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【自社実践レポート・ペーパーレス編】 受発注業務におけるペーパーレス化、営業支援チームのテレワーク対応

2022/7/20 [ワークスタイル,コラム]

コロナ禍でテレワーク対応を余儀なくされたことで、各方面でペーパーレス化が急速に進みました。中でも“受発注業務”を見直された企業様は多いのではないでしょうか。内田洋行のシステム販売部門で受発注業務を担う営業支援メンバーに取組みを聞いてみたところ、業務変革の際、障害となったのは何よりも「紙を頼りにするマインド」でした。マインドの変革もペーパーレス化もまだ途上ながら、取組み内容や苦労したことなどを率直に語ってもらいました。

テレワークでのFAX対応が急務に

− 出井さんは営業支援チームの管理職として、メンバーの指導・育成から、営業と営業支援チームの橋渡し、イレギュラー時の対応など幅広い業務を担当されています。今回、取組のきっかけはコロナ禍のテレワーク対応だったと聞いていますが、それまではどのように受発注業務を回されていたのでしょう?

出井:まず、コロナ禍前も今も変わらないのは、営業がとってきた注文を販売管理システムに入力し、その残管理、売上・仕入処理、請求・入金処理など一連の事務処理を担当するということです。

コロナ前は出社を前提としていたので、営業支援メンバーにはノートパソコンも携帯電話も支給されておらず、社外からシステムにアクセスする手段もありませんでした。また、FAXでの受注・発注が相当数あり、事務所にいないと対応ができませんでした。

− そんな中、コロナ禍で急遽ローテーションで在宅勤務を始めた。

出井:そうです。ノートパソコンを支給し、Microsoft Teamsでコミュニケーションをとりました。社外への電話も、ソフトフォン(*1)の導入で問題なくできましたが、問題はFAXでの受発注でした。

FAXで注文を受けたら、出社メンバーが紙の注文書をスキャンして、PDF化したファイルをその都度在宅メンバーにメールで送っていました。それを見た在宅メンバーの指示で、出社メンバーが自分の担当ではない業務をする、といったケースもあり、出社メンバーの負荷が高くなりました。

在宅ではできない仕事を出社してからまとめてやろうとするので、ますます出社時の負荷が高まる。営業支援チームも、指示を出す営業もフラストレーションが溜まっていたと思います。

− そこでまずはFAXのデジタル化を導入されたのですね。

出井:もともと、他部門で先行して導入していたツールで、「使いやすい」という評判を聞いていました。実は営業支援チームは非常に紙を使う文化で、最初は抵抗もありましたが、コロナ禍により使わざるを得ない状況ができた。導入の結果、メリットは大きかったと思います。

− 導入したのは富士フイルムビジネスイノベーションジャパン社製の「DocuWorks(*2)」ですね。複合機で受信したFAXがPDFとしてサーバに保存され、その閲覧やFAXの返信・送信もパソコンからできるという仕組みです。導入して感じたメリットは何でしょう?

DocuWorks利用イメージ

[図1:DocuWorks利用イメージ]

出井:まず当たり前のところですけど、FAXを取るのも送るのも自席からできるようになりました。在宅しているメンバーはVPNで社内ネットワークに接続すれば自宅から同じようにFAXの処理ができます。

それから一番は情報を簡単に追加できる点ですね。基幹システムに入力するための補完情報や、電子帳簿保存法に対応するための項目を、付箋のように貼り付けられます(図2)。ここに書いた情報で検索もできます。

今までこれらの情報は、コピーを取った発注書に手で書き込むか、付箋を貼っていました。その紙をベースに入力担当に指示をしたり、営業に確認をしたりと紙が行き来していたんですね。それが、情報を画面から簡単に追加して、そのまま指示まで回せるようになった。これは非常に便利でした。紙に手で書いてやりとりするのと比べたら10分の1の時間でできます。

帳票イメージ

[図2:帳票イメージ]

「アナログ」っぽさも活かした現場での工夫

出井:この付箋、営業支援メンバー全員共通化しているんです。新人でも何を入力しないといけないか分かるし、色分けも共通化しているからぱっと見て分かりやすい。

− 確かに見た目で分かりやすい。伝達もれもなさそうですね。もれと言えば、受信したFAXを見逃してしまうことはないのですか?「紙だと来ていることが分かる」なんて声も聞いたことがあるのですが…

出井:こんな風に、トレイが可視化できるんです(図3)。作業している画面の一番表に表示する設定にすると、トレイに入っていること、枚数もすぐに分かります。FAX番号ごとのトレイと、個人に振り分けられた結果が分かる個人トレイがあります。

− 先ほどの付箋もそうですが、アナログの分かりやすさを取り入れたUIですね。では、他に運用で工夫されていることはありますか?

出井:DocuWorksはFAX電子化だけではなく、文書管理としても使っているのですが、フォルダ構成は全社統一ルールを徹底しています。業務マニュアルがどこにあるかすぐに分かるし、進捗管理、負荷管理ができるように個人ごとに「未処理」「処理中」「処理済み」のフォルダを作っています。個人の使いやすさも大切ですので、固定フォルダ以外は自由にしてもらっていますが。

FAXトレイ・個人トレイの可視化

[図3:FAXトレイ・個人トレイの可視化]

− 進捗が分かるのはいいですね。こういったルールはどのように決めていかれたのですか?

出井:先行導入していた部門にも聞きながら決めていきました。そちらで使っているメンバーに説明会と、活用事例の紹介をしてもらったのです。これはとても有難かったです。営業支援メンバーには新しい仕組みを導入することに慣れていないというか、ITリテラシーがさほど高くないメンバーもいるので… ただ製品紹介をしてもらうより、自分ごととして捉えられたのではないでしょうか。

− 社内からの紹介だと抵抗も少なそうです。

出井:確認するために紙が良い、紙がないと不安、という昔からの文化があるので、抵抗はありましたね。でも強制的に使ってみたら、便利さが分かって、今はよく活用できていると思います。

目的はペーパーレスではなく、業務効率化

出井:業務効率化は継続的な課題です。チームでも個人でも、効率化の目標を持っています。ひとりひとりが、小さくてもいいので「効率化できること」を考えてほしくて、自分がしている業務の工夫や、システムの便利な使い方などを当番制で紹介してもらっています。DocuWorksの使い方はもちろん、Excelやoutlookの便利なショートカットキーなんていうのもありましたよ。

− 業務効率化として、今後チャレンジしたいことはありますか?

出井:数年前まで紙で見ていたデータを誰でも見える形にして公開したり、なんでもファイリングするルールを廃止したりと、すぐにできそうなことはしてきました。あとは一部業務で始めた自動化(RPAを活用)をもっと進めることと、もう少し根本の問題に着手しないといけないと思います。例えばシステム販売部門の型番は数が多くて複雑。判断に困ったり、うまく結果を分析できなかったりと課題があります。これを営業・営業支援・管理部門で連携をとって見直していけば、営業支援チームだけでなく広い範囲で業務効率化になると思います。

− 出井さん、本日はありがとうございました!

*1 ソフトフォンとは、パソコン、タブレットにインストールして通話を行うソフトウェア。
*2 DocuWorks は、富士フィルムビジネスイノベーション株式会社の登録商標。

インタビュアー:情報ソリューション事業部 清水

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