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【DXからERPを考える】 第4回:ERP導入に向けた社内で注意すべき事柄

2022/6/6 [ERP,経営,コラム]

DX(デジタル・トランスフォーメーション)が全盛の昨今でも、基幹システムやERPにお悩みを感じている担当者、経営者の方は少なくありません。この連載コラムでは、「DXからERPを考える」と題して、ERP導入を支援する現役コンサルタントが、これまでの経験を踏まえて、成功するERPの導入、活用のポイントを分かりやすく解説いたします。

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
コンサルティング本部 経営コンサルティング部 DX戦略チーム
松家 和人 氏

経営コンサルティング部門で、国内外ERPベンダーとのアライアンス企画及びプロジェクト推進を担当。製造業向けソリューション・流通業向けソリューション・建設業ソリューション・・財務会計ソリューション等の企画推進を歴任。経営コンサルティングとITコンサルノウハウを融合させた「DXコンサル支援サービス」に従事。大企業及び大規模なERP案件におけるIT戦略立案構想などをコンサルテーションしている。

本コラム前半では、DXとERPについて改めて整理し、ERP導入・更改に際しどのような姿勢で取り組めばよいかを書いてまいりました。後半からは著者を替え、実際のプロジェクト内の注意点、勘所を解説いたします。

▼前半の記事もご覧ください
第1回:DXを知り、自社にとってのDXを考える
第2回:ERPの位置づけを整理する
第3回:ERP導入が難しいわけと、DXの突破口

経営者、企画担当者、IT部門それぞれの悩み

当社のコンサルティングサービスの1つとして「診断・予備調査」というものがあります。これは当社のフレームを用い経営・現場・ITの視点から現行システムの現状や問題の可視化、システムの解決すべき課題やその優先度を明らかにした上で、ビジョンをIT構想としてまとめ、具体的なIT対策のロードマップを策定するサービスです。その際に、経営者、企画担当者・IT部門から様々な相談を受けます。

経営者から

  • 2025年の崖に向けたDX対応に不安がある。必要なら相応のIT投資をしてもよいと思っているが、ERPへのシステム更改を進めるには何からすればよいのか。また、当社の社員だけで大丈夫か、無理なのではないのか
  • 部下にはシステム更改推進を指示をしているが、いつまでたっても実行に移せない

企画担当者から

  • システム更改の指示があったが、指示内容があいまいで、何から始めたらよいのかわからない
  • システム更改を推進するには現場の賛成を得たいが、業務を変えたくない意見が多い

IT部門から

  • システムと名がつけばすべてIT部門に丸投げ。おまけに先端デジタル技術についても検討しろと言われるが、先端IT技術の活用イメージが湧かない
  • システムはベンダー任せで、社内にIT・ERPを理解している人材がいない

つまり、経営層がERP導入を促しても、社内で動きが始まらないのです。当社ではこの様な状況を「笛吹けど踊れず」と呼んでいます。「踊らず」ではなく「踊れず」です。

笛吹けど踊れず

システム更改が進まない理由

当社はシステム更改が進まない理由として以下を考えています。

  • 社員全体のITリテラシーが不十分である
  • 社内でITのスキルを向上させるための育成ができない
  • 社内全体でDXに向けての意識改革がされていない
  • 業務改善に対して社内の抵抗がある

IT改革・促進を担う人材のスキル・経験不足。そして更改に向けた社内のマインド醸成と合意形成ができていない事が進まない理由と考えています。この人材・経験不足や思いの食い違いが、システム更改対応を遅らせ、ITリスクを誘引するのです。IT対応の軽視がレガシーシステムの老朽化やデジタル変革への遅れにつながり、放置すればシステムの破綻や事業継続性のリスクに繋がります。

システム更改を推進するために必要なのは投資費用だけではなく、以下の問題の解決が重要となります。

  • 経営層の決断
  • 具体的な課題の認識
  • ITリテラシーの向上
  • IT人材の育成
  • 改善によって生じるセキュリティリスク対策

乗り越えなければならない、ハードルが非常に多いのです。

経営者、推進事務局、IT部門の役割

①システム更改を実現するための経営者の役割

(1)ビジョンの明確化
部下に丸投げするのではなく、明確なビジョンを示すことが必要です。
ビジョン?と言われて難しく考えてしまうかもしれませんが、ビジョンとは「自社のあるべき姿」であり、「自社の将来像や目指す姿、目標」とも言えます。組織全体でビジョンの策定・共有がされていなければ、たとえ各部門が良い取り組みを進めても、組織としての力を発揮できません。ビジョンがあることで、システム更改に向けたメンバーの行動に一貫した意図が共有され、賛同・協力を得ることができるのです。

(2)推進事務局の組成
システム更改を成功に導くために「ビジネス構築や経営戦略のスキルを持った人材をアサインできるかどうか」が成否を分けるといっても過言ではないでしょう。IT部門は事業やサービスに対する知識が乏しく、現場ニーズにマッチした提案ができない方も多いです。そこで、現場業務を熟知し、業務プロセスを改革できる人材を参画させ、経営者、現場、IT部門のまとめ役、緩衝役としての推進事務局とすることが必要です。

(3)長期的な目線での投資判断
お客様から「システム更改すると売り上げに繋がるのか」「生産性は向上するのか」と質問をもらいます。
システム更改後数年たてば投資効果が反映されると思いますが、すぐに結果が出るものではありません。短期的な損得勘定を行うのではなく、長期的な目線での投資判断が求められます。

(4)導入関係者への評価
ERPを導入したけど、まったく評価がされず、批判ばかりでは社員のモチベーションも維持できません。
ERP導入に関係した者への評価が重要になります。

(5)経営陣から社員への指示
トップダウンでシステム更改の必要性を社内で理解してもらう役割が求められます。
システム更改を始めるにあたっては、経営トップのコミットメントが必要不可欠です。経営トップが本気でも、社員が自分事にしないとシステム更改は進みません。経営者のやる気を見せることで社員のボトムアップが向上し、成果を上げることができるのです。


②導入事務局の役割

(1)目標達成基準の定義
デジタル技術の導入そのものが目的にならないよう、明確な目的を立てることが必要です。
(ロードマップ、CSFやKPI化)
プロジェクトに関係するメンバー全員が、なぜそれをするのかを理解しながら進めなくてはうまくいきません。
プロジェクトの中で困難にぶつかったとき、明確な目的や目標が、前進するための拠り所になります。

(2)ビジョンの社内合意 [経営層・現場・IT部門]
明確化したビジョンを社内で共有し、合意してもらうことが重要です。
システム更改の失敗の原因の1つとして、社内のコミュニケーション不足によるプロジェクトの頓挫です。メンバーに協力を得ないまま進めた場合、稼働段階になって、クレームが入る場合があります。社内の合意形成がうまくできていなかった結果、プロジェクトが中止になるケースが見受けられます。

(3)ERP導入体制の整備
ERP導入には、業務部門はもちろんですが、IT部門、企画部門、経理部門など、システムや業務に関係する部門からの参画も重要です。協力を依頼しなかったことで、後から思わぬ問題が発覚してプロジェクトが遅延することも考えられます。スケジュールが全体的に遅れるくらいなら、初めのうちに幅広く共有しておく方が得策だと思います。


③IT部門の役割

(1)最新のIT技術を学ぶ
IT部門は最新のIT技術を理解した上で主体的に先導していく必要があります。技術動向、市場動向などITやデジタル技術に関する調査研究だけでなく、業界の動向、顧客の動向など幅広い分野に対して情報収集網を張り巡らせることが求められます。またベンダーやアプリケーションの選定において、IT技術のアドバイス提供も重要な任務となるでしょう。

(2)社内インフラとセキュリティ対策
IT部門の重要な役割として社内インフラ(サーバーやネットワーク)の構築などがあります。セキュリティ対策やデータを守るための保全対応もIT部門が行なう役割です。さらに新製品の導入検討や評価をIT部門が実施するケースも珍しくありません。

(3)意識改革の必要性
システム運用、障害対応など「受け身」だったIT部門は、今後業務プロセスを変革する役割が求められます。ユーザ部門の抱える課題、環境の変化を自ら察知し、新しい方法を自ら提案していけるような、「守り」から「攻め」へのマインドチェンジが必要となります。IT技術を最大限に活用し、もっとクリエイティブで、もっとアクティブな組織へと生まれ変わることが求められているのです。


今回はERP導入に向けた社内で注意すべき事柄を記載しました。いかがでしたか、参考になったでしょうか。

第5回:システム更改に向けた提案依頼書(RFP)の注意すべき事柄もご覧ください。

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