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【内田洋行ITフェア2016in東京】 100人100様のワークスタイルを実現。選択型人事を可能にする制度、ICTツール、企業風土とは?

2016/12/5 [ワークスタイル,セミナーレポート]

多様な人材が多様な働き方を実現するためには「制度・ツール・風土」の3つのポイントがあります。在宅勤務・副業など多様な働き方を実現する選択型人事制度、チームワークを保つためのICTなどのツールの活用例、それらを支える企業風土のつくりかたなどの事例を紹介します。

目次

  • 制度・ツール・風土の三位一体が鍵
  • 制度の中核は中長期的選択型人事制度
  • 個性を生かす様々なアイデア制度
  • 評価と報酬
  • ツールはチームワークのために存在する
  • 最重要事項は風土

内田洋行ITフェア2016 in 東京にて

サイボウズ株式会社
事業支援本部人事部マネージャー
松川 隆 氏

私たちは一人一人好きなものが違い、欲しいものが違います。それを前提にするなら、公平より個性を生かしたワークスタイルを目指した方が、充実した働き方ができます。

サイボウズは、この考え方に立ってワークスタイル変革を目指し、「働きがいのある会社」ランキングで3年連続ランクインを達成しました。サイボウズの取り組みについてお話しさせていただきます。

制度・ツール・風土の三位一体が鍵

ワークスタイル変革のキーポイントは3つです。
1.制度
2.ツール
3.風土

在宅勤務を例にあげましょう。まずは、家にいて仕事をすることを認める人事制度が必要です。そしてそれを支えるツールとして、インターネットやスマートフォンなどがなくてはなりません。これらはお金があれば導入できます。最重要事項は風土です。いくら、制度やツールがあっても、利用することを社員同士が認め合う風土がなければ機能しません。3つがそろって、初めて多様な働き方が可能となるのです。

制度の中核は中長期的選択型人事制度

サイボウズには、働き方に関する以下のような制度があります。これらを組み合わせ、活用することで自分に合ったライフワークを選ぶことができます。
(1) 中長期的選択型人事制度
(2) ウルトラワーク
(3) 育児休暇
(4) 育「自分」休暇
(5) 社内クラブ活動
(6) 副業(複業)OK

(1)の人事制度は、「私はこういうふうに働きたい」という宣言から始まります。社員自らが、働くときの、時間と場所を選択します。

まずは時間。労働にかける時間の概念は個人によってまちまちで当然。長い、短いは優劣ではなく好みの問題です。
1.時間に関係なく働く
2.少し残業して働く
3.定時・短時間で働く
の3つのフィールドから選べます。

次に場所。例えば在宅勤務に関しては2010年から実施しています。

当初は不安もありましたが、問題ないと確信を持ったのは2011年の東日本大震災のとき。ちょうど年度末決算で経理処理に迫られていましたが、すべて在宅でこなすことができました。そのほか、働く場所についても3つのフィールドがあります。

時間と場所、合計9つのフィールドから中長期的な働き方が選択できます。

なぜ宣言をするのかというと、チームワークのためです。一人一人の働き方をはっきりさせていかないと、現場が混乱し、チームとして機能できないからです。社員同士、お互いに希望の働き方ができるように配慮し合うことが大切です。

個性を生かす様々なアイデア制度

人事制度以外にも、個人で選択できる多様な制度があります。

(2) ウルトラワーク
単発型の制度です。時間や場所の運用ルールは現場に任せています。例えば「午後は子どもの学校の家庭訪問で会社に行けないけど、午前中、自宅でなら働ける」というケース。このケースでは、在宅勤務の方が効率的です。ウルトラワークを宣言すれば、家で働くことが可能です。

(3) 育児休暇
男女問わず、子どもが小学校に上がるまで最長6年の取得ができます。女性の場合、産休明けに辞める社員はいません。男性でも数週間、1年と休暇を取る人もいます。

(4) 育「自分」休暇
子どものための休暇があるなら、自分のための休暇があってもいいじゃないか、という発想です。1回サイボウズを辞めても6年以内なら再び戻って来られる制度です。例えば、今、この制度を使って、海外青年協力隊に行っている人がいます。帰国すれば、またサイボウズで働けます。就活中の学生にこの話をすると、大変興味を持ってもらえます。

(5) 社内クラブ活動
3部門にまたがって5人以上を集めれば自由にクラブが作れ、部員一人当たり年間1万円の補助が出る制度があります。「チームワークあふれる会社作りに貢献する」という観点からこの制度を作りました。ただし、活動報告はグループウエアの掲示板上で行ってもらいます。今までに22の公式クラブが発足しました。

(6) 副業(複業)OK
アルバイト的な副業を認めている会社もありますが、サイボウズでは2つの会社にまたがる「複業」も認める制度があります。例えば、週末は農業経営やテニススクール運営といった自営業を行う、あるいは、他の会社に属して働く、といったことが可能です。もちろん、会社の資産を毀損しない、という大前提のもとです。会社ブランドを利用する、あるいは、他社と雇用関係を結ぶ、といった場合には報告の義務がありますが、他は自由です。その人が何をやっているか会社は知りません。いくつもの顔を持つ社員もいます。

評価と報酬

これだけ多彩な制度を運用していくと、評価や報酬はどうなっているのか、という疑問が起きると思います。

評価には2つの目的があると思います。

1つは、成長を支援するため。本人が将来的にこんなふうになりたいというのがあって、それに対して「今期、君はこんな巡行速度でいいね」とか、「もうちょっと頑張った方がいいね」とかそんなアドバイスをしていくことが本人の成長につながります。

2つめは、給与を決めるため。給与は市場価値をベースに決めています。「転職した場合、君の年齢とスキルだとこれくらいだね」というところが基本です。

成長支援と給与は独立したものとして扱い、連動させていません。「今期がんばったから昇給!」といったものではなく、頑張りは頑張り、給与は給与、という考え方です。

また具体的な金額には社内での信頼度が加味されます。

信頼度を決める基準を「Action5プラスワン」と呼んでいます。具体的には下の図のようなものです。この場合の「スキル」は個人の努力によって増減しそうなもの。「覚悟」とは「今すぐ、やるかどうか」が問われるもの。「理想への共感」や「公明正大であるということ」がそれにあたります。「スキル×覚悟」が社内の信頼度です。ただ、どちらかというと「覚悟」の方が重要です。「スキル」を持っている人はいろいろな会社に転職できますが、「覚悟」がないとサイボウズで働く意味はないからです。

給与以外にも報酬はあります。「やりたいことができる」「希望する働き方ができる」これらも報酬になると考えています。

一般的には「自分ができることで、会社に『やれ』といわれたことを『やる』」ことに給与が支給されるわけですが、これに「やりたいこと」という要素が加われば、モチベーション高く働けます。

モチベーションと仕事と報酬は、ハッピーなワークライフをおくるための3点セットです。

ツールはチームワークのために存在する

ワークスタイル変革のキーポイントの2つめはツールです。ツールは、1つの仕事をチームでマネージメントしていくためにあります。特に情報共有ツールとしてのITは重要です。たとえばメールなら、個人が見るだけでは意味がありません。来たメールをみんなで見られることが大切です。「みんなで使える」、「可視化されている」ことが良いツールの条件となります。

ツールは、「同期」「非同期」つまり「リアルに即時性が必要な情報を扱うツール」と「経過しても価値の変わらない情報を扱うツール」の2つに分かれます。これを組み合わせることでワークスタイルはいろいろ変えられます。

サイボウズはチームワーク向上を目指したグループウエアを支援するツールを作っている会社ですから、良いツールには事欠きません。

最重要事項は風土

3つめのワークスタイル変革のキーポイントは風土です。最難関にして最重要事項でもあります。

サイボウズでは「公明正大」「自立と議論」といった2つの風土があります。

「公明正大」は先ほどの信頼度のところでも登場しました。制度がこれだけ多様化すれば、無用な嘘は情報を混乱させるだけです。例えば、在宅勤務やウルトラワークを宣言しておきながらサボっている人がいると、業務が遅れ、周りが迷惑します。公明正大でいられなければ、サイボウズには必要ないということです。プライバシー情報やインサイダー情報以外は隠し事はしないということで、社内のグループウエア上ではすべての情報がオープンになっています。

「自立」とは「会社に依存しない」ということです。「いつでも辞められる。しかし、今は好きだからいる」という会社との距離感を保つ。そういう風土がサイボウズにはあります。

「議論」とは「質問する人、答える人が、それぞれの責任を果たす」ことで成立します。「疑問に思うことは必ず質問しましょう」、「説明責任のある人は必ず答えましょう」。これらはサイボウズの風土です。議論の中から生まれた制度は、みんなが作ったものになるので、できた後も使われる制度になります。

「100人100様のワークスタイル」を実現しようとすれば、正直、人事部門は大変です。でもこれをやり遂げれば社員は満足して働けます。これからも、多様なツールを通して働きがいのある会社になるお手伝いをさせていただければ、と考えています。

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