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【食品ITフェア2022 オンライン】 「良い商品を良い売り方で」ごはんのおとも「ゆかり®」で著名なわくわく脇役企業三島食品の経営とは

2022/4/20 [食品,経営,セミナーレポート]

「良い商品を良い売り方で」売ることは、作り手を信頼する「良い消費者」を大切にしていく。働く人の知恵を活かし、啓蒙し、脇役としての製品価値を高め、事業を継続する経営。今回は具体的なエピソードを交えて、その背後にある社風や会社を支えるITの活用も含めた創意工夫についてお話しします。

三島食品株式会社
代表取締役社長
末貞 操 氏

三島食品のご紹介

当社は食卓のごはんのおともとして、「ゆかり®」「かおり®」「あかり®」などの商品を提供しています。中でも「ゆかり®」がメイン商品です。市販用と、業務用として学校給食、病院、レストランなどにも商品を提供しており、売上の半分強が業務用となっています。

創業者の三島哲男が掲げた「楠」が当社の基本理念であり、「良い商品を良い売り方で」が基本方針です。人に恥じない良い商品をつくり、正直な売り方をしていこうということで、私も入社当時から常に耳にし、心に刻んできた言葉です。

自分のようなぼーっとした管理者でもやって行ける仕組みを考えるぞ!

38歳のとき工場の2階を歩いていてふと、私のような者でも管理ができるように、目で見る管理、今でいう見える化を、自分なりのやり方でやってみようと思い立ちました。1997年のことです。このとき、最初に作ったのが次の絵です。

マネジメントの役割と「目で見る管理」

目で見る管理とは何か、私なりの構想を図式化したものです。絵の中に、もぐらたたきをしている人がいます。もぐらは、「ついつい」「うっかり」など、人に取りつく悪きくせ(習慣)を表しています。工場では日々さまざまなトラブルが起こります。その原因を人のせいにするのではなく、モグラと見立て、モグラが出てこない仕組みを作ることが、目で見る管理なのです。

以下は、私が思い描いた仕事の進め方や戦略について言語化したものです。これを工場で働く従業員に配り共有しました。

仕事の進め方や戦略について言語化したもの

以下は、見える化の具体例の一つです。アナログですが、工場の現状がひと目でわかるようにグラフ化したものを工場やオフィスの壁に掲示しています。

工場やオフィスの壁に掲示

見える化の道具も工夫していろいろ作りました。たとえば次の写真は、スケジューラーです。マグネットボードで工場の従業員の休暇予定がひと目でわかるようになっています。

スケジューラー用労務情報

スケジューラー用労務情報

有給休暇はきちんと取ってほしい。しかし一度にたくさんの人が休むと生産予定が狂ってしまいます。そこで、事前に誰がいつ休むのかがわかるように、従業員自らが休みたい日に自分の名札をマグネットで貼ります。赤の点線は、これ以上休む人が出ると作業に支障が出るという限界ラインを示しています。これを見ながら、従業員同士で相談して休みを調整し、皆が計画的に休みを取ることができます。従業員が自立型で管理できる仕組みであり、管理者も書類で管理するよりも簡単に誰がいつ休むのかを把握できます。

以下は、営業部の掲示板です。売上や在庫などのデータを、PDCAのサイクルに沿ってエリア分けして掲示しています。これによって、いかに売上を上げていくか、戦略・戦術や未来予測を全員が共有することができます。

PDCA見える化ゾーン

PDCA見える化ゾーン

工場や営業部門、事務部門も徹底した見える化を行ってきましたが、それだけでは十分ではない。われわれのものの考え方や見方も整えていかなければいけないという問題意識から、私のこれまでの経験から思うことを次のようにまとめて、掲示しています。

スライド資料:物の見方考え方

ひとつひとつについて説明すると長くなりますが、これらを動画にしていつでも見られるようにしてほしいという声が社員から上がり、5分ほどの動画を20本程作りました。ただ話をするだけでは学校の講義のようになるので、長寿トーク番組の「徹子の部屋」をもじって社員から私にインタビューするという形の動画にしました。毎回衣装も工夫して、面白いものに仕上がっています。

徹子の部屋をもじった動画「塩さんの部屋」

徹子の部屋をもじった動画「塩さんの部屋」

以下は「職場の病気一覧」というものです。

スライド資料:職場の病気一覧

社内でさまざまなトラブルがありますが、人を責めるのではなく、トラブルの原因を病気に置き換えて、みんなで病気を防ごうと呼びかけることで改善していく。こうすることで社内がギスギスすることなく、いい雰囲気になっていきました。

IoTにも取り組んでいます!

アナログな活動ばかり紹介してきましたが、IoTにも取り組んでいます。当社では早くからシステム化に取り組んでいます。最初の基幹システムはIBMのAS400、生産管理は私がベーシックで作り、それをバージョンアップしてきました。基幹システムは2020年に内田洋行のスーパーカクテルに入れ替えました。

自社で構築、最適化してきた生産管理システム

生産管理システムでは、荷受け→計量→調味・乾燥→検査→混合→包装→出荷のプロセスを見える化し、誤計量防止やトレーサビリティの機能も付加しています。

安全安心、見える化機能を追加

誤計量や誤投入を防ぐシステム

当社では多種類のふりかけを製造していますが、材料を混ぜるときのミスが発生しないように、誤計量防止パイロットシステム(緑ランプの指示に従って正しい仕掛品を計量する)や誤投入防止バーコードチェック(タンク番号、原料ラベル、登録シュート、自分の名前の各バーコードを照合し、誤った原料をシュートに投入するのを防ぐ)というシステムを構築しています。

中2F 誤計量防止パイロットシステム

進捗確認モニター

「進捗状況確認モニター」は、工場内の計量システムと連動し、現在の混合進捗度をリアルタイムに確認することができます。これにより、原料準備のタイミングや次の混合の準備をスムーズにでき、無駄な待ち時間をなくすことができます。

2F 進捗状況確認モニター

マニュアルのデジタル化

工場内のさまざまな機械の側には2次元バーコードがあり、端末をかざすと使い方や仕事の手順が表示されます。以前は紙のマニュアルを置いていましたが、これによってマニュアルのファイルを探し回らなくてよくなりました。

マニュアルのデジタル化

お座敷コール

1時間半に1度の作業に担当者1人を張り付かせる必要はありませんが、頻繁に経過を確認せねばならず時間に無駄がありました。そこで、必要なタイミングになったら送信機から担当者に振動や音などで知らせる仕組みを導入しました。これによって、作業待ちの待機時間が不要になりました。

お座敷コール

これらのようなシステム化・効率化は20年も前から取り組んでいます。

営業に行ったらしばらくしてあることに気づいたぞ!

量管理は月末ではなく日常管理に

50歳のときに、営業本部長になりました。ずっと生産現場にいたので、営業は全く畑違いでした。営業に配属されてしばらくすると、あることに気づきました。
それは、営業会議が毎月末に行われているということ。今起こっていることを月末にチェックするのでは遅いと思いました。月末に「うまくいかなかったので来月がんばります」ではダメです。そこで、量管理は月末ではなく日常管理にしようと決めました。工場の、「予防保全」の発想です。ことが起こる前に対策をするのです。
そこで、朝礼のあと、朝会を発足しました。そこで量管理をし、その場で商談の模擬練習も行いました。代わりに月末行っていた営業会議は過去の量管理チェックから未来の売り上げを考える作戦会議になりました。

営業成績(武勇伝)の見える化でモチベーションアップ

営業成績の見える化も始めました。トロフィーを作り、個人部門、団体部門で成績の良い者を年1回表彰し、トロフィーに優勝者の名前を入れたリボンを残すようにしました。いろいろな頑張りが記録に残ることでモチベーションアップにつながりました。

暗黙知を形式知化する仕組みづくり

営業部には暗黙知を形式知にする習慣がありませんでした。たとえば工場では、面白い仕組みや取り組みがあると、それに名前をつける「名前立て」ということを行い、よい活動を広げてきました。それを営業にも取り入れ、営業用語(営業独自の名前だて)を作っていきました。

売上未来予測を見える化

下図は営業の売上予想図です。12カ月の売上予測が色分けで描かれています。予測どおりの売上が上がればピンク、まあまあのときは黄色、うまくいかなかったときはブルーに変わります。これを見ながら朝会を行います。これによって業績を長い目で見ることができるようになりますし、自分はどこが弱いかが自覚できます。上司は、どこを支援すればいいかがわかります。

売上未来予想図

B面活動でムード作り

B面活動とは、組織図には出てこない特殊部隊による活動です。通常の任務がA面で、B面の活動はそれ以外の、強制ではない活動です。たとえば「レジェンドセンター」は役職退職をされた人にレジェンドとなってもらい、みんなを鼓舞する役を担ってもらう。「東京プロダクション」部隊は、社員が俳優や女優になり自作自演で商品の宣伝動画を作ります。以下は、これまで「東京プロダクション」が制作した動画の一覧です。

東京プロダクション

「朝からスバット!」部隊は、朝会の時間に「朝からスバット!」という生番組を放送し、各拠点の良い取り組みや工夫を発表します。これによって、普段なかなか接点のない拠点間のコミュニケーションを図っています。

「ポイントチェックセンター」部隊は、様々な商談資料をデータベース化し、スマホで二次元バーコード検索できるようにしました。お客様先を訪問する前に営業車の中でさっと資料をチェックして予習ができ、商談に役立てるというものです。

こうした営業員のB面活動は全部で10個くらいあります。日々の刺激になり、また社内や拠点間の連帯感を深め、非常によい雰囲気づくりに役立っています。

自然発生的に始まったお客様参加型のマーケティング

そうこうしていると不思議な展開になってきました。
最初は2018年5月のことです。ツイッターに「ゆかり®、かおり®、あかり®は三姉妹だった」という書き込みが投稿されました。

当社としてはそういうつもりではありませんでした。「ゆかり®」は私の入社時にはすでにあった商品で、「ゆかり®」という商標名は、古今和歌集の中から雅な名前を取ったと聞いています。しばらくして「かおり®」という青じその商品が出ました。香りがよいため「かおり」と命名されました。次にたらこのふりかけ「あかり®」ができました。よく考えたらどれも人の名前のようです。これがSNSで「三姉妹だった」と話題になり、売上が急上昇しました。その後、カリカリ梅の「うめこ®」ができ、これもバズって一挙に原料が足りなくなりました。昨年(2021年)、広島菜を使った「ひろし」という商品を出しました。「うめこ®」ほどは売れないだろうと油断していたらこれも大変よく売れて、1カ月と1週間で1年分売れてしまい、原料不足になりました。今年2月には「かつお」という商品を出し、こちらもおかげ様で好調です。

以下の写真は、ある大手量販店さんの店頭の様子です。

ある大手量販店さんの店頭の様子

このように、毎年ストーリーのある展示をしていただいています。他の量販店でもそれぞれに工夫した擬人化ポップを作ったり、人気投票を企画してくれたり、盛り上げてくださいました。それをまた写真に撮ってSNSにアップする人が出てきて、どんどん盛り上がるという、不思議な現象が起こり始めています。

こちらが意図したわけではないのに、お客様が面白がって家系図を作ってくれたり、いつのまにかお客様参加型のマーケティングになっていました。

お客様参加型のマーケティング

なぜバスったのか、私なりの勝手な仮説ですが、まずは「ゆかり®」「かおり®」「あかり®」を擬人化したことで人の脳に強く印象が残ったのではないか。SNSの書き込みには、「買って帰る」ではなく「連れて帰る」と表現されていることからも、それがうかがえます。また、当社としては意識していませんでしたが、次第に「ゆかり®」「かおり®」「あかり®」が人格を持つようになり、目を引いたのではないか。当社も「うめこ®」あたりからファミリーを意識するようになり、「ひろし」は意図的に出したものです。これによってストーリーが決定的になり、それにお客様が乗ってさらに盛り上がるという状態になったのではないでしょうか。

このようなことで話題を呼び、「カンブリア宮殿」ほか、多くのテレビ、雑誌、ラジオにも取り上げていただきました。

今後も、さまざまな創意工夫でわくわくしながら、「良い商品を良い売り方で」の基本方針を守り、人に恥じない良い商品をつくっていきたいと思います。

食品業の経営者・マネージャーの皆さまへ

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