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【クラウド&ERPフォーラム】 現場の力を「競争力」に変える 〜BPMの考え方と実践ポイント〜

2016/7/8 [ERP,セミナーレポート]

BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)は、サービス目標に向かって、現場主体でビジネスプロセスを創り、PDCAサイクルを回すことで、競争力あるビジネスを作る新しいアプローチである。そのためには顧客価値を見出し、現場の知恵を結集して業務プロセスを進化させ続けることがカギとなる。

目次

  • 成果を上げるためのBPMの視点
  • 競争力のポイントは顧客へのカスタムサービス
  • 顧客価値を上げるための業務プロセス
  • 可視化が業務プロセス改善の前提
  • BPMとERPを同時にやってはいけない
メイン

 

一般社団法人 日本ビジネスプロセス・マネジメント協会
理事・事務局長 横川 省三 氏

成果を上げるためのBPMの視点

BPMを一言でいうと、『業務プロセスのPDCAサイクルを通じて成果を上げるための手法である』といえる。企画、判断、評価などの人中心の仕事を、単なる自動化ではなく、仲間で知恵を出し合って仕事ができるように、各種のアプリケーションでサポートする。それぞれの人の仕事がどういう状態になっているのか、その遂行状態を常にモニタリングして、現場の人たちで共有して業務を進めていく。業務プロセスを設計する際、どんな視点が必要かといえば、図に示す8つの視点である。特に重要なのは、「5.新しい問題・複雑な問題に対応する仕組み」である。現場の判断でさらに良いものになっていく仕掛け、それをサポートする仕掛けが入っているかが重要である。

目指すビジネスプロセスの姿〜貴社の現状は?

競争力のポイントは顧客へのカスタムサービス

ところで、一般に事業戦略をタイプ別に分けると以下の3つになる。
1.製品・技術を中心とした「プロダクトリーダー型」
2.コストやスピードを重視した「オペレーションエクセレンス型」
3.カスタムサービスを競争力とした「顧客との強い絆型」

多くの企業がこの3つの戦略タイプの重点化・組合せで戦略を立案し、ビジネスモデルを設計している。競争力という観点から、いま最も注目されるのが、3番目のカスタムサービスにより顧客との強い絆を作るタイプである。

顧客との関係性をしっかり構築して顧客価値を創出するのは、大きな時代の流れである。この潮流を形成した大きな要因は、世界的に急速に普及したSNSである。大企業だけでなく、中小企業でも顧客との接点に簡単にSNSを活用できるようになり、広くサービスを瞬時にオファーし、個別の顧客の要求に合わせたサービスを提供できるようになったからである。

この変化は新たなビジネスモデルを作るチャンスでもある。個別の顧客の要望に合わせて商品やサービスをフィッテングすることで競争力を上げることが、中小企業でもできるようになったのである。しかし、これを実現するにはITだけでなく、現実に個別顧客の要望に対応する現場の力がキーポイントになる。BPMはこれを強力に推し進めるビジネス手法である。

顧客価値を上げるための業務プロセス

このカスタムサービスは、「あなたのために設計します」というもので、個々の顧客と対面あるいはネットを通じて対話をしながら要望を引き出し、顧客の要望やプロフィールにぴったりの商品を作り上げるものである。このとき重要なのは、顧客の表面的な要求だけでなく、どのような背景・潜在ニーズを持っているかといった「顧客の向こう側」の事情を捉えることである。そうすることで顧客と共感し、本当の意味でフィットした価値を提供できるようになるのだ。

ITが進化し、SNSなどのソーシャルテクノロジーが発達した結果、顧客の考えていることや日常の行動を捉えることが可能になった。自社製品を利用している顧客が、どういう状況で利用しているのかが捉えられる仕掛けが整いつつある。ただ、せっかくソーシャルネットから情報を得ても、これに応える活動が連動していないと競争力を上げられない。具体的なレスポンスのためには、取引先や調達市場といったバイヤーフロントとの連動が必要である。

BPMのアプローチでは、ICTを使ってカスタマーフロントからバイヤーフロントまでの内部プロセスをデジタル化し、自在に連結する。これを人が間に入って電話やメールでやっていては、個別の要望の変化には対応できない。ITを使って、WEBで入ってきた顧客の情報を自動解析し、自動手配・自動報告できるようなプロセスに変えることがポイントである。

可視化が業務プロセス改善の前提

業務プロセスをBPMで変えるには2つのポイントがある。

1つは、プロセスの実行状態の可視化である。実際に今、どこまで仕事が進んだのかを追えるようにする。属人化させず、いつでも誰でも業務がどこまで進んでいるか、一目でわかるプロセスでならなければならない。可視化の最大の効果は、仕事を他の人に振れるようになることだ。担当者の手が一杯の時でも、誰かに引き継いで滞りなく仕事が繋がるようにする。

2つ目は、プロセス自体の柔軟な変更である。プロセス通りに仕事しようとしても、そうはいかないことがある。現実とズレが出てきたとき、それを捉えてどんな場合にうまくいかなかったかを把握して、プロセスモデルを改善するのである。声の大きい人、あるいはマネージャーが改善をするのではなく、実績数値として例えば「業務遅延件数が5件/日になった」といったことが定量的に捉えられ、アサインのルールや顧客との約束の際の基準を見直し、また実績を把握して修正するのである。このような改善活動がBPMの姿である。

実態を定量的に把握することで、マネージャーは今それぞれの仕事を誰がどれくらいやっているのかが見えるようになり、誰のところに業務がどれくらい溜まっていて、回っていないかが一目でわかるようになる。したがって、対応策を準備し緊急業務には他の人で対応する、簡単な仕事は若手に回す、あるいは今後増える予定の業務に対して予め人を手当てするといったことができるようになるのだ。

また、実績を個人別に分析ができるので、がんばってやってくれた人をきちんと評価できるようにもなる。メールとデータベースだけで仕事をしていると、楽な仕事を上手にやって点数だけ稼いでいる人が評価されがちで、難しい仕事にぶちあたってがんばってやっている人は実績件数が少ないと評価されにくいといった点も改善できる。BPMを行うということは、仕事ひとつひとつの難易度などを捉えて的確な人にアサインをし、本当に重要な仕事をやってくれた人は誰なのかがわかるようになる効果も非常に大きいのだ。

このような効果が大きいことから、多くのサービス現場でBPMが導入されているが、最もよく使われているのはアウトソーシング事業である。顧客との関係で、どういう仕事を誰が担当するかというプロセスフローを作って確認しながら、仕事の受け渡しもBPMでやるというケースがたくさん出てきている。こうすると、顧客に「今週はこれだけできました」ということを数字で示すことができ、顧客との信頼関係にも貢献している。

BPMとERPを同時にやってはいけない

かつて1990年代にBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)という改革手法がもてはやされた。これは、基幹システムにデータベースを活用してビジネスプロセスを効率化する手法である。ここでの対象業務は、いわゆるバッチ処理中心のバックオフィス業務であった。

一方、BPMは対象業務がBPRと異なり、引合いや購買などのオーダー一件ごとの業務を回す業務プロセスに適用する。その際にはワークフロー技術を応用したBPMSというミドルウェアの上で、オーダーの発生から完了までのプロセスの実行をサポートするアプリケーションを構築する。一つのプロセスを実現するアプリケーションの構築は、1〜3ヶ月の短サイクルで構築できるので、小さな費用でできる。また、業務のステップごとに業務マニュアルなどをリンクで参照しながら進めることができ、仕事の正確性・スピードを高めることができる。

時々、このような基幹システムの再構築と、BPMのアプローチを同時にやろうとする企業があるが、「リスクが高いですよ」と申し上げている。理由は、プロジェクトの規模が大きくなりすぎ、長期化・複雑化することで、プロジェクトの難易度が高まるからである。バック側のERPシステムとフロント側のBPMシステムでは、動かす対象業務が大きく異なり、仕事を行う論理が違う。そのため、ERPシステムとは独立したものとしてBPMSを導入し、ERPとBPMSを連携させることをお勧めしている。

このようなことに留意しながら、多くの企業が顧客に魅力あるサービスを提供するための現場競争力づくりとして、BPMアプローチを活用していただきたい。

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