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企業の皆さんは、DX・デジタル化をどのようにとらえているのか。野村総合研究所「中小企業のデジタル化に関する調査」、経済産業省「企業活動基本調査」によると、デジタル化に積極な企業では76%が「デジタル化は業績にプラスの影響を及ぼした」と答えているのに対し、デジタル化に積極的ではない企業は4割程度しかプラスの影響を感じていません。
労働生産性については、デジタル化に積極的な企業は、社員一人当たり約670万円/年の生産性向上、デジタル化に積極的ではない企業では同約530万円/年の生産性向上となり、社員一人あたり100万円/年以上の差があります。
世の中の状況を見ますと、2020年4月から時間外労働の上限規制、2022年1月から電子帳簿保存法の施行、2023年10月からインボイスの導入と、制度変更が相次ぎ、それに対応するためにもDX・デジタル化の必要性は高まっています。
デジタル化の進捗度合いは、次の4段階で示されています。
一番進んでいるのは段階4で、デジタル化がビジネスモデルの変革や競争力強化にも貢献している状態です。
最も進んでいないのが段階1で、紙や口頭による業務が中心です。
2019年時点では、段階4に到達している企業は約15%でしたが、2022年には、約30%にまで増加しています。おそらく、コロナ禍でリモートワークが広がるなど、デジタル化のニーズを感じた企業が多かったことが背景にあると考えられます。
次のグラフは、企業のデジタル化の段階と、企業が考える、コロナ収束後のデジタル化の優先順位を示したものです。
これによると、デジタル化が進んでいる企業ほど、デジタル化の優先順位は高いと考えていることがわかります。一方、デジタル化が進んでいない企業ほど、デジタル化の必要性を感じていないことがわかります。
IT投資については、デジタル化が進んでいる企業ほど、今後もIT投資を増加させると答えた企業が多く、デジタル化が進んでいない企業は、IT投資をしないと考えているところが多いことから、二極化が進んでいることがわかります。
では、デジタル化の効果はどうなのでしょうか。以下のグラフを見てください。
2015年と2021年を比較したところ、デジタル化段階4の企業は労働生産性も売上高も高くなっています。逆に段階1の企業は、労働生産性も売上高も下がっています。
ところで、デジタル化するにあたって、企業はどういうところが課題となっているのかを示したのが次のグラフです。費用対効果がわからない、従業員が、ITを使いこなせない、そもそもITを推進する人材がいない、何を導入したらいいかわからない、どこにITを使ったらいいかわからないという声が多いようです。
業庁では、「デジタル化の必要性に関する認知拡大/啓発」フェーズから、「専門家への相談」→「ITツールの選定」→「ITツールの導入支援」→「定着支援」→「フォローアップ」まで、一気通貫の支援を実施しています。その中の1つ「みらデジ」について紹介します。
①「みらデジ」の概要
「みらデジ」は、デジタル化を通じた経営課題解決を目指す中小事業者、および支援機関の双方をサポートするポータルサイトです。
「みらデジ」には以下の3つの便利なコンテンツがあります。
みらデジ経営チェックでは、アンケートに答えることで、経営課題やでデジタル化の進捗状況を見える化し、デジタル化へのきっかけづくりとなります。
無料リモート相談は、デジタル化に取り組もうとする企業も支援機関も、中小企業診断士やITコーディネーターなどの専門家に無料でリモート相談ができます。
みらデジ知恵袋は、デジタル化の事例集やデジタル化支援ツールを紹介しているほか、IT導入補助金などの情報提供も行っています。
②「みらデジ」の活用状況
「みらデジ」は2022年から運用していますが、みらデジ経営チェックを行った企業は約8万件、うち登録ユーザー数は約6万5千件、リモート相談数は596件となっています。
このあとご紹介する「IT導入補助金」は、「みらデジ」で経営チェックをすることが申請要件となっています。
みらデジ経営チェックによって自社の経営課題が明らかになりますし、どんなITツールを導入したらいいかわからないという企業様も、みらデジ経営チェックによって課題解決には何が有効かが明らかになります。その情報はIT導入助成金の申請にも生かしていただけます。
①IT導入補助金の概要
中小企業・小規模事業者様の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、アプリ、サービス等)の導入を支援する補助金です。ほぼすべての業種が対象となります。
ITツール・ソフトウエア・ハードウエア購入費、クラウド・サブスク等のサービス利用料、導入関連費等をカバーしています。
対象となるツールや金額等によって助成率が変わります。詳しくは以下の一覧を見てください。
補助スキームとしては、まず補助金申請者(中小企業・小規模事業者等)は、あらかじめIT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要です。
IT導入支援事業者は、販売したいITツールやサービスをIT導入補助金事務局に登録します。パートナーシップを組んだ中小企業・小規模事業者は、登録されたもののなかから、ITツールやサービスを選び、補助金交付を申請します。
3年間は、導入の経過を報告しなければなりません。
以下は、「IT導入補助金2023」での拡充点をまとめたものです。
まず、通常枠から。通常枠には金額によってA類型、B類型があります。補助率は1/2以内。対象となる経費は、ソフトウエア購入費、クラウド利用料、導入関連費。クラウド利用料の対象期間は最大2年分に延長されました。
セキュリティ対策推進枠では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスを導入する際、サービス利用料を最大2年分補助します。
デジタル化基盤導入枠は、インボイス対応のためのITルール導入に使っていただく補助金です。会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトの導入費用に加え、PC・タブレット、レジ・券売機等の導入費用を支援します。安価なITツール導入にも対応するため、補助下限額を撤廃しました。
複数社連携IT導入類型は、複数の企業が連携して(たとえば商店会組合など)ITツールを利用することによって、生産性向上や地域活性化などの効果がある場合に使っていただける補助金です。
商流一括インボイス対応類型は、取引関係における発注者が、インボイス制度対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、取引関係先(受注者)の中小企業・小規模事業者等に対して無償でアカウントを提供して利用してもらった場合、その導入費用の一部を支援するものです。これは、中小企業だけでなく、大企業も利用できる補助金です。
②申請要件・審査のポイント
申請要件は以下のとおりです。要件を満たさないと申請することができません。前述のように、2023年度から、「みらデジ経営チェック」が新たに申請要件に加わりました。
審査のポイントは以下のとおりです。最も重視されるのは、自社のデジタル化の現状を適切に把握しているかどうか、経営課題とこれから導入しようとしているITツールの効果が合っているかどうかです。これらはみらデジの経営チェックによって整理することができます。また、審査にあたって、地域経済牽引事業計画、健康経営優良法人など、いくつか加点項目があります。
③申請方法から補助金交付までの流れ
申請には、「gBizIDプライム」の申請をし、IDを取得する必要があります(申請からID発行まで約2週間かかります)。また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言、「みらデジ経営チェック」の実施も必要です。
また、交付決定の連絡が届く前に発注・契約・支払い等を行った場合、補助金の交付を受けることはでないので注意してください。
④これまでの実績
IT導入補助金は、2017年から実施しています。2022年は、約7万件の申請をいただき、約5万件が採択されました。2023年は、9月12日時点で、約3万6千件の申請があり、2万7千件が採択されています。
全国から幅広く申請していただき、業種も多様です。
2022年の採択結果は、51,885件。業種別では、卸売・小売業(20.7%)、建設業(20.7%)、製造業(11.8%)で多く使っていただいています。企業規模としては、5?6名くらいの企業様がボリュームゾーンです(27,984件)。
交付金額は、100万円未満が最も多く、24,571件となっています。
⑤申請スケジュール
今年度の申請スケジュールは以下のとおりです。
月1回くらいの頻度で公募をしていますので、よく確認してください。
ここまでは、デジタル化に対する支援について話してきましたが、DX推進の施策も行っています。よくデジタル化とDXを混同される方がいますが、デジタル化はITツールを導入して業務をデジタル化することです。DXは、デジタルによってビジネス環境を変革し、ビジネスモデルそのものを変革していくことをいいます。
DXは、「企業のDX推進」と「デジタル人材の育成・確保」を両輪で推進していくことが重要です。
企業のDX推進に向けた取り組みとしては、デジタルガバナンス・コードやDX認定・DXセレクション等を行っています。また、DX投資促進税制などの支援措置も実施しています。
さらに、デジタル化人材の育成・確保のために、
を実施しています。
以下はDX推進施策の全体像を示しています。
最初にもお伝えした通り、DXが進んでいる企業は業務効率やその先の売上も向上しています。なるべく多くの企業様にDXを果たしてもらいたいと考えています。
ご清聴ありがとうございました。
IT導入補助金で自社のDX化を検討されている方へ