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【内田洋行ITフェア2016in東京】失敗するERP導入とは何か?「強い企業」におけるIT戦略の知とは

2017/1/20 [ERP,セミナーレポート]

企業経営においてIT活用の可能性が加速する中、真のIT全体最適とは何でしょうか。ITの知識が足りず、IT投資判断ができない経営層。業務を俯瞰することができない現場部門。ITリスクを可視化できない情報システム部門。「強い企業」になるためには、企業は何を成すべきか。企業を人や身体に例えて、現場の事例も交えながら、分かりやすく解説します。

目次

  • ERPの基幹システムは人体の体幹のようなもの
  • 目的の明確化・検討の組織化・計画の文書化が成功につながるブレない要求を作り出す
  • 経営と業務とITの歯車がかみ合うようなERPの基幹システムが企業を強くする

内田洋行ITフェア2016 in 東京にて

みずほ情報総研株式会社
ソリューション第1部 第1チーム 課長
岩田 真豊 氏

ERPの基幹システムは人体の体幹のようなもの

私は、企業のERP(Enterprise Resource Planning)という基幹システムの導入に長年携わって参りました。その現場でよく目にするのは、お客様である企業がシステムに対して過度な期待を持ってしまう姿です。そして、経営者や経営層は、社内の情報システム部門やシステムベンダーに「システムやITはよく分からないから、うまくやっておいてくれ」と丸投げをしてしまう。このような経営のITに関する無関心や無関与こそが、企業のITリスクを増大させてしまい、結果うまくいくことがあまりなく、なかなか強い企業になることができないという現実を多く目にします。

企業は生き物だと考えれば、企業を人体に例えることができます。頭脳の部分は経営層。頭以外の身体は事業を担う業務分野。そして、ERPのITシステムは、身体の中心である体幹です。強い人になるには強い身体が必要であるように、強い企業には強いシステムが必要です。

これからの時代、企業を強くするためには、企業の体幹となる基幹システムをますます鍛えていかなければならないと考えます。例えば、ファイナンスとテクノロジーを組み合わせたフィンテックを基幹システムに融合させるのは、一つの方法としてあり得るでしょう。フィンテックは、金融機関だけでなく、それ以外の企業でも関わりが大きくなっていると思います。最近は人工知能が台頭し、どのように企業内のシステムと融合させて、戦略的に使えば良いのかと考えている企業も多いようです。例えばみずほ銀行では、すでに店舗でロボット「Pepper(ペッパー)」を導入し、お客様に対して待ち時間をお知らせすることや、サービス案内をするなどの活用を始めています。このような使い方でロボットを導入する企業も増え、今はお客様の満足度の向上にも役立っていますが、今後はロボットと企業システムがつながることで、新しい可能性や飛躍も生じるのではないかと思っています。IoTに関しては割愛しますが、ますます利用も同様に広がっていくでしょう。

目的の明確化・検討の組織化・計画の文書化が成功につながるブレない要求を作り出す

一般的に、システム開発の成功率は約3割と言われます。7割の失敗の要因は何なのでしょうか。主因は、要求定義の不十分さにあります。

みなさんは、システムを構築するとき、きちんと要求を伝えているでしょうか。経営の方たちや事業現場の方たちは、「システムの要求定義」と聞くと、自分たちには関係ないと思ってしまい、IT部門や情報システム部門に任せてしまう傾向があります。ここに失敗要因があるのです。経営や業務に携わる方たちが、企業全体として何をしたいのか、あるいはこれから自分たちは何がしたいのか、そこをシステムの構築者に伝えないと、システム開発の成功はなかなか見えてこないでしょう。

本日の講演で一番伝えたいのは、目的の明確化を含む計画策定の重要性です。企業としての目的をきちんと明確にして、計画を策定する。この計画策定には三大要素があります。ぜひ覚えてください。「目的の明確化」「検討の組織化」「計画の文書化」です。

まずは目的の明確化が重要で、企業としての要求は何なのか、これからどこに向かおうとしているのか、なぜシステムを更改しなければいけないのか、最終的にどうしたいのかをはっきりさせることが大事です。目的が明確になれば、社内全体で「あそこに向かってみんなで進むのだ」という意識付けができます。

また、目的を明確にしていく中で、いろいろな要求が出てくるはずです。検討を組織化し、決めたことをしっかりと文書として残すことが重要になってきます。これらをしないと、システムを導入する先々で考え方にブレが生じる中で曖昧に片づけたり、簡単に変更してしまったりします。すると、ベンダーの選定や見積もりにもブレが生じます。こんな失敗要因を作らないためにも、検討を組織化して絶えず文書化して、いつでも立ち戻って確認できるようにしておくことが肝要です。

よく経営者から「IT全体最適化をしたい」という声を聞きますが、IT全体最適化を阻む大きな要因の一つは、企業内のコミュニケーションロスにあります。企業には、主に三つの部門があります。経営部門、現場部門、情報システム部門です。当然、立場が違えば、要求も違うものとなります。経営部門は会社のあるべき姿を求め、情報システム部門はシステムでできることを伝え、現場部門は自分たちがやりたいことを求めます。この要求の相違が、やがて目的の不一致となり、ITリスクにつながっていくのです。

企業内のコミュニケーションが不足して、システムがうまく作れなかったという話を実に多く耳にします。立場が違えば、出すものと得るものが違います。経営部門は投資予算を決めて情報システム部門に伝えます。情報システム部門は、それを受けて現場部門にシステムを与えます。現場部門は、そのシステムを利用して活動し、経営部門に成果を出します。出すものと得られるものがそれぞれ異なり、その違いが大きなコンフリクトを生み出す要因となります。これを避ける方法が、システムの検討の組織化です。システムの更改に向かって、経営層と情報システム部門と現場部門が一緒になって、自分たちがやりたいこと・やらなければならないことを意見し合い、互いに検討することが重要なのです。

経営と業務とITの歯車がかみ合うようなERPの基幹システムが企業を強くする

ERPについて少し話したいと思います。ERPの位置づけは、昨今、企業においてはそれほど高くないところまできたと私は思っています。大きいところから順に、経営、業務、ITと続き、その下にERPが来るのではないでしょうか。

経営と現場とITでは、向いている方向はそれぞれ少し違います。これらを融合して最適化したいのですが、この作業はとても大変です。逆に言えば、経営戦略、業務戦略、IT戦略をうまく融合できれば、非常に強いシステムが作れるということです。ERPは、全体から見れば小さなものですが、経営、業務、ITを一つのシステムにうまく取り込むことで、強い体質を生み出します。

改めて言いますが、ERPは企業の体幹なのです。ここを鍛えて企業を強くする。ERPを導入したら、身体の血行もよくするように、業務の流れやデータの流れも綺麗にしましょう。適切なダイエットも必要です。不要なシステムや業務は改善しましょう。さらに、最新の健康法も取り入れるように、先端IT技術もうまく取り込み、例えばビッグデータやビジネスインテリジェンスによる高度分析やデータ活用の効率化をしたりする。経営戦略、事業戦略、IT戦略を踏まえながら、中枢となる基幹システムを考え、それぞれの歯車がうまくかみ合うようになれば、企業は強くなっていきます。

強い企業になるために、まず成すべきことは何か。重要なのは「心」「技」「体」で、言い換えれば「しくみ」「しかけ」「しつけ」です。システムという仕組みをいくらよく作っても、使う仕掛けがないと、使われなくなってしまいます。これでは、システムを構築した意味がありません。また、きちんとシステムを利用するという躾をしなければ、データが集まらず、うまくいくことはありません。「しくみ」「しかけ」「しつけ」の三つが重要なのです。またこれからのERPで求められるのは、「柔」と「剛」です。しなやかに適用(柔)し、堅確に網羅(剛)する。この二つの要素が、今後のシステムにはますます必要になると思います。

最後に申し上げたいのは、システムを作るときには過度な期待を持たず、システムというものがどういうものであるのかを理解していただき、適切な期待をもつことが何より重要だということです。経営、現場、情報システム部門、そしてITベンダーが適切な期待の中で協働していくことが、より良いシステムを作り上げることにつながっていくと私は考えております。

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