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1.データ活用とは
データ活用とは、企業が蓄積した膨大な情報を収集・分析し、具体的なアクションにつなげることです。単にデータを保管するだけでなく、現状の把握や将来予測に役立て、意思決定の精度を高めるための取り組みです。
1)データ活用とデータ分析の違い
両者のおもな違いは、情報の扱いに伴う目的にあります。データ分析は情報を分類・加工して法則性を見出す「手段」を指すのに対し、データ活用は分析結果に基づき具体的な改善策を講じる「目的」に相当します。分析は活用の一工程であり、収集・整理・分析・行動のサイクル全体をデータ活用と捉えるとわかりやすいでしょう。
2)データ活用が求められる背景
近年、市場環境の変化が激しくなり、経験や勘だけに頼る経営は困難になっています。IT技術の進展により多様なデータの取得が容易になったほか、顧客ニーズの多様化に対応するため、客観的な根拠に基づく意思決定が求められるようになりました。競争優位性を確保するために、データを戦略的に活用する企業が増えています。
2.データ活用で得られるメリット
データを有効に活用することで、主観に頼らず、定量的な判断が可能となります。また、売上の向上や業務の効率化など、さまざまなメリットを得られます。
1)売上の向上
データ活用は、顧客の購買行動や傾向を可視化し、売上拡大に寄与します。過去の販売データを分析してニーズを正確に把握すれば、最適なタイミングでの提案や、顧客1人ひとりに合わせたマーケティング施策が可能になります。結果として、顧客満足度の向上やリピート率の改善につながります。
2)業務の効率化・コスト削減
業務プロセスをデータで可視化すれば、無駄な工程や重複作業を特定しやすくなります。例えば、在庫管理において適切な発注量を予測することで、過剰在庫による管理コストの増大や機会損失の防止が可能です。自動化や改善の余地が明確になるため、コスト削減と生産性向上を同時に追求できます。
3)戦略の策定と精度の向上
市場動向や競合情報を数値として把握することで、より現実的かつ精度の高い事業戦略を立案できます。個人の経験則に依存せず、裏付けのあるデータに基づいて目標を設定するため、施策のブレが少なくなり、組織全体が一貫した方向性で動けるようになります。
4)迅速な意思決定
情報をリアルタイムで集計しダッシュボードなどで可視化すれば、経営状況を即時に把握できるようになります。トラブルが発生した際や市場が急変した際も、現場の状況を即座に数値で確認できるため、問題の早期発見と素早い対応が可能です。
3.データ活用における課題と注意点
データ活用を推進する過程では、体制面や運用面において克服すべき課題がいくつかあります。あらかじめ想定されるリスクを把握し、対策を講じることが重要です。
1)スキル不足
データを適切に扱うためには、統計学の知識やITリテラシーを備えた人材が必要です。しかし、多くの企業ではデータサイエンティストをはじめとする専門人材が不足しており、収集した情報を分析できないまま蓄積されるケースも少なくありません。社内育成や外部人材の活用を組み合わせた体制整備が求められます。
2)導入時のコスト発生
システム構築やツールの導入、データのクレンジング作業には、相応の費用と時間が必要です。初期費用だけでなく、サーバーの維持費やライセンス料、運用を担う人件費などのランニングコストも発生します。中長期的な費用対効果を試算した上で、段階的に投資を進める計画が重要です。
3)情報漏えいのリスク
個人情報を含む機密データを扱う以上、セキュリティ対策は避けて通れません。万が一、不正アクセスや管理ミスによって情報が外部に流出した場合、企業の社会的信用は著しく失墜します。アクセス権限の管理や暗号化、定期的な監査を徹底し、安全な運用体制を整えることが不可欠です。
4)客観性欠如
データは事実を示すものですが、解釈する側にバイアスがかかると、都合の良い数値だけを抽出してしまう危険性があります。分析の目的が曖昧なままでは、主観的な結論を正当化するための材料になりかねません。仮説を先に立て、それを検証する形で分析を進めることで、客観性を保つことが大切です。
4.活用するデータの種類
ビジネスで活用されるデータは多岐にわたり、それぞれが得られる示唆も異なります。自社の目的に合わせ、適切な情報を選択して組み合わせることが重要です。
1)売上・営業データ
売上金額や販売数量、商談の進捗状況などを含むデータです。時系列で分析することで、季節による変動や成長率を把握できます。営業活動のプロセスを数値化すれば、成約率の向上や効率的な営業戦略の立案に役立ちます。
2)顧客データ
氏名や年齢、購入履歴、問い合わせ内容などが該当します。顧客の属性や行動パターンを分析することで、ターゲットを絞ったプロモーションが可能となります。LTV(顧客生涯価値)の向上を図るために必要不可欠な情報源です。
3)製造データ
製造現場や業務システムで収集・蓄積されるさまざまなデータです。代表例として、人・機械・方法・材料に関する「4Mデータ」や、IoT機器・センサーから取得するデータ、販売管理や生産管理システムが保持するデータなどが挙げられます。品質管理や生産効率の改善に活用されます。
4)作業・タスクのデータ
各工程の作業時間や進捗率、設備稼働率などを含むデータです。製造現場やバックオフィス業務のボトルネックを特定し、工程改善や人員配置の最適化を促します。業務の標準化を進め、組織全体の生産性向上に貢献します。
5)財務・経理データ
損益計算書や貸借対照表、キャッシュフローなどの財務指標です。収益性や安全性を定量的に把握し、健全な経営判断を下すために使用します。コスト構造の可視化により、無駄な経費の削減や投資判断の精度向上にも役立ちます。
6)従業員データ
勤怠状況やスキル、評価結果、離職率などのデータです。組織のエンゲージメント測定や人材配置に活用されます。労働環境の改善やキャリア開発の支援に役立てることで、優秀な人材の定着を促進します。
7)外部データ
市場トレンドや競合の動向、気象情報、統計局が公表する公的データなどを指します。自社内の情報だけでは予測できない市場の変化を捉えるために有効です。マクロな視点を取り入れることで、戦略の精度をさらに高められます。
5.データ活用の手順
データ活用を形骸化させないためには、場当たり的な分析を避ける必要があります。計画的に進めるための手順は以下のとおりです。
ステップ1:目的を設定する
まずは「何を解決したいのか」という目的を明確にします。売上の拡大やコストの削減など、具体的な課題を定義しなければ、収集すべきデータや分析手法が定まりません。最終的な到達点を関係者間で共有することで、取り組みの方向性がぶれにくくなります。
ステップ2:データを収集する
設定した目的に基づき、必要な情報を集めます。社内の基幹システムやExcelファイル、外部の統計データなど、散在している情報を一箇所に集約します。情報の鮮度や網羅性に配慮し、分析に必要なデータが不足なく揃っているかを確認しましょう。
ステップ3:分析データを準備する
収集した生データは、そのままでは分析に使えない場合が多いため、クレンジングを行います。重複データの削除や表記ゆれの統一、欠損値の処理を行い、形式を整えましょう。この準備工程の精度が、分析結果の信頼性を左右します。
ステップ4:データを分析する
整理されたデータに対し、適切な手法を用いて分析を実施します。現状把握のための集計や、要素間の相関関係の特定、将来の需要予測などを行います。数値の背後にある要因を探り、客観的な事実から洞察を導き出しましょう。
ステップ5:アクションプランを策定する
分析結果をもとに、具体的な改善策や実行計画を立案します。判明した課題に対してどのような対策を講じるべきか、優先順位を付けて決めましょう。現場で実行できる形に落とし込み、リソース配分や担当者・期限を明確にすることが重要です。
ステップ6:効果検証
実施したアクションが当初の目的に対してどのような影響を与えたかを数値で測定します。期待した成果が得られたかを評価し、乖離がある場合は要因を分析して次の施策へ活かしましょう。改善サイクルを継続することで、組織全体のデータ活用能力が高まっていきます。
6.データ活用の事例
実際にデータ活用を取り入れ、業務改善や体制強化を実現した企業の具体的な事例を紹介します。各社がどのような課題を抱え、どう解決したかを確認することで、活用のヒントが得られます。
株式会社ロマンライフ 様(洋菓子製造小売業)の事例
洋菓子の製造を行う同社では、基幹システム「スーパーカクテル」とBIツール「Dr.Sum」を導入し、販売・生産・在庫などのデータを一元管理しています。導入前はExcelによる集計・分析に手間がかかっていましたが、現在は必要なデータを効率的に抽出・分析できるようになりました。
店舗ごとの売上傾向や顧客属性の把握にも活用されており、販売戦略や経営判断の高度化につながっています。
▽株式会社ロマンライフ 様の事例記事もご覧ください
BIツールが生み出す新たな判断基準。お客様に寄り添うブランドコンセプト構築に向けて
株式会社アルテコ 様(接着剤製造業)の事例
瞬間接着剤の製造販売を行う同社では、販売管理システムに蓄積されたデータを有効活用し、営業活動の可視化を実現しています。以前は手書きや表計算ソフトで管理していましたが、システムでデータを一元管理することで、在庫状況や販売推移をすぐに把握できるようになりました。その結果、迅速な判断が可能となり、営業部門と製造部門の連携が円滑になりました。
▽株式会社アルテコ 様の事例記事もご覧ください
接着剤専業メーカーが新基幹システムにスーパーカクテルを採用。社内データの柔軟な活用とトレーサビリティを強化
阪神低温株式会社 様(冷凍食品製造業)の事例
食品卸売を営む同社は、基幹システムの刷新を機にデータ活用を推進しました。膨大な商品データや取引先情報を整理し、ダッシュボードで可視化することで、拠点ごとの売上分析や在庫の適正化を達成しています。数値に基づく客観的な状況把握が可能となり、経験則に依存しない効率的な経営管理体制を構築しました。
▽阪神低温株式会社 様の事例記事もご覧ください
拠点間のデータを連携し、経営判断をスピードアップ。会社としての一体感も高まった
7.まとめ
データ活用は、現代のビジネスにおいて持続的な成長を遂げるために不可欠な取り組みです。経験や勘に頼るのではなく、客観的な数値に基づいて現状を把握し、次の一手を講じることで、意思決定の精度は高まります。
導入にあたっては、人材の確保やコスト面、セキュリティ対策といった課題もありますが、目的を明確にして段階的に進めることで、着実な成果を得られます。
収集した情報を単なる記録として終わらせず、具体的な改善に活かすサイクルを定着させることが、組織の競争力の強化につながります。まずは自社が保有するデータの棚卸しから始め、小さな成功を積み重ねていくことが重要です。
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