1.生産管理とは
生産管理とは、製品の生産プロセスを計画・実行・監視・改善を行うことで、生産計画に沿って製品を製造するための管理活動全般のことです。生産管理を適切に行うことで質の高い製品を効率的に生産できるようになるため、コストや納期を最適化することができます。具体的な業務としては、資材調達や在庫管理、生産計画、品質管理、工程管理などが挙げられます。
生産管理と工程管理の違い
生産管理とは、製品の生産プロセス全体を管理することで、生産プロセスの計画や実行、監視、改善などを行います。一方、工程管理とは生産プロセスのなかで、特定のプロセスや作業の進捗状況を管理することです。つまり、生産管理は生産プロセス全体の最適化、工程管理は各プロセスの効率化や品質管理を目的としているという違いがあります。
2.生産管理を行う目的
製造業において企業の利益を最大化するためには、「品質(Q)・コスト(C)・納期(D)」が重要で、これらをまとめてQCDと呼びます。QCDを最適化することで、利益の最大化を目指します。
生産プロセスの確認・改善を続けることで、機械の故障や人的ミスなどを減らし、生産プロセスの安定化や生産ラインの稼働率向上にも役立ちます。また、全生産プロセスを把握して管理することで、効率的に業務を遂行する環境が整うため、生産業務全体の効率化を図ることも可能です。
QCDを最適化とは?
前述したように、製造業において企業の利益を最大化するためには、QCDの最適化が重要です。QCDの最適化こそが生産管理の大きな目的だといえるでしょう。生産活動を効率的に行うことと、顧客が満足できるサービスを提供することを両立するためにも、「品質(Q)・コスト(C)・納期(D)」という3つの要素を維持・向上させることが大切です。
3.生産管理の主な業務内容
生産管理にはどのような業務があるのでしょうか。ここでは、生産管理の主な業務について解説します。
需要管理(受注管理・需要予測)
需要管理とは需要情報を管理する業務です。従来は需要に基づかない「プッシュ型」が主流でしたが、実際の需要を参考にした「プル型」への移行が進んでいます。
見込み生産を主とする企業では、過去の販売データや外部情報を分析して精度の高い需要予測を立てることが重要です。一方、受注生産型の企業では、内示や受注情報を基に正確な生産計画を立てる必要があります。
生産計画
生産計画とは、需要予測を参考にしながら必要な資材や設備、生産ラインの準備期間、人員配置といった生産計画を策定する業務です。生産計画は、生産能力と供給観点の2つを考慮する必要があります。現在の設備や人員でどの程度供給できるのか、何をどの程度作るのかを考えたうえで、月次・週次・日次の順で計画を細かく落とし込みます。
調達・購買
調達・購買とは、生産計画に沿った資材の調達・購買計画を立てる業務です。調達制約のある原料・資材は、サプライヤに枠取りをして必要量を確保するなど、過不足なく調達できるようにします。また、購買業務はS2C(Source to Contract)とP2P(Procure to Pay)の2つに分けられており、P2Pは自動化や外注が進んでいます。
製造管理・工程管理
製造管理・工程管理とは、生産計画に沿って現場での作業を管理する業務です。生産計画をスムーズに進めるためには、進捗管理やスケジュール管理が欠かせません。また、QCDを向上させるためには、生産プロセスのコントロールや進捗の管理を適切に行うことが重要です。予想外の事態にも柔軟に対応しながら、作業の標準化を図ります。
品質管理
顧客満足度を向上させるために、品質要求を満たしているかチェックする業務が品質管理です。品質管理は、完成品だけではなく資材や仕掛品などにも必要です。資材から完成品までの品質をチェックして、工程管理や品質の検証・改善などを行います。また、トラブルに備えてトレーサビリティの管理を行うことも重要です。
在庫管理
在庫管理とは、製品の在庫状況を把握したうえで生産計画を調整する業務です。各種在庫を適切に管理し、生産・販売に供給します。具体的な業務としては、在庫の入出庫管理や滞留在庫・不良在庫の廃棄、棚卸しなどです。在庫管理を適切に行うことで、保有コスト削減やキャッシュフローの向上などが見込めます。
原価管理
原価管理とは、標準原価と実際にかかった実際原価を比較し、問題点を分析・改善する業務です。原価管理は、材料費・労務費・経費などを、直接費と間接費に分けて管理・配賦します。原価管理ルールを適切に設定すること、精度の高い実績取得をすることにより、企業の利益向上につながります。
外注管理
外注管理とは、生産プロセスにおける一部、あるいは全プロセスを自社で行わずに、外部業者に委託した際の業務です。外注先の選定や契約、作業進捗の管理などが必要になります。また、原材料の支給方法や完成品の品質保証などを決める必要があり、密なコミュニケーションや明確なルール設定・共有などが大切です。
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4.生産管理における課題・よくある問題点
生産管理には課題もあります。ここでは、生産管理の課題とよくある問題点を解説します。
工程進捗が把握できていない
生産プロセスの進捗が把握できていないと、どの段階で作業が遅れているのか、滞っている工程がどこかがわかりません。どの作業に改善が必要なのかが把握できず、納期遅延や計画修正の遅れなどを招いてしまうため、生産効率が低下します。進捗状況を把握することで、適切なリソース配分やトラブル対応などが可能となります。
設備・担当者の負荷状況を把握できていない
生産業務では、設備や担当者の負荷状況の把握は欠かせません。これらの負荷状況を把握できていないと、設備の故障や担当者の過労が発生しやすくなります。逆にリソースが多すぎれば、リソースの無駄遣いや不均等な負荷分散などが生じて、生産効率が低下します。適切な負荷管理は、設備寿命を延ばすことや、担当者の健康を保つことにつながり、また、同時に生産性の向上にも寄与します。
部門によって情報にバラつきがある
部門によって把握できる情報にバラつきがあると、全体の生産状況を正確に把握できないため、効率的な意思決定の妨げとなります。また、コミュニケーションミスや重複作業の発生などによって、生産プロセスが滞る可能性もあります。情報の一元管理を進めることで部門間の連携が円滑になり、生産プロセスの円滑化が可能です。
属人化が進んでいる
生産管理の属人化も大きな課題です。生産管理を特定の担当者だけで行っていると、その担当者が不在になった際に業務が滞ります。また、ノウハウも特定の担当者にだけ偏るため、情報共有が難しい、引き継ぎがスムーズに行えないなどの不都合も発生します。業務の標準化やマニュアル化を促進することで、属人化を防ぐことができるでしょう。
5.生産管理を効率化する方法
生産管理を効率化するには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、生産管理を効率化する方法を4つ解説します。
進捗状況を見える化する
進捗状況の可視化は、生産管理を効率的に行う際に重要なポイントです。進捗状況を可視化するために、デジタルツールを活用しましょう。たとえば、進捗管理ソフトウェアやプロジェクト管理ツールなどが挙げられます。これらのツールを活用することで各工程の進捗状況をリアルタイムで共有でき、誰が作業をしているか、どの作業が遅れているかなどを把握できます。
業務の標準化を進める
生産管理を効率的かつ、一定の品質で行うには、業務の標準化が欠かせません。業務の標準化を行う際には、各プロセスの作業手順を文書として書き起こし、標準化された手順書・マニュアルを作成しましょう。マニュアルを作成しておくことで、誰が作業を行っても同じ品質で作業が行えるようになります。
部門間での連携を強化する
部門間での連携を強化することで、生産の効率化が図れるだけでなく問題が起こった際に迅速に対応できるようになります。部門間での情報共有を効率的に行うために、共有のデジタルプラットフォームを導入しましょう。これにより、リアルタイムでの情報共有が可能で、意思決定の迅速化にもつながります。
生産管理システムを導入する
生産管理システムとは、生産プロセスの効率化をサポートするためのシステムです。受注管理や在庫管理、製造指示などの情報を一元管理し、業務をスムーズに進めるための機能を備えています。
生産ラインの機器と連動する製造実行システム(MES = Manufacturing Execution System)と連携すれば、現場のデータを可視化でき、進捗状況や生産効率の把握、適切な在庫管理などが可能です。
6.生産管理システム導入によるメリット
生産管理システムを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、2つのメリットを解説します。
情報の可視化に繋がる
生産管理システムを導入することで、情報の可視化が可能です。たとえば、生産状況や業務データ、進捗状況などをリアルタイムで把握できるようになります。また、生産プロセスの各工程で品質データの収集・分析も可能です。不良品や品質トラブルなどを早期に発見できるため、問題の原因特定や対策などを迅速に行えるようになります。
コスト削減が実現する
生産管理システム導入によって、コスト削減も可能です。前述したように、リアルタイムでのデータ収集と分析ができるため、生産プロセスの無駄を即座に特定し、改善に繋げることができます。これにより、資材の過剰在庫や不良品の削減、効率的なエネルギー使用が実現し、結果的にコスト削減が可能となり、利益の最大化にも寄与します。
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7.まとめ
生産管理とは、製品の生産プロセス全体を管理することです。生産管理を行うことで、自社の利益の最大化を目指します。生産管理には、進捗把握や各担当者の負荷状況の把握が難しい、部門によって情報にバラつきがある、属人化しやすいなどの課題があります。これらの問題を解決するために、生産管理システムを導入するのもよい方法です。
内田洋行は、1997年より中堅・中小企業向けの基幹業務パッケージ「スーパーカクテル」でお客様の業務改善をお手伝いしています。スーパーカクテルの生産管理・原価管理機能は、食品や化学品と言ったプロセス型製造業に特化しており、販売管理との組み合わせでトレーサビリティや在庫管理を一元的に管理可能です。生産管理の効率化をお考えなら、お気軽にお問い合わせください。
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