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需要予測の概要と実行の際の注意点|具体的な手法や改善によるメリットも解説
需要予測の重要性が増し、予測手法や精度、ツール導入などの課題に直面している人も多いでしょう。
この記事では、自社の競争力強化のため需要予測について調べている製造部門や購買部門、営業部門の責任者に向けて、需要予測の概要と課題、具体的な手法、注意点などを解説します。需要予測を正しく理解し、必要かつ最適な予測を実現するヒントとしてご活用ください。

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1.需要予測とは何か

需要予測とは過去のデータに基づき、自社の商品・サービスの需要を中長期的に予測することです。需要は多くの要因によって変動し、企業活動の多方面に影響します。

    <例>レジャー施設
    レジャー施設の需要に影響を与える要素は、以下の通りです。

  • 季節
  • 曜日
  • 時間帯
  • 天候
  • イベントの有無
  • など

需要予測は、経験や勘ではなくデータに基づいて行うことが大切です。精度が高い予測により、商品準備や人材配置の最適化が可能になります。

2.需要予測が注目される背景

昨今、需要予測への注目度が高まっています。その背景を3つの観点から解説します。

市場競争が熾烈になり、企業の競争力が試されている

企業間の市場競争やコスト競争は熾烈になる一方です。需要予測がない、あるいは精緻さに欠けてしまうと、販売機会の損失や過剰在庫につながりかねません。競合優位に立つためには、緻密な予測に基づく戦略が必要です。

戦略企業が競争力を増し、利益最大化を実現するために、需要予測は重要な役割を果たします。

ユーザーニーズが多様化し、より顧客に即した商品・サービスが求められるようになった

現在は、画一的なニーズに対応していれば商品・サービスが売れる時代ではなくなりました。企業には多様化するユーザーニーズへの柔軟な対応が求められています。SNSのクチコミを解析し、潜在的な顧客ニーズを発見し対応しようとする動きも出始めています。

顧客のいない分野はありません。今後はあらゆる分野で、ユーザーニーズに即した需要予測の重要性が高まると考えられます。

テクノロジーが進化し、需要予測のハードルが下がっている

テクノロジーが進化し、機械学習したAIを用いた需要予測ツールなど、高性能な需要予測ツールも簡単に導入できるようになりました。需要予測の裾野が広がったことも需要予測が注目を集める要因です。今後、需要予測の導入有無による企業競争力の差は、さらに拡大していくでしょう。

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3.多くの企業が抱える需要予測の課題

需要予測の精度が低い

需要予測は、算出の根拠とするデータの影響を強く受けます。適切なデータを使用しなければ精度の高い結果は出ません。データが正しくても、異常気象、感染症の流行、政情不安など、外部要因により精度が高い予測を出せない場合もあります。

営業側と需給調整側で思惑が異なり、正確な予測を導けない場合もあります。

需要予測すべき対象品目が多すぎる

需要予測すべき対象品目が多すぎると、すべての品目を同じ精度で予測することは困難です。人力に頼った予測や、アナログな手法を採用しているケースに散見される課題です。人力での予測には、ヒューマンエラーのおそれもあります。

結果的に、実務に耐える精度の予測が手に入らず、企業活動に影響を与えます。

需要予測のためのデータが不足している

需要予測の根拠とするデータに問題があり、精緻な予測が手に入らないという課題もあります。データそのものの問題とは、以下の例です。

  • 需要がわかるデータがない
  • そもそものデータが少ない
  • データが極端である
  • など

正しいデータを用意できなければ、必要な予測は手に入りません。

4.需要予測業務を改善するメリット

自社の需要予測業務の改善により得られるメリットを3つ解説します。

需要予測業務の属人化を防止できる

高度なノウハウや経験値が効力を発揮する需要予測は、属人化しやすい業務です。属人化すると、担当従業員の休職・退職時に需要予測業務が停滞してしまいます。

ツールや外部支援を導入して需要予測業務を改善すれば、需要予測の属人化を防止できるでしょう。

常に適正量の在庫を管理できるようになる

過剰在庫は、企業にとって以下のようなデメリットをもたらします。

  • 在庫の価値低下
  • キャッシュフローの悪化
  • 不要なコストの増加

需要予測は、適正な在庫量の算出にも役立ちます。予測と実際との誤差を極力小さくでき、常に適正な在庫を管理できるようになるでしょう。

人員を適切に配置できるようになる

需要予測業務の改善は人員配置にも好影響を与えます。

精度の高い需要予測により、飲食店や小売店であれば来店者数予測に応じてスタッフを配置できるようになります。シフトの無駄も削減できます。製造業や物流業でも、従事するスタッフの数、配置の最適化が図れます。

また、業務改善により需要予測担当者の業務負担を軽減できます。担当者のリソースを別の業務にアサインすることも可能でしょう。

5.需要予測:4つの具体的なやり方

需要予測のやり方は主に4つあります。それぞれの内容を詳しく解説します。

過去の実績に起因する統計的予測

過去の実績・データ使い、統計的手法によって今後の状況を予測するやり方です。統計的手法は、次章で解説する算術平均法や移動平均法、指数平滑法などがよく用いられます。
Excelで計算できるため、比較的多くの企業で取り入れられている予測方法です。定番商品の予測で特に効果的です。

ただし、過去のデータを根拠とするため、新しい要素が発生した場合は、予測の精度が低下します。

担当者や専門家の分析・考察による予測

人の経験や勘による予測も広く行われています。状況の変化に随時対応できる点が強みで、過去のデータがない新商品や、新しい市場への進出時にも有効です。

人に依存した需要予測であるため、業務の属人化が起こりやすいというデメリットがあります。複数人の意見を集約しないといけない場面では、意思決定に時間がかかる可能性も考慮しなければなりません。

マーケット調査による予測

市場調査の結果から需要を予測する手法もあります。過去のデータがない、新市場への参入時などによく利用されます。アンケート調査に基づく予測などが該当します。

人の手による調査を必要とするため、他の予測方法よりもコストと時間がかかります。ヒューマンエラーが起きる可能性もゼロではありません。

AIを活用した機械的予測

機械学習したAIを活用した需要予測は、人の手には負えないビッグデータを活用できる点が強みです。他の手法より精度の高い予測結果を導けるでしょう。

ただし、AIを需要予測に活用するためには膨大な学習データが必要です。データの学習にも時間がかかるため、導入して即時の予測活用はできません。また、数学的学習モデルから機械的に結論を導くツールであり、状況に応じた柔軟な予測は苦手です。

6.需要予測:おもな手法4つ

需要予測を導く手法は主に4つあります。それぞれの計算方法と活用できる場面を解説します。

1)移動平均法

移動平均法は、過去数か月の実績をもとに次月以降の需要予測を導きます。3か月後を予測したい場合、過去3か月の実績平均値が予測値となります。直近のデータのみで予測値を導けるため、スピーディーに予測したい場面で活用できます。

2)指数平滑法

指数平滑法は、実績だけでなく予測していた値も考慮して次の予測を導く手法です。平滑係数と呼ばれる任意の指数を加味します。平滑係数が1に近いほど、実績を重視した予測が導けます。新しいデータを予測に反映したいときに適しています。

3)回帰分析法

回帰分析法は、因果関係を持つ数値の相互の関係性を考慮し、需要を予測します。数値同士は「y=ax+b」の式に落とし込み直線で描かれます。要素の関係性から予測したいときに用いられ、需要予測に影響する要因を複数設定しての計算も可能です。

4)加重移動平均法

加重平均法は、移動平均法の手法に直近のトレンドを加味した手法です。加重係数と呼ばれる指数を各月の実績に乗じますが、最新の実績ほど大きな加重係数を設定することがポイントです。これにより、直近データをより重視した予測が可能になります。

7.精度の高い需要予測のために注意したいポイント

需要予測の精度を現状より高めるために、注意すべきポイントを4つ解説します。

精度の高いデータを用いる

需要予測には、精度が高く信頼できるデータが必要です。「データの種類が少ない」「予測に必要な項目が揃っていない」「精度が信用できない」といったデータを使うと需要予測は失敗します。

十分な量の信用できるデータを確保して臨みましょう。過去のデータを使って過去の予測をし、実績と比較するとデータの精度を確認できます。

誤差が発生する可能性も考慮する

需要予測は、あくまで「予測」です。天候不順や自然災害など、予測不可能な事態が起きる場合もあります。当たらない可能性も踏まえ、予測に依存し過ぎない計画を立案するよう心掛けましょう。誤差が発生することを前提に、予測の見直しサイクルや、定期的なチェック体制、誤差が大きくなった場合のリカバリ策などの検討もあわせて行うとよいでしょう。

需要予測で出た値と実績を比較検証する

需要予測では、予測値と実績の検証が重要です。予測と実績に乖離があっても、需要予測によって差を最小にできている可能性があります。乖離の原因を解明し、次の予測に生かすことで需要予測の精度向上にも繋がります。

ツールやAIの導入も検討する

人の手による需要予測には限界があります。精度の高い需要予測ができるツールやAIの導入も検討しましょう。スピーディーで精度の高い予測が可能になり、自動化・効率化が実現します。

需要予測ツールは2種類に分かれます。

  • 過去データを用いて統計的手法により予測するツール
  • AIを活用し予測するツール

AIは万能ではありません。予測できない事態の折に速やかに対応できず、活用までには一定以上のデータと検証期間が必要です。需要予測分野でのAI利活用は、一部企業にとっては課題がある点を押さえておきましょう。
自社の業種・業態や商品・サービスにあわせ、最適な手法の吟味が重要です。

8.企業競争力の向上を支援するERP/基幹業務システム「スーパーカクテル」

精度の高い需要予測を行うためには、実績データの整備や在庫量の見える化、最適な在庫量の把握が必要です。土台ができていない中で需要予測を試みても精度を上げることはできません。

まずは土台を整えたい企業には、「スーパーカクテル」がおすすめです。企業固有の業務プロセスに合わせたシステム構築が可能で、450業種・6,000本以上の導入実績があります。
需要予測ツールと組み合わせて効果を出した実績もあります。

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9.まとめ

需要予測は、過去のデータに基づいた将来の予測を指します。人の経験や勘に頼った予測や計算手法を用いた予測に加え、近年は使いやすい需要予測ツールも多数リリースされてきました。精度の高い需要予測を導入しやすくなったことで、企業間競争がますます激化すると予想されます。

需要予測を含めた企業の業務プロセス改善には、内田洋行の「スーパーカクテル」をおすすめします。
自社の課題にお悩みの方はぜひご検討ください。

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著者石井 陽子
株式会社内田洋行 情報ソリューション事業部
著者石井 陽子
株式会社内田洋行 情報ソリューション事業部

入社後、全国の販売パートナーを通じスーパーカクテルの拡販に従事。さまざまな業種のお客様の業務改善提案に携わる。2020年より営業経験を活かしてデジタルマーケティングおよびインサイドセールス業務に取り組んでいる。
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