HOME > 情報システム分野 > IT レポート > 第6回:親子の格闘

手をつなぐ〜障がい者福祉施設職員に届ける元気の出るコラム〜 第6回:親子の格闘

2025/2/26 [福祉,コラム]

全国手をつなぐ育成会連合会の会長、副会長、顧問、そして常務理事の皆様が執筆する連載コラムです。
障害者福祉施設職員の方々へ、制度解説から当事者家族の生の声まで、様々な視点から役立つ情報を10回にわたって発信します。障がいのある方との共生社会の実現に向けて、一緒に歩んでいきましょう。

一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会 副会長
一般社団法人鳥取県手をつなぐ育成会 会長
大谷 喜博 氏

コラムをご愛読の皆さま、こんにちは。
今月は、自身も重度の障がいの息子さんをもつ、全国手をつなぐ育成会連合会副会長による手記のご紹介です。日々の生活でのエピソードを中心に生の声をお届けします。ぜひ、福祉施設の経営者や職員の皆さまにとって、日々の施設運営や障がいのある方々へのサービス提供における励みとなれば幸いです。

最初にうちの子の障害について少しお話ししておきます。
37歳男性で重複障害があります。知的障害は中程度、身体障害は左側の麻痺があり反射(震え)が強く歩行可能ですが、坂道(くだり)が苦手です。視力も斜視のため弱く、嚥下障害があり食事は水分のものに限ります。そのため言語もダメです。文字表と簡単な手話で会話をします。
これらを踏まえて読んでいただければ幸いです。

朝の出来事

子どもの部屋は2階にあります。今の季節(冬)朝4時ごろトイレに2階から降りて来るのですが、立って降りるのが苦手なので、1段ずつ座って降りて来ます。トイレが終わると私が寝ている部屋に入って、私の枕をとって逃げます。そしてこたつに行きスイッチを入れて二度寝を行います。有無を言わさずに枕の持ち逃げです。今では枕をもう一つ用意しています。

コタツのない時期には、私の布団に入り私を押し出し私の布団をとってしまいます。私は仕方がないので、子どもの部屋に行き、子どもの部屋で寝ます。

起きるのは7時位で、起きたら食事の時間になります。食事は病院からいただいている栄養ドリンクと、その他好きな味の飲み物を約1リットル飲みます。その後の歯磨きまでが私が担当する時間です。その後はピアノの練習タイムです。8時45分の迎えまでピアノを練習する時間になります。もともと左の麻痺が強く、何か良いリハビリになるものはないかと思っていたところ、音楽療法を始めていた方が居り、そこでピアノを使ったリハビリがスタートし、30年近く通っています。皆さまが思うようなピアノの弾き方ではありませんのでご了承下さい。

朝練習をスタートして、2回ほど引くと(5回の予定)今日の分が終わったと言ってくるのですが、何回したと聞くと、指で2回終わったと言ってまた練習に戻ります。その後、また終わったとの報告が来ます。何回、指3本、また戻ります。迎えの時間、残りは帰宅後になります。帰ってから5回弾いたら朝しなくてもいいよと声をかけますが、僕は朝する。これも日課になっています。

日程の許可

我が家ではみんなの予定を大きなカレンダーに書き込んでいます。私の予定に子どもからチェックが入り、リモートか(手でイヤホンマイクの形)、飛行機(親指と小指を立てたまま前に出す)等の質問攻めにあいます。

県内外問わずどこかへ行くときは、必ず自宅を何時に出るかを伝えておかないと、朝の準備が進まないようになりますので、必ず家を出る時間を伝えておきます。それに合わせて朝の食事と歯磨きの時間が決まり、子どもからOKのサインが出ます。

私は釣りが好きなので、朝4時ぐらいに出ると言っても、その前に必ず起きて待っています。また夕方に出る時も、それに合わせて夜の食事と歯磨きが終わるように行動します。それをせずに出ようとすると、子どもからブーイングです。

リモート等の時は必ず時間をチェックして、帰った時には、必ずパソコンルームに来て横に並びオンライン会議の画面を見て、自分も写り挨拶して逃げていきます。

お風呂での惨事

お風呂の時間になると、私が入っているところにきて、壁にいろいろと文字を書き、話をします。特にどこかへ出かける日が近くなると、必ず指で「ちょっと」というサインを出します。そこで「いっぱい」と言っても、もう一度「ちょっと」というサインを出します。それに対する「そうです」というと満足なようです。3日でも4日でも「ちょっと」です。1日も「ちょっと」です。必ず帰る時間も伝えてあります。

お風呂には一緒に入って、シャンプーと歯磨きを行っています。子どもが先に上がる時に必ず風呂の排水用のボタンを押してしまうため、ゆっくり入ろうかなぁと思っても湯が抜かれてしまい仕方なく上がります。夏だけならまだ良いのですが、この冬の寒い時期にも抜かれてしまうので、やはり寒いです。

なぜ抜くのか問いかけたところ、薬を早く塗ってほしいと言われ、なるほど、と納得してしまいましたが、それでもやはり冬は寒いです。

子どもとの毎日の「すったもんだ」は生活の中の一部となり、時には辛い事もありますが、何より一緒にいる時間を楽しく過ごせることが、今は大切に感じています。

第7回の記事はこちら >>

▽福祉業界の方向けに、新着コラムやITの最新動向など、お役立ち情報をメールでお届けします!
登録は無料ですので、お気軽にお申し込みください

障がい者福祉施設の経営者・職員の皆さまへ

主な製品シリーズ

  • 文書自動配信サービス「AirRepo(エアレポ)」
  • 業種特化型基幹業務システム スーパーカクテルCore
  • 会議室予約・運用システム SMART ROOMS
  • 絆 高齢者介護システム
  • 絆 障がい者福祉システム あすなろ台帳

セミナーレポートやホワイトペーパーなど、IT・経営に関する旬な情報をお届けする [ ITレポート ] です。

PAGE TOP

COPYRIGHT(C) UCHIDA YOKO CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.