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【DXからERPを考える】 第1回:DXを知り、自社にとってのDXを考える

2022/3/11 [ERP,経営,コラム]

DX(デジタル・トランスフォーメーション)が全盛の昨今でも、基幹システムやERPにお悩みを感じている担当者、経営者の方は少なくありません。この連載コラムでは、「DXからERPを考える」と題して、ERP導入を支援する現役コンサルタントが、これまでの経験を踏まえて、成功するERPの導入、活用のポイントを分かりやすく解説いたします。

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
技術・事業開発本部 営業推進部 調査役
務台 博海(むたい ひろみ)氏

1998年入社。メインフレーム、クラサバのプログラマーからキャリアを開始し、Webシステム開発のプロジェクトリーダーを担当。その後自社パッケージ製品の開発、導入、他社パッケージ製品の導入のプロジェクトマネージャを担当。2012年以降は、「PMO支援サービス」として、ERPを中心とした企業基幹システムの計画策定、導入のご支援が中心。2020年より、「DX支援コンサルティング」として、より上位のDX戦略立案、組織立ち上げ等の支援を主に行っている。

【主な資格】ITストラテジスト, ITコーディネータ, プロジェクトマネージャ, PMP, システム監査, DX検定エキスパート, テクニカルエンジニア(データベース)

自己紹介、筆者の立場

最初に簡単に自己紹介をいたします。まず私の立場は、ユーザ企業(=お客さま)の側に立って、ERP導入計画を立案することです。 お客さまにとって最適なERP製品とそのベンダーさまの提案を見出して、導入プロジェクトのキックオフまでをお手伝いしております。
キックオフ以後は、お客さまとERP導入ベンダーさまが主体となってプロジェクトを進めていただいております。 そのほうが、コンサルフィーよりも導入に予算が振り向けられるし、何よりお客さまが主体となっていただくためにも良いと考えています。

私自身は、2012年頃からお客さまとベンダーさまの間に立つお手伝いをさせてもらっております。
約10年間続けてきて、お客さまからいただく声が変化してきました。
10年前は「ERP製品を導入したいのだが、やり方がわからない。自分たちだけではできない。」というお話を情報システム部門の方からいただいておりました。
それが5年前くらいから、「基幹システムの導入が課題のようだが、ITに関する課題は他にもありそうだ。何から手をつけたらいいか分からない。優先度や適正規模が判断できない。」という経営層の方からのお話が増えてきております。
そして、ここ2年ほどは、「DXなるものに多くの企業が取り組んでいる。そんな中にあっても当社はまだ基幹システムに大きな問題を抱えている。」というお話が増えてきています。

このように、お客さまの声が少しずつ変化している一方で、DX全盛の2021、2年においても、基幹システムやERPにお悩みを感じているお客さまがたくさんいらっしゃるという実感を持っています。
むしろ、DXに向けた取り組みよりも、基幹システムやERPに対する声の方が多いほどです。

DXからERPを考える

さて今回から6回にわたるコラムですが、1.誰が、2.誰に、3.何を伝えるコラムなのかをまとめます。

1.ERP導入が独力で進められないユーザ企業を支援する立場のコンサルが(ERP導入ベンダーそのものという立場ではなく)、

2.ERP導入にお困りのユーザ企業の担当者や経営者向けに。そして、ERP導入ベンダーの方にもお役に立てればと思います。両者の立場は、対立するのではなく、一緒に共通のゴールを目指すものですから、

3.「DXからERPを考える」と題しました。

DXもERPも普遍的な概念であり、”これまで”とか”これから”とかで分けるもので本来はないはずです。
しかし、コロナ禍とDXの潮流が掛け合わさったことで、社会でも会社でも多くの「当たり前」について我々は否応なしに問い直すことになりました。
その意味で、DXとERPの当たり前について、改めて見直すきっかけにしていただければと思います。

そもそもDXとは

「DX」とはどういう意味か、どういう意味で使えばいいか。今もってよく分からないという方も多くいらっしゃいます。「DX」という言葉は好きじゃない、とおっしゃるユーザ企業の方にもお会いします。
多くの人が多くの定義をしていたり、個人ごとに個社ごとに定義をすべきだという考え方もあっては、これ!というものが曖昧になっていくのも無理のないことです。
こういった考え自体には賛成ですが、一方でスタート地点、戻ってくる先を持っておくことも重要です。
私のおすすめは、経済産業省のDX推進ガイドラインに定義として明記されている内容です。
何度となく引用されている文章ですが今一度見てみましょう。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

いかがでしょうか。一読して「そのとおりだ、腹に落ちた!」と思えた方は私も含めてほとんどいないでしょう。1文に含まれる情報量が多すぎて、とてもじゃないですが頭の中にキャッシュしておけません。
これも、DXが分からない理由の1つかもしれません。
なので、私は細かく分解してお伝えしています。単純な6分割ですが、こうなります。

① 企業が

② ビジネス環境の激しい変化に対応し、

③ データとデジタル技術を活用して、

④ 顧客や社会のニーズを基に、

⑤ 製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、

⑥ 競争上の優位性を確立すること。

修飾語を全部取り除いて最初と最後だけ①+⑥の太字で見ますと、「企業が」「競争上の優位性を確立すること」となります。
これに⑤を加えると、さまざまな対象を「変革し」ということで、「イノベーション経営」を言っているのだなと分かります。
しかも、経営層への訴求力抜群です。これを否定したり、理解できないと言う経営者は少ないでしょう。
ですから私は経営層の方に対して、「だから、DXは現場部門やIT部門というより経営の問題ですよ。」と申し上げています。

そのうえで、いったん③を飛ばして、②④で言っているのは、「変化に対応」「顧客、社会のニーズ」です。これも違和感もないでしょう。
コロナ禍で世界中のビジネスパーソンは、多かれ少なかれ変化を余儀なくされたでしょうから。

ここまでが納得できたら、最後に③「データとデジタル技術を活用して」を加えます。
すでに①②④⑤⑥ が経営の問題として認識できていれば、アナログ限定で競争すると自らに縛りを課す必要などないわけで、使えるものなら何でも使う総力戦で挑むべき。とすれば、「そりゃそうだよね」と全文が納得できたのではないでしょうか。
実際は、データとデジタル技術の力強さは、「使えるものなら拒まない」という猫の手的な発想どころか、とてつもない力を持っていますが、そのことへの賛否はいったんおいて、これがDXの定義として自己認識あるいは社内での共有を図るところから始めるスタート地点にすると良いでしょう。

この説明で「分かった」とおっしゃる方も多いのですが、「まだ自分のものにならない」という方もいます。
DXが良く分からない理由のもう1つは、デジタル・トランスフォーメーションが、「デジタルでトランスフォーメーションする」というものであり、何を?がない。
そう、目的語が見当たらないのです。
しかし、これは不親切なのではなく、各自各社で考えなさいと理解すべきです。
「競争上の優位を確立」するために、どこでもやっていることをしていては論理矛盾ですよね。

是非DXの定義を知って、目的語を意識した自社だけの定義や言葉などを作ってください。そうすると社内でのDXの求心力が増します。そういう企業が増えてきています。

DXを考えるにあたってもう一度コロナ禍の話に戻ってお伝えしたい重要なことがあります。
コロナ禍を経験した私たちは、これまでの当たり前が本当にそれでいいのかを突き付けられました。
通勤は本当に毎日しなければならないのか。打ち合わせは毎回リアルで会わなければならないのか。すべてのこれまでの押印が本当に必要なのか、等々。
「何を目的として」「何をするのか」
この問いこそが、DX(変革)において、不可欠です。

次回からいよいよERPです。ERPとは、何を目的として何をするものなのか、一緒にERPの「当たり前」を問い直すつもりで考えていきましょう。

第2回:ERPの位置づけを整理するもご覧ください。

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