
実際に管理会計でどのような業務を行うのか理解しにくい場合は、管理会計システムの導入がおすすめです。企業の導入事例や導入のメリット・デメリットを紹介しますので、参考にしてみてください。
1.管理会計とは
管理会計とは、企業経営におけるマネジメントや迅速な経営判断、意思決定を手助けする会計業務のことです。会計データに基づいて事業・年度・地域別に分析し、レポートを作成します。作成したレポートは、企業の経営者層に経営状況・予測を報告するために用いることが一般的です。
レポートの形式は特に定めがなく、内容も経営者層の指示によって異なります。ただし、迅速な経営判断が求められるため、リアルタイムかつ正確な数字の報告が求められる業務です。
- 管理会計機能の例(スーパーカクテルCore会計)
2.管理会計の主な業務内容
管理会計では主に、経営分析・原価管理・予実管理・資金繰り管理などの業務を行います。それぞれの業務内容は、以下の通りです。
1)経営分析
・経営状況を業績評価や事業評価、会計情報のデータから分析
・シミュレーションをもとに予測を行う
2)原価管理
・設定した標準原価を実際の原価と比較して分析
・品質をキープしたまま標準原価を下げる目的がある
3)予実管理
・予算と実績の金額を比較
・期首から期末だけに限らず、月次も管理し目標達成を目指す
4)資金繰り管理
・入出金を管理し、過不足を調整
・資金繰りの方針を設定
3.従来の管理会計は Excel で行っていた
管理会計の際、Excel を使用して手作業で行っている企業が多くありました。Excel を使用した管理会計は、データ更新に時間がかかったり、ヒューマンエラーが起こりやすかったり、問題が発生しやすくなります。また、複数の Excel シートを用いて情報を管理しなければならず、一元管理が難しい課題を抱えていました。
さらに、Excel での管理会計は、基本的に手作業で入力・分析しなければならず、属人化しやすくなります。加えて、ほかの従業員へ業務を引き継ぐためのリソースも必要です。
4.管理会計システムの導入がおすすめ
Excel をはじめとする手作業で管理会計業務を行っている場合、管理会計システムの導入をおすすめします。管理会計システムを使用すれば、データをシステム内に集約し、一元管理できるようになります。データを何度も入力しなくても済むため、入力ミスが生じにくく、より正確なデータを算出可能です。
また、データをシステム上で一元管理できるため、担当部署から取り寄せる時間がかからず、リアルタイムな情報収集が可能です。企業経営における迅速な判断を行い、対策を講じやすくなります。さらに、社内全体で使用するフォーマットが統一されるため、データの比較を簡素化し、業務効率の向上が見込めるでしょう。
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5.管理会計システムの主な機能
管理会計システムの導入により、業務効率化に加えて、長期的な戦略を立てるサポートが可能になります。管理会計システムに搭載されている主な機能は、以下の通りです。
1)予算策定
・将来の財務計画を設計し、目標に基づいて予算を決定
・資金の最適化を図る
2)コスト管理
・コストを詳細に計算し、削減に向けた課題を明確化
3)パフォーマンス評価
・業績データと予算計画を比較し、業績評価を実施
6.管理会計システムのタイプ
管理会計システムには、企業のニーズに応じた3つのタイプがあります。それぞれのタイプが持つ特徴を理解した上で、自社に合った管理会計システムを導入しましょう。
1)経営管理に特化したタイプ
・企業の戦略や意思決定を効果的にサポート
・KPIモニタリングやリスク評価、戦力的予算管理の機能がついていることが多い
2)予実管理が強化されたタイプ
・予算と実際の業績を比較して差異を特定
・差異分析ツールや予算追跡機能などがついていることが多い
3)財務会計と統合されたタイプ
・管理会計と財務会計のデータをシームレスに統合
・包括的なレポート生成や財務プロセスを自動化できる機能が多い
7.管理会計システムの選び方
管理会計システムの導入効果を最大化するには、自社のニーズにマッチしたシステムを選ぶ必要があります。管理会計システムを選ぶ際は、以下5つのポイントを押さえて自社に適したものを選びましょう。
- ニーズにマッチした機能性の有無
- UIの扱いやすさ
- サポート体制の有無
- システム連携のしやすさ
- 将来的な拡張性の高さ
自社の課題を解決し、効率的に経営管理を行うには、ニーズに合った機能性が充実しているか確認しておくと安心です。業務の効率化には直感的に使用可能かどうかもポイントであるため、UIの扱いやすさも注目しましょう。サポート体制の内容も確認しておくと、トラブル発生時も焦らずに済みます。
また、ほかのITシステムと連携可能なシステムであれば、さまざまな情報を一元管理でき、業務効率化が期待できます。機能拡張の柔軟性も経営拡大・成長には欠かせません。
8.管理会計システムの導入で成功するコツ
管理会計システムを導入して成功するには、まず費用対効果が高いかどうかをチェックしておく必要があります。システムによっては、導入コストやランニングコストに見合った効果を得られないケースも考えられるでしょう。
また、自社のニーズに合ったシステムかどうかも確認が欠かせません。十分に機能が備わっていない場合は、必要に応じてカスタマイズがおすすめです。
システムの機能を最大限に活用するため、システム導入前に従業員への徹底した教育も大切です。デモやトライアルなどを活用してもよいでしょう。
9.管理会計システムを導入するメリット
管理会計システムを導入して成功するには、まず費用対効果が高いかどうかをチェックしておく必要があります。システムによっては、導入コストやランニングコストに見合った効果を得られないケースも考えられるでしょう。
管理会計システムを導入した場合、効率的かつ正確な予算管理が可能です。データ入力の自動化によって、予算作成や調整にかかる時間を短縮します。また、市場や経営状況に応じて柔軟かつ迅速に予算を調整可能です。リアルタイムなデータ集約や分析により、経営者層による経営判断や意思決定が迅速になります。
さらに、経営状況を見える化できるため、問題の発生を早期に発見可能であり、対策しやすいでしょう。財務の透明性が向上し、財務データを詳細に管理できるため、リアルタイムのレポート作成が可能であり、経営者層が企業の財務状況を把握しやすくなります。財務状況によっては、リソースの最適化でコスト削減も可能です。
10.管理会計システムを導入するデメリット
会計システムの導入によって、初期費用がかかる点はデメリットとなるでしょう。導入に向けた従業員の教育や環境設定も必要であり、ランニングコストも見越した予算設定が欠かせません。
従業員への教育をしなければシステムを使いこなせず、本来の機能を発揮しきれない可能性があります。そのため、管理会計システムの導入には、研修やサポート体制の整備が求められるでしょう。
また、データ移行や連携など、導入までのプロセスが煩雑なシステムもあり、時間がかかるケースもあります。必要に応じてカスタマーサービスの利用の検討が有効です。
11.管理会計機能を備えた会計システムの導入事例
管理会計機能を備えた会計システムの導入によって、経営にどのような影響があったのか、いくつかの導入事例をご紹介します。
阪神低温株式会社 様(冷凍食品メーカー)の事例
阪神低温株式会社様では、複数のシステムを導入していたため、連携不足が生じていました。また、BtoBからBtoCへのビジネス転換により、既存システムが使いにくくなったことがきっかけで、スーパーカクテルコアFOODsとスーパーカクテルコア会計を導入しています。
スーパーカクテルコアFOODsとスーパーカクテルコア会計の導入と連携により、企業全体の業績を把握しやすくなりました。情報の一元化が実現したことで、経営者層による経営判断の迅速化を支援しています。
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拠点間のデータを連携し、経営判断をスピードアップ。会社としての一体感も高まった
ぼんち株式会社 様(米菓製造・販売業)の事例
ぼんち株式会社様では、データの収集・加工が属人的で、手間や時間がかかっていました。同じ仕入れ先から購入している揚げ油の購買価格が統一されていなかったことなど課題が多く、その解決のため企業全体でのシステムを統一しようと、スーパーカクテルデュオFOODsとスーパーカクテルデュオ会計を導入しています。
システム導入後はデータを連携し、一元管理できるようになったことで業務効率化・省力化を実現しています。在庫管理や受発注情報を共有し、顧客からの問い合わせに対しても迅速な対応が可能になりました。
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部分最適から全体最適へ。情報一元化によるコスト削減とトレーサビリティの徹底による安全確保を実現。
業務用調理原料製造業の事例
業務用調理原料製造業の企業様では、システム導入前、実績集計ができず製品の個別単価が不明になる事態が発生していました。工場・ライン・商品それぞれの製造原価を把握する目的で、スーパーカクテルデュオ会計とスーパーカクテルデュオFOODsを導入しています。
システムの導入により、工場・ライン・商品ごとの実際原価を把握できるようになりました。迅速な問題特定と対策を実現し、適切な経営判断と明確な経営指標の確立を可能にしています。
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販売・生産システムを統合。様々なデータを一元管理することにより、業務処理を大幅に軽減
理化学用・医療用ガラス器具製造業の事例
理化学用・医療用ガラス器具製造業の企業様では、帳票の作成に時間がかかったり、情報の把握にラグが生じたりする課題を抱えていました。また、メンテナンスが複雑で、仕訳業務の負担増加も起きていたため、スーパーカクテルデュオ会計とスーパーカクテルデュオ販売を導入しました。
システムの導入により管理業務を一元化し、メンテナンス業務の効率化とヒューマンエラーの回避を実現しています。売上統計の分析がしやすくなり、経営判断の迅速化にも成功しました。
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販売管理と会計管理システムの連携により、業務効率化と転記ミスを削減
生ゴム・ゴム製品卸売業の事例
生ゴム・ゴム製品卸売業の企業様では、販売管理システムと会計システムが連携しておらず、入力をはじめとする事務業務に時間とコストがかかっていました。課題解決に向けて、スーパーカクテルデュオ会計とスーパーカクテルデュオ販売を導入しました。
システムの連携により、データ連携が簡単になり、業務効率の向上が実現しています。顧客対応が迅速になったことで、顧客満足度の向上にもつながりました。
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会計システムと販売管理システムをスーパーカクテルで連動し、業務処理を大幅に削減
合成樹脂加工、卸売業の事例
合成樹脂加工、卸売業の企業様には、顧客ごとの与信管理を行い、リスク管理を徹底したいという要望がありました。従来の方法では顧客ごとの取引履歴や情報が共有できておらず、対応に遅れが生じる課題も抱えていたことから、スーパーカクテルデュオ販売とスーパーカクテルデュオ会計を導入しています。
システムの導入後、与信管理を徹底して実施できるようになり、不良債権の減少につながりました。取引履歴や情報を共有可能になったことで、顧客対応の迅速化も実現しています。
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CRM(顧客管理)機能により、きめ細かい顧客対応を実現
12.まとめ
管理会計は迅速な経営判断や意思決定につながっており、迅速かつ正確な業務が求められます。手作業によって管理会計業務を進める場合、時間がかかってリアルタイムでの更新ができなかったり、入力ミスが生じたりしやすいため、管理会計システムの導入がおすすめです。
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