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【これからの働き方、これからのICT】 自分たちで業務を改善したい!ローコード開発ツールの活用

2022/5/31 [コミュニケーション,コラム]

多くの企業で利用されているクラウドサービス「Microsoft 365」を中心に、働く場とIT、ITとの関わり方、企業で導入し浸透させるにはどうしたら良いか等をご紹介する連載コラムです。「せっかく導入したMicrosoft 365をもっと活用したい」「ITツールで業務の生産性を高めたい」「新しい働き方のヒントを探している」といった方のお役に立てれば幸いです。

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株式会社内田洋行
ネットワークビジネス推進事業部
太田 浩史

2010年に内田洋行でOffice 365(Office 365の前進であるBPOS)の導入に携わり、以後は自社、他社問わず、Office 365の導入から活用を支援し、Office 365の魅力に憑りつかれる。自称Office 365ギーク。Office 365 の良さや便利さ、利活用のコツを広めるべく、セミナーや勉強会での登壇、ブログや書籍の執筆などを行っている。2013年に米 Microsoft 社より、Microsoft MVP Award を初受賞し、現在は8度の連続受賞中。

はじめに

業務におけるITの重要性が増す一方で、これまで社内システム導入のほとんどを担ってきたIT部門の限りあるリソースでは、従業員それぞれの要望に全て応えることは困難になってきました。全社では会計システムやワークフローシステムなどが導入されていたとしても、各部門では独自の業務プロセスがあったり、また、新しいビジネスを始めようとしたときに、そのプロセスを全社のシステムに実装するには多くの時間を要してしまったりということがあります。このとき、現場部門が自ら業務に必要なアプリケーションを作ることができれば、業務の柔軟性や俊敏性を高めていくことができます。そこで期待されているのが、複雑なコーディングをほとんど必要としない、ローコード開発と呼ばれる手法です。

Microsoft 365にも、ユーザーが簡単に利用でき、様々に応用しながら利用できるツールがそろっています。例えば、下図に挙げているExcel、SharePointリスト/Microsoftリスト、Power Apps/Power Automateなどです。今回は、これらの機能や使い方、使い始めるときのコツなどについて紹介したいと思います。

業務で活用したい Microsoft 365 の便利なツール

もっとも手軽に利用できるExcel

Microsoft 365に含まれるツールのうち、最も古くから利用されているローコード開発ツールはExcelでしょう。柔軟にデータを管理・保管することができ、そのデータを関数やピボットを利用して集計することもできます。これまでも、一覧化されたデータをExcelで作成し、そのファイルをメールやファイルサーバーで共有し、部内のメンバーなどにメンテナンスをしてもらうといった業務がありました。この方法の問題点は、他の人が同時に編集しようとしていた場合、その編集が終わるまで待たなければならないことでした。そうした課題には、Microsoft 365に含まれるSharePoint OnlineやOneDrive for BusinessにExcelファイルをアップロードし共有すると利用できる、同時編集機能が役立ちます。

もっとも手軽に利用できるExcel

簡易なデータベースとして利用できるSharePointリスト

データを管理し共有する業務では、SharePointリストも役立ちます。Excelのようにデータを一覧化して共有できるほか、簡単な入力フォームを備えているため、スマートフォンからのデータ入力や編集も容易に行うことができます。リストに保存されたデータは、SharePointページに埋め込んで利用することもできます。これによって、その他の関連情報と並べて表示したり、社内に広く共有したりすることができます。SharePointリストのデータはExcelへエクスポートして利用することも可能なため、集計や分析が必要な場合にはExcelを組み合わせて利用するのも良いでしょう。

簡易なデータベースとして利用できるSharePointリスト

さまざまなツールと連携できるPower Apps/Power Automate

ただし、私たちの普段の業務は他にも様々なツールを利用します。OutlookやMicrosoft Teamsを使って社内外のメンバーとコミュニケーションを取ったり、Microsoft Formsを利用してアンケートを作成し回答を集めてみたりと、Microsoft 365に含まれるサービスだけでも、いくつかのツールを使い分けながら業務を進めているはずです。Power AppsやPower AutomateなどのPower Platformを利用すると、それら様々なツールにあるデータや機能を連携させながら、業務アプリを作成していくことができます。しかも、難しいコーディングが不要なローコードで、こうした連携を実現することができます。

さまざまなツールと連携できるPower Apps/Power Automate

まずは自分たちで手を動かして作ってみる

このようにMicrosoft 365では様々な方法で、業務アプリを簡単に作成できるようになっています。これらのメリットを最大限活かすために必要なことは、「自分たちで手を動かして作ってみる」ことだと思います。理由のひとつめは、ツールの使い方を経験することで、発想が生まれる可能性が高まるからです。「こんなことが出来るのなら、あの業務に利用できるな」「この業務なら、あのツールが使えそうだ」など、発想できることが活用の第一歩です。ふたつめの理由は、機能的な制限や利用者側のスキルによる制限があるからです。特にローコード開発ツールでは、必ずそのツール自体がもつ制限があり、自分たちが求める機能を全て実現できるとは限りません。場合によっては、むしろ実現できないことのほうが多いかもしれません。そうしたときに、「ツールではここまで出来るのだから、あとは業務の進め方を合わせよう」と考えられるかが大事になります。業務の進め方を変えられるかどうかの判断は、その業務を行う自分たちでなければ出来ません。作成したいアプリの機能と業務それぞれのバランスを取りながら進めていく必要があります。

業務で素早くローコードツールを活用していくためには

このようなローコード開発ツールを使った取り組みは、まずは自分たちの身の回りの業務を対象とすると良いでしょう。例えば、業務プロセスの上流にあるシステムから届くメールの内容を確認し、メールに書かれたデータを加工してExcelシートに転記し、次の業務プロセスに受け渡していく、という業務があったとします。このとき、自分たちに直接関わる業務は、メールに書かれたデータを加工してExcelに転記する部分です。この範囲であれば、自分たちの裁量が大きく進めやすくなります。Power Platformのように様々なツールやサービスと連携可能ツールを利用することで、大きな業務プロセスフローのうち一部分だけで試すことが容易になります。

一人じゃなく複数人で同時に取り組もう

また、こうした取り組みは複数人でチームを組んで進めることをおすすめしています。これは、業務の継続性を考えたときに、誰か一人だけしか作成されたツールの面倒をみられないのでは、異動などのタイミングで放置されてしまうことが多くあるからです。さらには、ローコード開発ツールによってアプリ作成が簡単になったからと言っても、基本的な使い方やスキルの習得が必要です。何人かで一緒に学びながら進めることでモチベーションの維持にも繋がります。そのように、使い方を学び共有し合いながら、徐々に出来ることを増やしていくのが良いでしょう。

最近では、Power Platformを中心に、社内で研修を企画される企業も増えてきました。弊社関連会社のウチダ人材開発センタでも、IT知識の習得から、ExcelやPower Platformの活用など幅広い研修をご提供しています。学びはじめの一歩として、こうした社外研修を利用することもできます。

関連リンク:「オンライン」Microsoft Power Platform基礎編「今日から実践!〜Power AppsとPower Automateでチームの生産性を向上〜」(ウチダ人材開発センタ)

現場のIT活用力が重要になっていく

クラウドサービスなどを利用し、より多くの業務をIT化できるようになることで、働く場の選択の自由度も高まっていきます。また、業務が効率化されることで、より短い時間で業務が行えるようになれば、時間の自由度も高まっていくと考えられます。

業務におけるITの重要性が増すことは、つまりは、ITの活用を前提に業務を組み立てていくことになります。Microsoft 365を筆頭に、クラウドサービスが企業で利用されるようになり、より多くの機能や多くのリソースを気軽に利用できるようになりました。そして、ローコード開発ツールを利用することで、ITの専門家ではない現場の従業員でも業務アプリを作成するなど、より多くのことを自らの手で実現できるようになっています。そして、こうしたツールの使い方や使い道を知るには、自らの手で実際に使ってみることが一番の近道です。

ITの技術は休むことなく進歩していますが、私たちユーザーの視点では、より簡単に利用でき、より様々なことを実現できるようになっています。これからの企業や従業員個人にとっては、こうしたITの技術をいかに利用できるか、その方法を知っていることが重要視されていくように思います。

Microsoft 365 の導入・活用を検討されている方へ

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