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アヲハタ株式会社 |
アヲハタ株式会社でジャム工場の工場長を務めている上田洋介と申します。大学では農学・果樹機能学を専攻し、アヲハタ入社後はジャムの品質保証や原料の一次加工に関する仕事を経て、現在に至ります。特に2018年から3年間にわたる南米・チリでの駐在では、文化の異なる仲間と協働して仕事を進め、挫折や成功を共に味わう経験をしました。その中で培った考え方や人との接し方が、現在の私を支える大切な柱となっています。
次に、アヲハタ株式会社についてご紹介します。創業は1932年、新鮮なフルーツにひと手間の価値を加えることで、世界中のお客様を幸せにしたいとの夢を持ち、ジャムや即食タイプの冷凍フルーツをはじめ、パンに塗るスプレッド類などを製造販売している食品メーカーです。本社は広島県竹原市にあり、国内に3工場、海外に2工場を展開しています。
ジャム工場は3つのプラントに分かれ、多様な包装形態のジャム・スプレッド類を生産しています。生産現場では手書きとデジタルの管理表を使い分けて、生産状況を管理していました。
手書きとデジタルの使い分けは、次の通りです。
手書きの管理表は年間約5万枚にもなり、下図のようなさまざまなムダが生じていました。
私たちはこのムダに着目し、管理表を紙からデジタルに変える改善に取り組みました。目指したのは、単なるペーパーレスではなく『データ活用』です。
導入は、以下の4つのステップで行いました。
デジタル化にあたっては複数の電子化ツールを検討し、その中から選定したのが『XC-Gate』です。理由は3つあります。
XC-Gateの入力端末は、タブレットを採用しました。生産現場の皆さんはスマートフォンを使い慣れているため、タブレットの操作性になじむのも早く、導入がスムーズでした。
ここからはXC-Gateの開発元である株式会社テクノツリーの細川様より、XC-Gateの概要について説明いただきます。
細川様:XC-Gateとは、日報やチェックシートなどの記録フォーマットを電子化し、タブレットやスマートフォンから入力・データ化できる帳票電子化ソリューションです。提供形態は、当社がご用意するクラウド環境にアクセスいただく『クラウド版』と、お客様側でサーバーを立てていただく『オンプレミス版』の2種類があります。
XC-Gateの導入は特に製造業が多く、設備点検や品質チェック、出荷前検査などに利用されています。そのほかにもメンテナンス業や建設業、各種サービス業などにおいて、点検や確認、報告といった定型フォームに記入するような作業で活用いただいています。
日頃、紙の帳票で使用しているExcelのフォーマットをそのまま活用し、既存のセルに「ここは日付」「ここは数値」と定義付けすることで、簡単にWeb帳票を作成できることがXC-Gateの特長です。
セルの定義付けも専用のエディターツールをご用意していますので、簡単に設計いただくことができます。こうして編集した Excel 帳票をXC-Gateにアップロードするだけで、自動でWeb帳票が完成するというパッケージシステムです。
ここからは私、上田より、具体的な導入プロセスをご説明します。
現在、当社ではジャム工場と竹原工場にXC-Gateを導入しています。まずは2022年にジャム工場に導入し、1プラントを対象にしたデジタル化から進めていきました。今では生産3プラントと品質保証の計4部署への導入を完了し、年間約3万枚のペーパーレスを実現しています。
1プラント目のジャム工場では、着実に導入できるように、大量生産型の1ラインのみを対象とするスモールスタートとしました。また、デジタル化に際して、管理項目の見直しも行いました。ECRS(イクルス※)の4原則を活用し、従業員の負担軽減につなげる取り組みです。
※ ECRS:Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(入れ替え)、Simplify(簡素化)の頭文字。業務改善を「排除・結合・交換・簡素化」の順に検討するフレームワークのこと。
私が推進リーダーとなり、各プラントにリーダーを配置。その下に帳票作成者2名を置く体制で、以下の流れで進めていきました。
①管理表の全体像を把握する
②管理項目を見直す
③管理ツールの選択
④スケジュール化
⑤試用・改善
導入プロセス①は、『全体像の把握』です。管理表の枚数や管理頻度、担当者などを改めて一覧に整理し、この表をもとに見直しができる管理項目の抽出を進めていきました。
続く導入プロセス②は、『管理項目の見直し』です。一覧表をもとに、まずは生産部門で見直し対象項目を抽出した後に、品質保証や生産技術などの関係部署と修正の妥当性を協議しました。対象は、すべての帳票です。前述の『ECRS4原則』を念頭に見直しを行いました。
導入プロセス③は、『管理ツールの選択』です。手書きの管理表の中から、二次利用したいデータや写真で残したいものを優先的にXC-Gateを活用するよう検討した結果、半数以上を移行することになりました。
一方で、即時にデータ分析したいものや複数名で同時編集するものは、スプレッドシートを継続利用しています。また、タブレット利用が難しい工程や紙の方が運用しやすい工程は、引き続き手書きの管理表を用いる選択をしました。
導入プロセス④は、『スケジュール化』です。最初に導入したプラントでは9つの工程がありますが、全工程に一斉導入するのではなく、1工程ずつ段階的に導入することとしました。時間を要しますが結果的には効率が良く、完成度の高い導入ができたと評価しています。
なぜ、結果として効率が良かったか。その理由は、導入プロセス⑤の『試用・改善』にあります。
工程ごとに約1週間の試用・改善期間を設け、XC-Gateを使用した方が自由に意見をあげられる仕組みを作ったことが奏功しました。提案されたアイデアには、改善の取り組みと提案者へのフィードバックまで行うようにしています。
例えば、製造品目によって使用する設備が異なると、チェックする項目も異なります。共通の管理表画面では「チェックする、しない」がわかりにくく、「使わない項目は明示してほしい」という提案がありました。そこで製造品目マスターと連動させて、チェック不要の項目を自動でグレーアウトするようにしました。
このようにして段階的に改善を繰り返すことで、次工程に導入するときにはその経験が引き継がれ、効率化と完成度の向上につながったと感じています。
ここで、テクノツリー社の細川様よりXC-Gateの機能について説明いただきます。
細川様:XC-Gateの利用者画面では、所属部署や確認者の欄はプルダウン式で選択、数値欄はテンキーを表示させて容易に入力できるようになっています。また、数値欄にあらかじめ『閾値』を設定しておくことで、範囲外の数値が入力された場合に『異常値』のアラートを表示させる機能などもあります。
また、下記のデモ画面では私の写真になっていますが、タブレットのカメラで撮影した記録画像を挿入でき、タッチペンを利用すれば画像に手書きメモを残すことも可能です。このように、お客様の帳票内容に合わせて自由にカスタマイズできる機能をご用意しています。
次に私、上田より、2プラント目の竹原工場に導入する際の改善についてお話します。
ジャム工場では担当者個人が生産活動の合間に進めたため、まとまった時間が取りにくい、担当者同士で相互に相談しにくいなどの課題がありました。そこで、竹原工場に進める際に立ち上げたのが、『つくる会』というチーム活動です。2つのプラントの担当者が集まる時間を設け、ノウハウの引き継ぎや、集中して帳票作成作業に取り組む時間を取るための取り組みです。
竹原工場の中での展開でも、新たな工夫を行いました。ジャム工場は担当者が一堂に会しやすいのですが、少量多品種の製造を行う竹原工場では担当者の時間が合わず、同時に集まりにくい環境です。
そこで、導入担当リーダーが生産現場に赴き、各工程において小チームで現場レクチャーを実施することで、作成方法の統一や帳票作成者の育成を進めていきました。このように工場によって導入の方法を工夫することも、有効だったと感じています。
XC-Gateの導入メリットについて、定量的な効果としては『ペーパーレス』と『作業時間の削減』が挙げられます。
ペーパーレスに関しては、ジャム工場では年間約3万枚、竹原工場では年間約2万5千枚の紙を削減できました。紙とトナーを合わせて、年間12万5千円の削減になります。作業時間としては、ジャム工場では年間約800時間、竹原工場では約750時間の削減につながりました。
定性的な効果としては、『保管スペースの削減』『デジタル化による将来のデータ活用の基盤づくり』『従業員のマインドの変化』が挙げられます。
工場内の各部署と会話しながら管理項目の見直しを行ったことで管理の目的についての理解が深まり、データを二次活用するイメージが高まっていると感じる場面が多くあります。次のステップに進む準備ができていると手応えを得ているところです。
XC-Gateを使用している方たちからも、以下のようなポジティブな意見が寄せられています。
一方で、導入当初は以下のような課題も聞かれましたが、現場での工夫や慣れによって比較的速やかに解消されています。
推進リーダーを務めた立場としては、今回のデジタル化は『ムダの削減』だけでなく、次世代を担うメンバーの育成につながったと感じています。デジタル化の推進を通じて「何のための記録か」という本質的な目的を再定義し、従来の仕組みにとらわれない視点でメンバーが取り組んでくれました。
デジタル管理表は、私たちが目指す『デジタル活用』のファーストステップです。今後もXC-Gateをさらに活用し、取り組みを推進していきたいと考えています。本日はありがとうございました。
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