食品業向けパッケージシステム導入事例
阪神低温株式会社 様
代表取締役社長 蓮沼 俊一 様、執行役員 経営企画室 管理本部長 中嶋 正揮 様、経営企画室 システムソリューション課 課長代理 山下 洋一 様
業種 | 冷凍食品製造業 |
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対象業務 | 販売管理、購買管理、売掛管理、買掛管理、在庫管理、CRM、生産管理、原価管理、会計 |
導入システム | スーパーカクテルコアFOODs スーパーカクテルコア会計 |
主な事業とコロナ前後の動向
阪神低温株式会社様は漁業・廻船問屋・魚問屋として1552年に創業。1967年に阪神低温株式会社となり、農水産冷凍食品事業、ドライアイス加工販売事業を柱として全国に3つの支店と2つの工場、そして2つの関連会社を展開しています。
阪神低温の経営理念は次の3つです。
・信用を重んじ広く社会に貢献する。
・誠実なる事業活動を通し、社員の幸福と会社の発展を実現する。
・独創性豊かな企業風土をもって行動する。
世界各国から厳選して集めた魚介類を厳しい品質管理のもと加工し、全国の生協や量販店、飲食店等に提供しています。
主力商品はシーフードミックスですが、蓮沼俊一氏が社長に就任してからは、魚介類を中心に水産と農産を組み合わせた簡単に調理できる具材をセットにしたミールキットを開発し、業務領域を拡大しました。
また、2023年からオンラインショップを立ち上げBtoCにも注力しています。その背景には、世界的に「持続可能な水産業」が求められるようになり、漁獲量が厳しく制限されるようになったことがあります。
「従来と同じビジネスではやがて立ち行かなくなる。思い切った変革が必要です。付加価値の高い製品を世の中に提供し、よりお客様に近いところでビジネスをしていくためにも、ブランド戦略に力を入れていきたい」と蓮沼社長様。
同社が近年力を入れているミールキットとは一食分の食材や調味料、レシピなどが1セットになった商品群です。面倒な魚の下処理をすることなく、アクアパッツァやアヒージョといった本格的な料理が手軽にできることが魅力で、コロナ禍で中食需要が増えたことが追い風となって売上を伸ばし、コロナ収束後も、中食の習慣が定着したと見えて売上は好調に推移しているそうです。
導入のメリット
- 全拠点のデータを一元化
- 経営判断のスピードアップ
- カスタマイズで部門損益の管理を可能に
- システム全体構成図
導入の背景
各拠点でばらばらだったデータを一元化したい
以前は、各支店や関連会社がそれぞれに Microsoft Office Access を使用して手組みしたシステムを使用。現場ごとに個別最適化はしていましたが、支店間や関連会社間での連携に課題があり、経営層が全体像を把握することが困難でした。
「個別最適は、社員が同じ会社という意識を持ちにくいという弊害も抱えていた。今後の変革を進めるためにも、グループ全体でシステムを一体化する必要があると感じていました」と蓮沼社長。また、ビジネスがBtoBからBtoCに転換してきたことで、古いシステムが使いづらいという問題も浮上。
「生産、販売、在庫等、各部署でそれぞれ入力するため、二重入力が発生していました」と執行役員経営企画室管理本部長の中嶋正揮様。そこで2018年にシステムソリューション課を設置。目指す未来のため、ゼロベースからのシステム刷新に取り組むことになりました。
システムの採用にあたっては、「全国の拠点から事業・業務責任者を集め、食品業界に強い複数のベンダーによるプレゼンテーションを行いました」(中嶋様)。社員が審査・採点し、最高評価だったのが内田洋行のスーパーカクテルでした。
「柔軟性があり、小回りがきく点が評価されたと思います。また社長は、現場で実際に使う社員の意見を優先させる方針でした」(中嶋様)。
本稼働までの経緯
社長が旗振り役となり、大きな反発なく導入
一方で不安として、過去20年間手組みのシステムを少しずつ変更・運用してきたため「社内に大規模なシステム刷新の経験がなく、何から手を付けるのか、どのように進めるのか、プロジェクトメンバーの効果的な役割分担など、未知の領域が多かったが、内田洋行のエンジニアや営業担当者と連携することで解消できた」と山下様。
ただ、受発注・入出荷では、上流の営業部門の仕様構築に計画よりも時間がかかった影響が下流の物流・倉庫部門におよび、充分な時間をかけることができなかった。「物流工程の構築が後手に回り効果的な仕様に落とし込めず課題が残っている。反省点です」と山下様。
今回、部門損益管理のため、最小限のカスタマイズを行いました。原材料調達・製品化・販売というプロセスを、部門間で内部売買としてシステムに反映しています。季節による原料価格や為替の変動、長期の保管によってかさむ倉賃など見落としがちな要件も管理し、より正確な損益の把握を目指しています。「スーパーカクテル導入によりデータの一元化と分析を行うことで経営判断の迅速化を進めていきたい」と中嶋様。
導入効果
拠点間で共通の言語で話ができるようになった
現場では、本稼働後もプロジェクトメンバーでミーティングを重ねて改善点を整理中。「内部損益のさらなる明確化など、まだまだ継続的な改善が必要です。特に、物流工程については現場からの改善要求は当然あり、解消すべき課題が多く存在しますので、ひとつひとつ着実にクリアし、より良いシステムへと育てていきたいと考えています」(山下様)。
最後にシステム化を検討している企業様に向けての助言をお聞きしました。
「会社ごとに業務フローも異なりますし、商習慣も異なります。当社に合うことが他社様にも合うとは限りません。システム化を成功に導くためには、自社の現実を正しく把握すること、自社のあるべき未来像を明確に描くこと。この2点があればうまくいくのではないでしょうか」(中嶋様)。
企 業 名 | 阪神低温株式会社 |
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代 表 者 | 代表取締役社長 蓮沼 俊一 |
創 業 | 1552年 |
設 立 | 1967年 |
資 本 金 | 7,910万円 |
従業員数 | 227名(2023年3月) |
事業内容 | 農水産冷凍食品事業、ドライアイス加工販売事業 |
U R L | https://www.hanshinteion.co.jp |