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【食品ITフェア2026 オンライン】 食品・菓子卸の現場が変わる
請求・営業・物流のデジタル活用実例

2026/6/26 [食品,物流,セミナーレポート]

「紙の処理が多い」「営業の動きが見えない」「物流業務の属人化・負荷増加」──そんな食品卸売企業に共通する悩みを、どうすれば解決できるのか。
本セミナーでは、文書自動配信サービス「AirRepo」による請求書電子化をはじめ、SFA・ハンディターミナル活用による 現場業務改善手法 を、実例を交えて解説します。青森の老舗食品卸企業である菓子卸センター坂下商店様とシンドウ様が実際に取り組んだ“現場の変え方”を、明日から使えるヒントとしてお伝えします。

株式会社内田洋行ITソリューションズ
営業本部東北支店民需営業部民需営業課 課長
溝江 大騎

株式会社内田洋行ITの直系会社として全国21拠点にて一般民間企業等の業務システム構築を担当。

本日は「デジタル活用」をテーマにお話しします。
「何から手をつければいいのかわからない」「現場の反発がありそうで進めづらい」
こうした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そうした壁を乗り越え、デジタル化によって利益体質へと転換した2社の事例を通じて、現場を変えるヒントをお伝えします。

なぜ今デジタル化が待ったなしなのか

1)外部環境の変化

まず外部環境を整理しましょう。結論から言うと、外部環境は悪化しており、構造的に利益が生みにくくなっています。
まず物流2024年問題。ドライバーの労働時間規制によって輸送能力が落ち、運賃は上がっている。さらに円安の影響で仕入れコストが30〜40%増加。エネルギーコストも上昇している。問題はここからです。そのコスト、価格転嫁できているでしょうか。多くの企業で、コストは上がる一方、売価は上げにくいという板挟みが起きています。
一方で、社会の変化によるチャンスもあります。たとえば、共働き世帯の増加により、いわゆる“タイパ商品”の需要は拡大しています。

社会の変化を先読みして、デジタル化で効率化を図る。これが、生き残りの必須条件と言えるでしょう。

2)物流2024年問題のインパクト

2024年4月からの労働時間規制により、ドライバー1人あたりの稼働が減少しました。
その結果、輸送能力の低下、運送会社の利益減少、ドライバー収入の減少が起き、最終的には運賃上昇として荷主に影響します。

物流2024年問題の影響:物流コスト上昇予測と経営のインパクトについて

野村総合研究所の試算では、2030年までに輸送費は約34%上昇。これにより卸売業の営業利益は約26%押し下げられる可能性があります。

特に注目すべきことは、売上高物流コスト比率です。全業種平均が減少する中、卸売業だけ売上高物流コスト比率が突出して上昇しています。

卸売業に滞留する物流コスト

また、コスト上昇分のうち、売価に反映できているのは平均44.9円/100円。半分以上を自社で負担している計算になります。
食品卸では価格転嫁率は54.4%と、他業種より低く、価格転嫁が難しい構造にあることがわかります。

価格転嫁の限界

運賃を下げてほしい、得意先には高く売りたい。そういった外部への交渉は限界があります。ではどこで改善するのか。それは自社内の生産性向上、つまりDXです。
無駄な時間、ミスの防止、二度手間の削減などです。それは皆さんの決断一つで今日からでもできることです。

デジタル活用事例

食品卸における販売業務プロセスとデジタル活用事例について

ここからはデジタル活用事例についてお話しします。

「自ら変わること」を選んだ青森県の2社、株式会社シンドウ様(食品原材料・飲食料品他の卸販売)、菓子卸センター坂下商店様(菓子・飲料の卸販売、オンライン通販、PB商品開発)の事例です。

1)SFAによる営業の可視化

まず、SFA(Sales Force Automation=営業支援システム)による、営業の見える化を実現したシンドウ様の事例です。
従来は、営業は外出すると活動内容が見えず、情報も蓄積されない状態でした。退職者が出たら、取引先の情報も引き継げない。

そこで、SFAを導入し、営業日報をスマホやパソコンで入力するようにしました。するとデータが蓄積され可視化されます。これによってどんな効果が生まれたでしょうか。
まず、活動がデータとして蓄積・可視化、会議が「報告」から「戦略議論」へ変化、顧客情報の共有・引き継ぎが可能といった効果が生まれました。

事例@ SFAによる営業活動の見える化【シンドウ様】

さらに、配送ルートと売上データを分析した結果、4トントラックで往復4時間かけてわずか3kgの配送をしていたことが判明。こうした “見えなかったムダ”が可視化され、改善につながりました。

事例@ SFAによる営業活動の見える化【シンドウ様】

SFAの導入によって、逃げ場のない透明性、戦略的行動へのシフトが実現できた好事例です。

2)見積システムによる利益体質の向上

つぎは、シンドウ様の、見積システム導入の事例です。

皆さんの会社では、見積価格が営業担当の気分やセンスで決まっていないでしょうか。仕入れ価格は上がっているのにそれを反映せずに価格設定をしている、利益意識が薄くお客様の言い値で価格を決めている、などです。
シンドウ様は、スーパーカクテルを導入されていますが、それとは別に、見積作成・管理に特化した見積システムを導入いただきました。スーパーカクテルからマスターを見積システムへ連携し、メーカーからの仕入価格の変動が見積に反映できるようになりました。

事例A 見積システムによる社内基準徹底・収益性向上

見積システム側では商品ごと、顧客ごとに最低粗利率の基準を設定。その基準を満たす見積書が作成できるようになりました。しかし、戦略的に利益率を下げてでも取るべき案件もあります。そのような、基準値以下の見積書を作成するときは、警告表示が出る、あるいは社長の承認が必要になる仕組みも実装しました。

また、スーパーカクテルとSFAで日々の売上明細データを連携し、SFAでも商品ごと・得意先ごとに実態が把握できるようになっています。

事例A 見積システムによる社内基準徹底・収益性向上【シンドウ様】

どんぶり勘定だった見積を、システムによって基準徹底した結果、どうなったでしょうか。導入前・後で比較すると、売上は横ばいながら、粗利率が、前年対比8ポイント増。シンドウ様から、見積システムの明らかな効果だと評価をいただきました。

3)請求書電子送付

3つ目の事例は、請求書電子送付による、省力化・コスト削減を実現した菓子卸センター坂下商店様の事例です。
坂下社長は導入の動機を「2020年のコロナ禍に、請求担当者が産休に入り、急遽、他の社員が代行することに。誰か一人欠けたら仕事が止まってしまうと実感し、作業の属人性に危機感を持った」と語っています。

そこで、文書自動配信サービス「AirRepo」によって、請求書を電子化。
以前は膨大な請求書を出力し、丁寧に折って封入し、郵送するか営業担当が取引先まで持参していました。この作業に1週間かかっていましたが、「AirRepo」導入後は、請求書はデータ送付だけで済み、時間は3時間に短縮。コストは月5万円前後から数千円程度に削減できました。

事例B 請求書電子送付による省力化・コスト削減【坂下商店様】

皆さんの中には、「小規模な取引先が多いので電子化は受け入れられないのでは」と心配される人もいるかもしれません。菓子卸センター坂下商店様もそうでしたが、実際は、導入直後で70.1%が電子化。その後、2024年の郵便料金の値上げや社会的な電子化の流れも追い風となり、81.4%が電子化しています。

事例B 請求書電子送付による省力化・コスト削減【坂下商店様】

4)物流業務のデジタル化

次はハンディターミナル導入による物流業務のデジタル化の事例です。ハンディターミナルはシンドウ様、菓子卸センター坂下商店様とも導入いただきました。

みなさんの会社ではこんなことはないでしょうか。在庫が10個あると思っていたが、倉庫に行くと足りない。商品を探して冷凍庫をさまよった、間違って類似商品を出荷してしまった。出荷数の過不足があった……。

シンドウ様、菓子卸センター坂下商店様も同様の課題がありました。
そこで、倉庫内での入出庫、棚卸を手作業ではなくハンディターミナルで行うことにしました。菓子卸センター坂下商店様では、個人客が倉庫に直接製品を購入に来られる場合や、営業担当者が外出先で直接受注処理をする際にもハンディターミナルを活用いただいています。

事例C ハンディターミナルによる物流業務の属人化解消・精度向上【シンドウ様・坂下商店様】

菓子卸センター坂下商店様では、大変時間と労力がかかっていた棚卸が2時間半でできるようになった、在庫数も一致するようになった、とご評価いただいています。

そのほか、両社とも以下のような効果を実感されています。

事例C ハンディターミナルによる物流業務の属人化解消・精度向上【シンドウ様・坂下商店様】

今回紹介した事例は、すべて以下の図のように、スーパーカクテルを核としたソリューションの組み合わせでデジタル化を実現しました。とはいえ、スーパーカクテルありきではありません。部分的に活用できそう、と思うところがあれば、ぜひご検討ください。

食品卸向けシステム全体像

DX成功の秘訣

最後に、坂下社長から、社内改善成功の秘訣をお聞きしました。
「現場とやってみるというスタンスを大切にしています。ただ指示を出すのではなく、現場の課題や苦労を共有する。それが効率化だけでなく働きやすさにつながっていると思います。業務を効率化したことで、社員の自己成長の時間が増えました。社員が活き活きと働いている姿を見ることが、社長として何よりうれしいです」

私からも、DX成功の3か条をお伝えします。
1つ目、危機をチャンスに変える。属人化のリスクから目をそむけず、デジタル化推進の強力な原動力に変えていく。2つ目、削減した時間を再投資する。コスト減少や時間削減をゴールにせず、新規開拓や社員研修など、新たな価値創造へ再投資していく。そして3つ目。現場主義で牽引する。トップダウンの指示だけでなく、経営者、マネージャーが一緒にやる姿勢を見せて、現場の課題は何なのか、突き詰めた上でしっかり現場に寄り添っていく。こうしたことが必要だと考えます。

おわりに:企業成長を生み出すDX成功の3か条

皆さんの会社では、明日から現場を変えるための第一歩を踏み出すとしたら、どこから始めますか?営業の可視化でしょうか、見積の最適化でしょうか。帳票の電子化でしょうか、それとも倉庫内業務の効率化でしょうか。他にも様々な切り口があると思いますが、重要なのは最初の一歩を踏み出すことです。私たち内田洋行グループがその一歩を全力で伴走いたします。
ご清聴ありがとうございました。

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