社会福祉法人 埼玉福祉事業協会 様(埼玉県さいたま市)
地域の障がい者の自立と経済活動への参加促進を図り、さまざまな障がい者福祉サービスを提供している社会福祉法人 埼玉福祉事業協会様(さいたま市、橋清子理事長)。現場では、利用者の意思決定支援と職員の業務負担軽減などに取り組むため、「絆 障がい者福祉システム あすなろ台帳」を導入されています。導入の目的や効果のほか、現在注力している福祉サービスの内容について、橋清子理事長にお話しをうかがいました。
利用者の意思決定支援を行う上で、その人の日々の生活歴・活動歴の記録は非常に重要です。法令上の保存期間を過ぎたとしても簡単に捨てられるものではありません。「あすなろ台帳」の導入により、それらの記録を紙ではなくデータとしてシステム保存することで保管スペースを取らない上、キーワード検索機能で記録の統計を取ることも可能になりました。これにより、新入職員であっても、ご利用者の希望に沿った意思決定支援の為に「選好」を知る助けになっています。
就労支援の職員連携の面で効果がありました。普段の業務では、職員が利用者につきっきりになることも多く、現場を離れることができません。しかし同システムにより、事務職員と勤怠管理などの情報共有をタイムリーに行うことが可能になり、業務負担の軽減に繋がっています。
最近では、利用する障がい者の工賃を引き上げるために異業種経験者の雇用と企業との連携による就労支援に尽力しています。 障害基礎年金だけでは、地域で暮らす為の生活費が捻出できないと言う相談も多く、障がいがあっても住み慣れた地域で安心安全な暮らしを持続可能にするためには経済的な自立を支えるための工賃アップが欠かせません。また、どんなに障がいが重くても働きたいと言う思いを支援し、社会参加を促進する取り組みも同時に進めたいと思っています。福祉的作業に よる授産製品の製造や内職だけでは、工賃の引き上げにもつながりにくく、社会のサイクルにもなかなか入り込んでいけません。その為に、民間企業等との取引を拡大し、生産品を社会の中で流通させる形での障がい者の社会参加の有り方の醸成や、工賃の増強に繋げようと言う挑戦を試みています。
異業種の企業を顧客にすると、納品量や製品の質も厳しくチェックされますので、私たちも障がい者が一生懸命作ったのだから大目に見てくれるだろうという認識ではいけないと考えています。そこでより高い付加価値や利益率を追い求めるためにも、福祉分野の職員だけでなく各事業で専門の職人を雇用し、障がい者支援の理解を深めながら商品を生産すると言う「プレイングコーチ」を育成する取り組みを行っています。また、事業の種類の拡大と各作業工程の細分化や業務の切り出しにより、本人の障がい特性に合った作業が行える環境づくりにも努めています。
工賃アップだけではなく、新しい可能性も見えてきました。 以前、勤めていた職人たちから、起業した会社や転職先で障がい者を雇用できたという報告を受けたのですが、当法人で障がいのあるご利用者と協働した経験が活きた例で率直に嬉しかったです。また最近は、障がい者雇用率を高めたいといった企業からの相談も寄せられるようになり、私たちが取り組む異業種連携のノウハウを障がい者雇用の場を拡大することに繋げて行きたいと考えています。
昨年10月には、さいたま市内にトレーナー、エステティシャンと障がい者が協働する場として、フィットネスクラブ・エステの「すこやか倶楽部」をオープンさせ、課題や連携のあり方を模索しています。 また、今年4月には多機能型施設「ゆずり葉」を開設しました。人材確保などの課題は抱えたままですが、地域の障がい者の人生をより豊かにするために、今後もさまざまなチャレンジを続けていきたいと考えています。
平成31 年2 月27 日竣工した「ゆずり葉」 左上:施設入所支援「ひよこ棟」食堂 右上:宿泊型自立訓練 全室個室キッチン洗面トイレ付 左下:エアシャワー 右下:就労継続支援A 型 パン成形室
社会福祉法人 × 業務の負担軽減と利用者の意思決定を支援の導入事例。介護システム/ソフト、福祉システム/ソフトの「絆シリーズ」の事例紹介です。