【自社実践レポート・RPA編】 業務自動化プロジェクト[後編]
業務自動化を推進し、若手SE育成にも活用
コロナ禍を経て普及期に移り、一定の市民権を得たRPA(Robotic Process Automation)。RPAツールを導入後、効果が得られ改善を続けている企業もあれば、「一度は導入したものの途中で断念した」「想定通りの効果を得られなかった」という企業もあるのではないでしょうか。よその会社はどうしているのだろう…という思いが沸き上がってきますよね。今回は前後編2回に分けて、業務改善のため社内で奮闘しているメンバーから業務自動化の体験や率直な感想を聞いてみました。
はじめに
− 後編は日頃お客様のシステムの開発や運用支援を行っているSE部隊、システムズエンジニアリング事業部の島田さんにインタビューをしてまいります。よろしくお願いします。
島田さんは社内の事例発表でRPAやVBAでの業務自動化を、お客様に提案するだけでなく社内でも実践しているとおっしゃっていましたね。
島田:はい、そうです。当社のお客様でもRPAを導入されるお客様が増えてきたので、自分を含めた若手SEでもノウハウを獲得する必要がありました。数年前から、まずは自分が、そのあとは後輩が業務の自動化による改善を続けています。
− 改善のサイクルが回っているということですね。改善対象の業務はどのように選定しているのでしょうか?
島田:最初はどんな課題や定型業務があるかわからなかったので、個別の依頼に対応していましたが、あるときTeamsの部門スレッドで募集しました。
− この募集にはどんな反応があったのでしょうか?
島田:先輩方も興味を持ってくださって「これできる?」と気軽に質問が来ました。上司に相談しながら、いくつかの業務で実際に取り組むことにし、最初の4か月間で10業務、その後1年間で合計20業務を自動化しました。
業務改善にはこだわるが、ツールにはこだわらない
島田:取り組む中で、わたしが大事だと思っているポイントは「業務改善するためにはRPAツールは手段の一つ。VBS(*1)やPowerShell(*2)など使える手段は何でも使う」ということです。RPAツールはいろんなことができますが、ライセンス費用やインストールが必要になります。ニーズによって、技術を使い分けることが大事なんです。
− 業務の自動化というと、確かについRPAツールを導入して…という思考に陥ってしまいますよね。島田さんはどんな使い分けをしているのですか?
島田:部門で導入しているRPAツールはお客様にも導入しているものなので、理解しているメンバーも多くいろんなロボットが作れて便利です。でも、弊社環境では自動化する端末が部門LANに接続されている必要がありますし、ライセンス数にも上限があります。さきほど挙げたVBSやPowerShellはスクリプトを記述すれば、Windows端末においてはシンプルでハードルが低いです。Windowsユーザには共有もしやすいですし。
− 業務用のPCはほぼWindowsなので、社内ではかなり使えそうですね!
島田:でもブラウザの自動化のときなど、ちょっと困ることがあります。Chromeなど、マイクロソフト製品以外を使っている場合には実装が難しい場合もあるので…。でも、改善する業務を募集したからには一部だけ改善してあげる…というような中途半端はしたくなくて、1から10まで自動化できるよう心がけています。そうすることで、自分の技術の幅も広がりますし、何より喜んでもらえてうれしいです。
新人SEへの教育効果
島田:最初は自分だけで取り組んでいましたが、いまは私は指導役に徹して毎年配属されてくる新人SEに実装を任せています。新人なので業務もわからないし、先輩とのコミュニケーションもまだまだ。そんな時期にITによる課題解決に取り組んでもらうのはいい経験になると思っています。新人たちも喜んでくれる人が目の前にいることが励みになるみたいです。異動先でも「こんな業務を自動化したんです」と報告してくれる後輩がいて、やっててよかったなあと思います。
− 新人SEさんも嬉しいでしょうね。でも毎年そんなに自動化する業務が出てくるものなんですか?
島田:出てきますよ!自動化した事例を部門内でアピールすることが大事です。マネージャも先輩もみんな毎日業務に追われていますし、どんなことが自動化できるのか、具体例がないとイメージができないんですよね。自動化が実現できて喜んでいる人がいれば、「次こんなのできない?」と相談が入ります。いまは3か月に1つか2つの自動化を実装しています。
具体的な業務自動化事例
− どんな業務を自動化したのか教えてください。
今後の展望
− 今後は今の改善のサイクルをどう発展させていくのでしょうか?
島田:新人教育の一環なので、地道に続けていきたいですね。継続のためにはサポートドキュメントを残す必要もあって、その整備にももっと力を入れたいです。今後のお客様サポートでも役立つようBPMN(ビジネスプロセスモデリング表記)で記述するようにしており、後輩にもそう指導しています。社内業務だからと手を抜かず、共通化に努めていきたいです。
− RPAツールを選定しようとしている方、今まさに業務改善に取り組んでいらっしゃる方に一言お願いします。
島田:内田洋行はシステムインテグレータとして、さまざまなRPA導入プロジェクトをご支援しています。お客様の社内でお困りのことをなんでも相談いただけるよう、技術力を高めていきたいと思っています。最適な自動化をご提案できるよう今後もがんばります!
− 島田さん、本日はありがとうございました!
*1 VBScript(VBS) は、Windows に標準搭載されているスクリプト言語で、ランタイム等のインストールが不要で実行可能。
*2 PowerShell は、Windows に標準搭載されているスクリプト言語。
RPA/業務の自動化を検討されている方へ