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【食品ITフェア2023 オンライン】 Web注文データの自動化に挑戦!
1カ月で100以上のスクリプト開発&年間3,000時間以上の削減に成功

2023/3/31 [食品,RPA,セミナーレポート]

西洋料理食材の企画開発・製造販売を手掛ける専門食材商社の株式会社マツヤ様では、RPAでWeb注文データのダウンロードを自動化し、年間3,276時間の効率化に成功しました。その効果をいかにして上げたのか?プロジェクト推進当時を振り返りながらご紹介します。

小嶋 康之 氏

株式会社マツヤ
システム管理部 次長
小嶋 康之 氏

ユーザックシステム株式会社
RPAカスタマサクセス部
上野 真裕 氏

<株式会社マツヤ 様>

会社概要

弊社は昭和32年4月に大阪浪速区で創業、昭和47年6月に設立し、今年で創業66年を迎えます。従業員数は114名。大阪を起点に東京・神奈川・名古屋・京都・神戸・九州・沖縄に拠点を拡大。ホテルや洋食専門レストラン、ハウスウエディングを中心にヨーロッパ産の食材卸を行っています。取引先は全国に約1万店舗。食材の発注は多いところで50〜60アイテムになります。2020年10月には貿易部門と通販部門を株式会社FISとして子会社化し、フランス、イタリア、スペインの食材に特化してBtoBだけではなく、BtoCやBtoBtoCに向けて商品提供を行っています。

食品卸売業界の課題

食品卸売業界の長年の課題であげられるのは、朝の受注処理です。
弊社ではホテルやレストランからの注文が、毎日夕方から深夜にかけて入ってきます。その日に使用した食材の補給や、予約の入った料理の食材調達などさまざまな注文が日々入ってきます。毎朝出勤してから、注文書を印刷したり、faxで届いた注文書は担当者ごとに振り分けて担当者が手で受注入力を行っています。作業量としては、インフォマートだけで1日約300枚、IPORTER等で約30件、その他のWebEDIが数件、それらを印刷するだけでもかなりの時間を要していました。fax受注についてはfax用紙の振り分け作業だけでも2、3人で30〜40分かかっていました。この朝の時間と作業をどうにか圧縮したいというのが悩みでした。

スライド資料:食品卸売業界の課題

そんな時、内田洋行様のセミナーでAutoジョブ名人のことを知りました。実際に導入している会社にも伺い、同業種ではありませんでしたが、日々の単純作業を効率化している様子を見て食材卸でも活用できるのではと感じ、導入に踏み切りました。

システム全体概要図

以下は、当社のシステムの全体図です。

スライド資料:システム全体概要図

Autoジョブ名人導入にあたって、自動化する業務を整理し、まずは、BtoBのプラットフォームであるインフォマートの自動化を行うことにしました。インフォマートからの注文は、注文書を印刷して各担当者に振り分け、担当者が個々に基幹システムに手入力をしていたのですが、Autoジョブ名人を導入する以前から、インフォマートからダウンロードした受注データを基幹システムに取り込めるように仕様変更をした上で印刷をしていたので、すぐに自動化が実現できると考えたのです。
fax受注に関しては、簡単にはできそうにないため、自動化の候補から一旦除外しました。
次に候補に挙げたのはIPORTERでした。IPORTERは特にホテルで利用されていますが、ホテルごとにID・パスワードが異なるため、1件1件Web画面を開いてログイン、印刷、画面を閉じるという作業を繰り返していました。この時間を削減したいと考えましたが、IPORTERはインフォマートのように自社の商品コードが登録できないため、受注データの自動取り込みまではできませんでした。どうしたものかと悩みましたが、100%自動化できなくても、印刷までできればそれだけでも時間短縮になると考え方を切り替えました。

Autoジョブ名人は、たくさんのスクリプトのテンプレート(標準化スクリプト)があるので、それを利用してまずは以下の3つを設定して導入することにしました。

  • インフォマートの受注データをダウンロードするスクリプト
  • ダウンロードしたインフォマートの受注データを基幹システムに取り込むスクリプト
  • IPORTERで注文書を印刷するまでのスクリプト

全体図のとおり、IPORTERは、PDFを印刷まで(受注入力は手入力で行う)、インフォマートはダウンロードしたデータをCSVで基幹システムに取り込むということが可能になりました。

受注業務自動化プロジェクトの進め方

スライド資料:受注業務自動化プロジェクトの進め方

繁忙期の12月に自動化をスタートすることを目標とし、そこから逆算して同年度の9月から開発をスタート。その前に2カ月間のお試し用プログラムをユーザックシステム様から提供いただきましたが、自力で設定することは難しく「カスタマーサクセスプラン」もあわせて契約をしました。開発開始から本格稼働まで親身になってサポートをしていただきました。
ユーザックシステム様が提供している標準化スクリプトを若干カスタマイズして、インフォマートとIPORTERの受注業務自動化のスクリプトを作成しました。スクリプトは3種類作成し、お得意様の数だけコピーしてお客様の情報を設定しています。

2021年10月に、一番受注の多い大阪拠点でテスト稼働しました。スクリプトが途中で止まるなどのトラブルもありましたが、調整を行い解決。11月には主要5拠点に導入、目標としていた繁忙期の12月には予定通り本格稼働することができました。

短期間で稼働できたのは、カスタマーサクセスプランのおかげです。専属の担当者がプロジェクトを伴走してくれ、不明点にはリモートでサポート。気軽に相談できる関係性ができていたため、スクリプトの不明点やトラブルにも迅速に対応することができました。

RPA導入の効果及び今後の展開

ジョブ名人を導入して1年が過ぎました。以下に導入効果をまとめました。

スライド資料:RPA導入の効果及び今後の展開

初期導入に年間230万円かかっていますが、これには初期導入費用やカスタマーサポートプラン(1年分)の費用も含まれています。2年目以降はこの費用がなくなるため、230万円より金額は低くなります。現在6拠点に導入していますので、1拠点当たり約38万円の費用。ひと月あたり約3万円、1日当たり約1,000円。決して高額ではないと思います。

導入効果は、1スクリプトの処理に約2分かかるとして、すべてのスクリプトの処理時間は年間3,276時間でこれが削減されました。この作業を人が行った場合、時給2,000円で換算すると年間600万円以上の労務コスト削減になります。

導入効果はコスト面だけではありません。受注入力の人的ミスの軽減、現場の業務改善意識の変化にもつながりました。受注時に入力ミスがあるとお客様に間違った数の商品を届けてしまうことになり、商品の交換などで無駄な時間を費やすことにもなりますし、お客様にも迷惑がかかります。これがなくなることは大きな安心です。
今までかかっていた作業時間が削減されたことで、営業担当者は今まで以上にお客様への商品提案、サービス向上ができるようになります。

今では、インフォマート、IPORTER以外にも、WebEDIの自動化も進めています。faxのお客様には、なるべくインフォマートライトを使用していただいてデジタル化していただき、こちらも自動化を進めていきたい。そうすればさらに業務効率が向上するのではないかと期待しています。

Autoジョブ名人は、人の手で行う作業を代行してくれるシステムです。今回のような朝の受注作業だけでなく、日々の単純作業にも活用できると思っています。作業の開始時間を設定することで、仕事の時間経過の目安にもなります。
このシステムは、基幹システムと連動させるのではなく、基幹システムとは別に導入して活用できるため、費用も安価に利用できるという点もメリットです。

当社の事例を受注業務で悩んでいる企業様に少しでも参考にしていただければ幸いです。

<ユーザックシステム株式会社 様>

ユーザックシステムのRPAの取り組みについて

スライド資料:RPAの取り組み

弊社は設立以来18年にわたり、業務の自動化に取り組んできました。重視しているポイントは、「稼働の安定性」です。当社は、RPAという言葉が登場するずっと以前から、ミスが許されない基幹業務の自動化ツールを開発しサポートしてきました。最初はブラウザを使ってwebのデータをダウンロードするAutoブラウザ名人を開発。次にAutoメール名人、その後、RPAが流行り始めた頃、汎用的な自動化ツール、Autoジョブ名人をリリースしました。
食品業界、機械工業系の企業様で多く導入していただいているほか、一部自治体でもお使いいただいています。

Autoジョブ名人のご紹介

スライド資料:Autoジョブ名人の概要

Autoジョブ名人は、受発注の自動化に最も多く使われています。主にECサイトで、取引先の特定のWebEDIのサイトに自動でログインをしにいき、データのダウンロードを行います。開発版と実行版があり、さまざまな設定は開発版で行います。実行版は、開発版で作った設定を用いて24時間稼働させます。

業務の自動化にあたって弊社が重要視しているのは、一番は稼働の安定性です。いかにRPAに仕事を安心して任せられるか。ここが、自動化が成功するか否かのポイントになります。従って、簡単に作れるよりはしっかり作って、作ったものがちゃんと動くか、継続的に使えるかを重要視しています。
その他の重要ポイントは以下の図のとおりです。

スライド資料:RPAを選定・受注業務自動化のポイント

RPA導入に失敗しないためには、コスト面や使い勝手がよく「導入しやすい」こと、「保守体制」も重要です。弊社では、専属SEを配置して、メールやリモートでサポートし安心して運用できる体制を整えています。
3つの要素のどれか1つが欠けてもうまくいきません。

スライド資料:Autoジョブ名人の特長-高い稼働安定性

Autoジョブ名人の特長についてご説明します。

1つは、「高い稼働安定性」です。Autoジョブ名人は豊富な経験とノウハウによって、エラーの起きにくいスクリプトを作成しています。また、仮にエラーが発生しても、スクリプト実行中は画面の動きを録画し、エラー発生時の状況が確認できるようになっています。さらに、エラーが起きたことをすぐに担当者に知らせる機能を提供しています。

Autoジョブ名人は、ユーザー様独自の業務カレンダーの登録ができ、スクリプト実行の予定を細かく指定できます。これにより、実際に人が出勤しているのと同じような運用が実現できます。

スライド資料:Autoジョブ名人の特長-確実な稼働を支援する充実したサービス

弊社では標準化スクリプトを多数提供していますので、開発要員がいなくてもすぐにAutoジョブ名人をご使用いただけ、開発工数を大幅に削減することが可能です。

カスタマーサクセスプランのご紹介

RPAが出始めの頃、「導入したけどうまくいかなかった」という例が多く話題になったことがあります。当社ではツールを販売して終わりではなく、確実な運用を目標として、プロジェクトに伴走する「カスタマーサクセスプラン」というサービスを提供し、効率的な自動化対象の選定や開発支援を行っています。最初の3カ月は自動化体制の立ち上げを目標とし、この間に自走できるスキルの定着と気軽に相談できる関係性の構築を行います。そして最終的には、2年後に自動化が当たり前の社内文化を実現したいと考えています。

以下は、カスタマーサクセスプランの一覧です。

スライド資料:Autoジョブ名人の特長-カスタマーサクセスプラン

カスタマーサクセスプランでは、何を自動化するかからアドバイスをいたします。なぜ、何を、いつまでに自動化したいのか、マイルストーンを決めてプロジェクトの進捗を支援します。カスタマーサクセスプランを導入していただくと、導入後の効果も最大化でき、非常に満足度の高いサービスです。

名人+へのご登録で、e-Learningもご利用できますので、Autoジョブ名人の基本を学ぶことができますし、使い方を忘れても何度も見てご確認いただけます。

以下はシステム構成と価格体系です。

スライド資料:システム構成と価格体系

Autoジョブ名人は、パソコンかサーバーにインストールしていただきます。開発版は、開発と実行の両方が可能なライセンスです。自社で開発するのが難しい場合は、開発版+実行版のライセンスをご購入いただき、当社で開発して納品し、お使いいただきます。

スクリプトはOS単位で実行するため、複数のスクリプトを同時に稼働する場合は、PCまたはサーバーを追加していただき、さらに実行版のライセンスをご購入いただきます。実行版ライセンスが増える=自動化できる業務が増えることなので、アルバイト一人を増やす感覚でご検討いただければと思います。

(以下、デモンストレーション)

RPA/業務の自動化を検討されている方へ

主な製品シリーズ

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