気づいたのは、職員は変化そのものを拒否していたわけではないということでした。職員が抱えていたのは、経験したことのない改革に対する不安や戸惑いでした。どう進めればよいのか分からなかったのです。
この違いは非常に大きいと思います。相手を抵抗勢力だと考えれば対立になりますが、戸惑っている人だと考えれば対話が生まれます。すさみ町は、その転換点を見つけることができたのだと思います。
正解のない改革は試しながら進める
自治体は本来、計画を立てて着実に実行することを得意としています。それは行政にとって重要な能力です。しかし、今回のような組織改革や働き方改革には、最初から正解があるわけではありません。計画を作り込めばうまくいくという種類の課題ではないのです。
だからこそ必要なのは、目的を共有したうえで、まず試してみることです。そして結果を見ながら修正し、また前に進む。その繰り返しが重要になります。
すさみ町は、基本構想や基本計画が十分に整わないままスタートしたという特殊な事情もありました。しかし結果的には、そのことが試行錯誤を重ねながら進む改革の本質を浮かび上がらせたようにも感じています。
仲間を増やすことが変革の力になる
すさみ町の事例から私が学んだ最大のことは、仲間を増やすことの大切さです。改革の現場では、どうしても反対意見ばかりが目につきます。しかし実際には、声には出さなくても応援している人がいます。すさみ町は、その「静かな仲間」の存在に気づきました。
そして反対する人を説得することよりも、同じ方向を向く人を少しずつ増やしていくことに力を注ぎました。私は、それこそが変革を進める最も現実的で確実な方法だと思います。
最後に強調したいのは、庁舎改革は建物を新しくすることが目的ではないということです。DXも、フリーアドレスも、新庁舎も、すべては手段に過ぎません。本当に大切なのは、その先にどのような組織をつくり、どのようなまちを目指すのかということです。
すさみ町の挑戦はまだ道半ばです。しかし、職員が自ら考え、仲間を増やしながら前へ進もうとしている点に、この取り組みの大きな価値があると私は感じています。
第3部 登壇者によるクロストーク
第3部では、内田洋行を進行役に、すさみ町地域未来課機構改革推進室の松本様、上田様、京都工芸繊維大学名誉教授の仲隆介様によるクロストークが行われた。新庁舎建設と組織改革を同時に進める中で直面した課題や、その乗り越え方について意見が交わされた。
基本構想がないまま始まったプロジェクト
司会(内田洋行):自治体の庁舎整備では、通常は基本構想や基本計画を策定した上で設計に入ります。すさみ町ではそうした準備を十分に行う時間がないままプロジェクトがスタートしましたが、その点はどう感じていましたか。
松本様:本来であれば、新庁舎でどのような働き方をしたいのか、どのような組織を目指すのかを十分に議論してから設計に入るべきだったと思います。しかし今回は、緊防債の期限やスケジュールの制約があり、考えながら進めざるを得ませんでした。そのため、途中で迷うことも多く、現場との認識のずれも生まれました。
仲先生:一般的な自治体では、もっと時間をかけて基本構想や基本計画を策定します。その意味では、すさみ町の進め方はかなり特殊でした。ただ、構想そのものがなかったわけではありません。文書化された計画はなくても、町長の頭の中には「壁をなくしたい」「組織をもっとつなげたい」といった明確なビジョンがありました。その思いを具体化しながら進めていったプロジェクトだったと思います。
庁舎移転を誰がまとめるのか
司会:建築設計は建設課、オフィス改革は地域未来課が担当されていました。情報共有や意思疎通の面ではいかがでしたか。
松本様:正直に言うと、当初は全体を調整する司令塔のような体制が十分ではありませんでした。庁舎移転は全庁に関わるプロジェクトですが、それぞれが担当分野を進める形になっていたため、情報共有や連携が不足していた部分もあったと思います。
その後、室長が調整役となり、定例会議を設けて関係部署が継続的に情報共有を行うようになりました。今振り返ると、そこからようやく本来あるべき形に近づいてきたと感じています。
建物と働き方を同時に設計する難しさ
司会:建築設計と働き方改革を同時進行で進めたことについてはいかがでしたか。
松本様:時間的な制約が大きく、建築設計とオフィス計画、組織改革を同時に進めざるを得ませんでした。働き方の議論によってレイアウトを見直したり、逆に建築側の変更に合わせて運用を考え直したりと、修正の連続でした。
決まっていないことが多かった分、新しいアイデアも次々に出てきましたが、そのたびに設計変更が必要になることもありました。設計会社や関係事業者の皆さんには本当に粘り強く対応していただいたと感謝しています。
仲先生:建物だけをつくるのであれば計画どおりに進めることもできます。しかし今回は、建物だけでなく組織や働き方そのものを変えようとしていました。そうした改革には正解がありません。途中で考えが変わることもありますし、対話の中から新しい発想が生まれることもあります。その変化を受け止めながら進めたことに、このプロジェクトの特徴があったと思います。
Googleの採用と新しい働き方への挑戦
司会:Googleのゼロトラストモデルを採用されたことも大きな決断だったと思います。
上田様:小さな自治体だからこそできた部分もあったと思います。さまざまな選択肢を検討する中で、「私たちが目指す働き方にはGoogleの考え方が合うのではないか」と感じました。町長と一緒にGoogle本社を訪問し、希望する職員にも見学してもらいました。
システムを導入するというより、「こういう働き方を目指すんだ」というイメージを共有することが大きかったと思います。
仲先生:重要なのはGoogleを選んだことそのものではなく、どんな働き方をしたいのかを先に考えたことだと思います。DXはシステム導入が目的ではなく、働き方や組織のあり方を変えるための手段です。その考え方は非常に重要だと思います。
挑戦を支えたトップへの信頼
司会:こうした挑戦を続ける中で、不安や迷いもあったと思います。最後までやり切れた理由は何だったのでしょうか。
上田様:私たちには、「町長ははしごを外さない」という安心感がありました。町長は細かな指示を出すタイプではありませんが、「まずやってみよう」と背中を押してくれます。そして、何かあったときには責任を取ってくれる。その信頼があったからこそ、正解の見えない中でも前に進むことができたのだと思います。
仲先生:変革には必ず試行錯誤が伴います。だからこそ、現場に挑戦を求めるのであれば、トップには失敗を受け止める覚悟が必要です。すさみ町の場合、町長が方向性を示し、現場がそれを具体化するという信頼関係が機能していました。その関係性が、このプロジェクトを支えていたのではないでしょうか。
司会:新庁舎の建設も、DXも、組織改革も、まだ道半ばです。しかし今回のお話からは、「まずやってみる」という挑戦する文化が少しずつ育まれていることが伝わってきました。新庁舎完成後、その文化がどのように根付いていくのか注目していきたいと思います。
合わせて読みたい
-
セミナーレポート【公共ICTフォーラム2025】 フリーアドレスを契機に「市民も職員も幸せになる窓口革命」を進める三鷹市の取組
近年、多くの自治体が窓口DXや庁舎空間の整備を進めている中で、東京三鷹市が市民サービス向上と職員の働き方改革を推進するなど「窓口革命」につながる挑戦について、プロジェクトの推進役から語っていただきます。
-
セミナーレポート【公共ICTフォーラム2023】庁舎空間デザインと働き方改革が創る新たな行政サービス~近江八幡市の新庁舎整備事例~
京都工芸繊維大学 名誉教授/合同会社NAKA Lab. 代表社員
仲 隆介 氏近江八幡市 総合政策部 行政改革課 副主幹
三浦 薫 氏

