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【食品ITフェア2022 オンライン】 クックパッドが月間5700万人のビッグデータから見通す未来
食ビジネスの成功可能性を高める

2022/4/20 [食品,セミナーレポート]

コロナで生活者の価値観や消費行動が爆速で進化しました。行動データは今この瞬間から過去になりますが、クックパッドは、その膨大なデータから未来の食マーケットを予測できれば、そこに大きなビジネスのチャンスが生まれると考えています。ゲームのルールを変えられる今、ビッグデータを参考に立ち上げたクックパッドの2つの新規事業についてご紹介します。

クックパッド株式会社
Japan 執行役員
北井 朋恵 氏

※本記事は2022年3月2日に開催されたオンラインセミナーの講演をもとに構成しています。

生活者の行動データを使った自社の事業開発

弊社は様々なビッグデータを保有しています。まず、運営するレシピサービス「クックパッド」の検索キーワードのデータ。次に、ユーザーアンケートによる意識データ。そして「クックパッド」へ投稿されたレシピや、そのレシピを作ったユーザーから投稿される「つくれぽ」などの行動データで、これらから人気のメニューや好まれる料理の傾向を把握できます。更に、クックパッドニュースや企業様向けに配信しているFoodClipの記事PVからも読者の興味や課題が推測でき、これらのビッグデータを分析して、多面的にユーザー動向を仮説立てしています。

コロナ発生直後、スーパーの棚から乾麺やホットケーキミックスが消えた、という現象を覚えている方もいらっしゃるでしょう。2020年の初めは、備蓄した素材を使う為のレシピが多く閲覧され、弊社では、ある程度その動きを予測できていました。なぜなら、大規模台風が発生した2019年にも同様のことが起こったからです。

「ホットケーキミックス」が多く検索され、台風などで外に出られない時は、ホットケーキミックスを使って家でお菓子を作るという行動が起こることを学習していました。ただ、コロナ禍は台風と違っておうち時間が長期化し、その間の生活者の行動はめまぐるしく変化しました。2020年の夏には、コロナ蔓延防止対策のため外食ができなくなり、ファストフード系の味を懐かしむ気持ちからか、「すき屋」などのフランチャイズ系の味つけ検索が増加。外食産業もいち早くテイクアウトやデリバリーをスタートしすぐにその検索は減少。次は高級食材へと関心が移りました。外食でしか食べられない料理や高級食材をおいしく食べたいという気持ちから「鯛」「あわび」「プロの味」などのキーワード検索が増加しました。

2020年の秋は「ブロック肉」「ローストビーフ」などの検索が増え「新しい調理者」の出現を感じ、2021年には、市販のルーを使うのではなく、スパイスから本格的に作る「スパイスカレー」がブレイクしたことで、時間や手間のかかる料理を作る「新しい調理者」の定着を確信しました。

めまぐるしく変化する生活者の価値観 -レシピの変化-

調理家電の消費動向

コロナ発生直後に検索が増えたのが「ホットプレート」「ホットサンドメーカー」です。ステイホームになると家で料理を作る頻度が上がり、家庭の主婦の負担が重くなりました。だからこそ、ひとりで抱え込まず家族と作る工程を楽しむという行動パターンが垣間見える消費行動でした。
2020年の春から、夏のボーナスに向けて「高機能トースター」「高機能電子レンジ」の検索が増加。高機能家電で、プロの味を効率よく再現したいというニーズの表れを感じました。次のブームはほったらかしで調理ができる「電気圧力鍋」の買い足し行動、その後は「低温調理器」や「ブレッドオーブン」など、機能特化型の調理器具が売れ始め、通常主婦が好まない単一機能の調理家電の検索行動は趣味の料理、プロの技術を求めていることの表れで、ここでも「新しい調理者」となる趣味の料理を楽しむ生活者の出現をキャッチできました。

健康価値の変化

コロナ前は「糖質ゼロ」「減塩」など、特定成分を“摂取しない”ことによる健康管理が中心でしたが、コロナが発生し、得体のしれない不安から、体に良いもの全般を取り入れる動きが急上昇しました、それが落ち着いた2020年春には、在宅勤務が増え体重増加した為、ダイエットへの関心が高まります。摂取カロリーの削減、“体から出す”ことによる健康管理に多くの人の気持ちが向かいました。2021年には、コロナの収束の気配が見えないことから、自分自身の体力を強化しようと免疫力を高める志向性が高くなり、具体的な栄養素を積極的に摂取しようとする動きが現れます。「免疫強化」「栄養」という検索が増え、良いものを“体に入れる”という行動に進化し、合わせて消費行動も変化したように思います。

めまぐるしく変化する生活者の価値観 -健康価値-

この様に、調理者はコロナ前後で大きく変化しました。「クックパッド」のユーザーは圧倒的に主婦が多く、コロナ前は、なるべく簡単に、失敗せず、家族においしいものを食べさせたい、子どもがぱくぱく食べるものを提供したいという責任感をもって料理をしている方が多かったのですが、コロナが長引き、効率よく無理せず作らなければ疲れる。家族とおいしいものを簡単に食べられるよう、即食系やレトルト、デリバリー、高級家電を有効活用しながら乗り切ろうという動きが出てきました。

一方で、趣味としての料理のニーズが高まり、男性や独り暮らしの人がプロ級の手間をかけ、選びぬいた調理器具を使った料理をかっこよく作る、「新しい調理者」が登場しました。

調理者の変化

クライアント事業の成功可能性を高める

(1)新たなふたつの事業を発足

このように、生活者が変化しているのなら、私たちが提供する情報は、不十分ではないかと考えました。また弊社には、メーカーと生活者のニーズのマッチングという大きなミッションもあり、コロナによって生活者のニーズが変化したのなら、マッチング方法も進化しなければ、とも感じたのです。
このような背景から、急遽、ふたつの新しい事業の検討を開始し、サービス提供を開始しました。

ひとつは、「クックパッド・アライアンス」で、2020年11月から組織を立ち上げ、2021年8月にサービスをスタート、もうひとつは「メーカーズタウン by Cookpad」で、2021年9月にフィジビリティを開始し、2022年3月に正式にスタートしました。

(2)クックパッド・アライアンスとは

クックパッド・アライアンス

生活者のニーズが多様化するなら、提供する情報も多様化しなければ料理が楽しくなりません。「クックパッド・アライアンス」では、地方で良いものを作っているにもかかわらずあまり知られていない企業とアライアンスを組み、ニーズ調査、ビッグデータに基づく商品開発や広告宣伝、販売促進、実販売まで、バリューチェーン全ての支援に加え消費者をロイヤル化=ファンづくりの支援まで行い全国規模まで持っていくことにチャレンジしています。

(3)メーカーズタウン by Cookpadとは

メーカーズタウン by Cookpad

弊社のマンパワーでは、上記のようなフルサポートをできる企業様の数が限られるため、「メーカーズタウン by Cookpad」というコミュニケーションプラットフォームを作りました。

メーカーは従来のような一方的なアプローチでは生活者の心を掴むが難しくなります。メーカーと生活者が集い、ファンを形成していく新たなコミュニケーションプラットフォームとしてコンテンツ投稿、SNS連携、EC連携、アイディアファンディングなど様々な機能を通じてファンとの接点強化を行い、更にそのファンが新たなファンを創り出してくれる、まさにファンマーケティングの場を構築していくことを狙っています。

データから予測する今後の変化

(1)今後の健康価値はどう変化するか

弊社に集まる大量のビッグデータから少し先の未来を予測し健康価値について考えてみます。
すでに述べたように、コロナ前→コロナ発生→コロナ直後→コロナ真っ只中で、生活者の健康志向は変化してきました。今後はどのように変化していくのでしょうか。

コロナが落ち着き出す今後の健康価値

3回目のワクチン接種も始まり、治療薬の開発も進んでいる今、以前のような緊急性が軽減されるからこそ、「安心して取り入れ続けられる健康管理」への関心が強くなると考えられます。

(2)オーガニック、無添加への関心の高まり

これを裏づけるように、オーガニック食品市場の規模が年々拡大しており、今後もその傾向は続くと考えられます。

弊社レシピサービスへの投稿数も、「オーガニック」を含むものがぐっと上がってきており栄養価の高いオーガニック食品をあえて選択し、健康管理する意志が見えます。弊社で実施したアンケートでも「オーガニック」「無添加」に対する評価が高まり、一方で「糖質ゼロ」や「ヘルシー」などの検索は下降傾向です。

このふたつのキーワードは、正月太りへの反省から、必ず正月後に盛り上がる傾向がありますが、今年は昨年同時期と比べると大きく減少しました。

「オーガニック」を含むレシピ比率と予測

「糖質ゼロ」や「ヘルシー」の検索が減っているのは、健康管理の価値観が変化したという要因もありますが、各企業が発売する「減塩」「糖質ゼロ」の商品が充実し料理のシーンで自身が意識しなくてもよくなった、すなわち消費者の「不」は解消されてきているという背景も考えられます。そうであれば、今から「減塩」「糖質ゼロ」の商品を開発するよりも、次にブレイクしそうなものを見越して開発したほうが成功可能性は高いということになります。

(3)「タンパク質」はバリエーション次第でまだまだ高い可能性

「キーワード検索を見ると、「タンパク質」への興味は絶えないと言えそうで、タンパク質摂取のバリエーションは以前にも増して必要となってくるでしょう。

コロナ前は、タンパク質は真剣にトレーニングをする人に必要不可欠なものでした。コロナ後は、タンパク質が筋肉にはもちろん、髪や皮膚、爪など美容にも良い、またシニアにとって必要不可欠な栄養素であることなど、多岐にわたる効能を生活者が理解しはじめ、すそ野が広がりました。プロテインドリンクやプロテインバーだけではなく、女性やシニアが取り入れやすいバリエーションが必要不可欠だと感じます。

またタンパク質の加工品のバリエーションも求められています。ここ数年、右肩上がりだった大豆ミートも少し落ち着き、一方で、同時にカルシウムも摂取できる「いわし」のキーワード検索が増加。植物性タンパク質も、大豆だけでなくえんどう豆やひよこ豆など、バリエーションのニーズが高まると思われます。

動物性タンパク質のバリエーションという観点では、魚に注目しています。魚は、養殖技術や冷凍技術が格段に進化し、おいしいものを届けられるようになりました。「骨」がネックになりますがそこをクリアすればブレイクが期待できます。

「タンパク質」キーワードの検索頻度と予測

ブームを創り出す時、手に入れられる方法を構築することが肝となり、生活者ニーズが高まっても、それがないと当たり前にはならないと考えています。ぜひ皆さんと一緒にブームから当たり前を構築できる様、考えていきたいところです。

現在、魚で健康的な食生活を送って頂きたいと考え、弊社とアライアンス企業と共同で魚の新商品を開発しています。
ご興味があればぜひお問い合わせください!

(4)「腸活」や「発酵食品」「食物繊維」は今後のねらい目

腸活は2021年の後半からぐっと伸び、腸のコンデションを整える効能の広さを認知し始めたことの表れだと思います。現在、腸活に有効な善玉菌を摂取できる食材は、ヨーグルトの独り勝ち状態ですが、それ以外で腸活に良い食材は何なのか?どうすればおいしく腸活ができるのか?生活者の迷いがデータから読み取れます。ここには商品開発の可能性を感じます。

「腸活」キーワードの検索頻度と予測

サスティナビリティのある食生活という観点から「発酵あんこ」「塩麹」「手作りヨーグルト」などの発酵食品を使った料理キーワードも人気です。免疫力や腸活にも効く体に良いものを安心して食べ続けられる「発酵食品」の活用も、今後多様化していくと考えられます。

「発酵あんこ」「塩麹」「手作りヨーグルト」キーワードの検索頻度と予測

(5)アジアのソウルフードニーズは今後も上昇

「海外旅行に行けない」ことに加え「主食バリエーションの欲しさ」から、アジアのソウルフード需要も高まっています。
韓国の「サリ麺」、中国の「豆腐干(とうふかん)」の検索ワードが伸びていて、今後もこの領域への関心は続きそうです。

「サリ麺」「豆腐干」キーワードの検索頻度と予測

(6)SDGsは消費を後押しする

最近、SDGsは家庭にも浸透してきました。コロナが短期間で世界中に広まったことから、世界は狭いと感じた人も多いのではないでしょうか。それゆえ、日本以外の国の環境破壊が遠いものではなくなり、CO2削減の意識もこれからより高まると考えられます。食品ロスを減らすための「リメイク」(残りものを使った料理)のキーワード検索が増えていることからも、環境への関心の高まりが見てとれます。また代替肉としての「大豆ミート」は、ヘルシー文脈のほうが強く認知されマーケットシェアを獲得してきた印象ですが、SDGs文脈のコミュニケーション戦略をとった時にどう変化するかはとても興味深い項目です。

「SDGsに貢献している」ということは、何かを買ったり食べたりするときの“言い訳(口実)”にもなり、消費行動のトリガーになると思われます。

食品ロス回避の検索ワード

弊社のミッションは、「毎日の料理を楽しみにすること」です。私達の保有するビッグデータが企業の皆様にも役立つのであれば、ぜひフル活用して頂きたいと思います。

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