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【内田洋行ITフェア2017in東京】 AI活用チャットボットで実現する現場改革!〜IBM Watsonと基幹システムの融合で現場の業務はこう変わる、こう変える〜

2017/11/29 [ワークスタイル,セミナーレポート]

2017年、AIはいよいよ認知のフェーズから実用の時代へ。いまやAIは一部の専門的な知識を持った人達のものではなく、あらゆる企業や業種で身近に活用できる技術となりました。AIの台頭で現場の業務はどう変わり、どのようにかかわっていくべきか? 本セミナーではIBM Watsonを活用した「現場改革」をキーワードに、AIの可能性とこれからの展望について、事例を交えて紹介します。

目次

  • AIの活用は、働き方改革の鍵
  • チャットボットを使った働き方改革
  • 自社でチャットボット活用のトライアル
  • 結果からのラーニング
  • 法人向けチャットボットソフト「CB1」リリース
  • より人間的な対応ができる「CB2」をリリース

内田洋行ITフェア2017 in 東京にて

NDIソリューションズ株式会社
代表取締役社長
岩井 淳文 氏

AIの活用は、働き方改革の鍵

今、働き方改革が各企業の課題となり、長時間労働の是正、ダイバーシティー、労働環境の柔軟性などが議論されていますが、ITの活用、中でもAIの活用、つまり人による労働をAIやRPA(Robotic Process Automation)に置き換えていくことが働き方改革の鍵となると思います。

AIとは、Artificial Intelligenceつまり人工知能のことです。AI技術の開発は、まだまだ緒に就いたばかりで、SF映画『2001年宇宙の旅』のHALや、『ターミネーター』のSkynetのようなレベルには程遠い。

現状のAIは、画像、言語、音声処理、制御、最適化・推論の5つの分野に分類されます。AIについて議論するときに、この分類を念頭に入れて話をしないと、話がかみあいません。

ところで、現在のAIはどこまで進化しているのでしょうか。たとえば、画像の分野のAIについて言うと、以前のITでは、その画像の種類、サイズ、幅、高さ等の情報は認識できましたが、それが何の写真かということまではわかりませんでした。しかし今のAIでは、高い確率で、このデータが何の写真かまでわかるようになりました。

言語処理でも同じです。

たとえば、従来のITでは、

  • 「このリンゴおいくらですか?」
  • 「このリンゴの価格を教えてください」
  • 「このリンゴ、ナンボやねん?」
  • 「このリンゴ、ハウマッチ?」

この4つがすべて同じことを尋ねているとは理解できませんでした。想定されるすべての質問について、定義をしておかないと、コンピュータは正しい回答をすることができなかったのです。

ところが、AI技術を活用し、同じような意味の文章を数パターン学習させることで、多少異なる言い回しでもかなりの精度で同じ意味だと認識できるようになりました。

一方、音声技術も大変発達してきました。最近話題になっているAIスピーカーは米国では既に千数百万台売れています。ポストスマホとも言われていて今後市場の拡大が予想されます。

AIスピーカーを通じて音声アシスタント(AlexaやSiriなど)と対話し、音楽の再生や家電を操作できるだけでなく、コンピュータやIoT機器へアクセスし、通販サイトから買い物ができたり、旅行の予約や調べものができるようになります。翻訳技術も進んでいて、これがスマホに組み込まれると、相手が英語で話してきても自動翻訳して日本語の音声が聞こえてくる、といったことが現実になります。

チャットボットを使った働き方改革

チャットは、電話とメールの長所を合わせもつ新たなコミュニケーションツールです。これにAI技術を組み合わせる(チャットボット)ことで、コンシェルジュ・商品レコメンデーション・プロジェクトメンバー間の会話量を分析し業務改革に活かす、など、さまざまな新サービスが生まれています。

たとえば、ローソンクルー あきこちゃん(マイクロソフトのAI技術を利用。来店客とチャット雑談できる)、LOHACO お客様サポート マナミさん(まずボットが質問に回答、未解決時には有人対応)などが既に稼働しています。

自社でチャットボット活用のトライアル

弊社では、IBM Watsonを活用したチャットボットの活用を実験的に社内業務で適用してみました。

対象業務は、(1)取引先から保守に関する問い合わせ、(2)社内の人事・総務・経理に関する問い合わせの2点です。これらの問合せをチャットボットを利用して無人化するというトライアルを実施しました。

(1)の機械保守業務は、既存のFAQを活用したため、約1カ月で形になりました。(2)の人事・総務・経理業務は、FAQ作成から取り組み、現在、精度を高めるためにチューニング中です。

効果としては、(1)業務部門の省人化、(2)問合せの24時間対応、そして(3)属人性の排除、つまり、人によって回答が違うということがなくなる、この3つを想定しています。

実際に、チャットボットと人間とでどのようなやり取りがされるのか、画面例をご覧ください。

上の画面は、機械保守関連の問合せです。緑の吹き出しがお客様の質問で、これに対し、チャットボットが自動で回答します。

上の画面は、総務関連の問合せです。同様にチャットボットが自動で回答。必要な文書のリンクを示しています。

左下の95.25%という数字は正解率を示しています。トライアルを始めた当初、チャットボットの正解率は55%で、実感としては「使い物にならない」というレベルでした。3回チューニングを行い、正解率は93%まで向上しました。ここまでくるとストレスなく使えます。

上のグラフの横軸は、チャットボットがどれだけ自信を持って答えるか=確信度。縦軸は正解率です。グレー部分は「回答不可」、青色は「誤回答」を表します。チューニングによって、可能な限り、グレー部分と青部分を減らし、正解率を上げていきます。とくに大事なのは、青色部分をいかに改善するかです。なぜなら、グレー部分はチャットボットが「わかりません」と答えるだけなのでまだいいのですが、青色の誤回答は、チャットボットがわかったふりをして間違った答えを言うからです。

これを一つひとつ、つぶしていく作業はとても大変です。そこで、弊社では、Q&Aの相関関係を可視化して、チューニングポイントを特定するツールを開発しました。

次の図を見てください。質問と回答を結ぶ線が、チャットボットの確信度が低いと細くなります。この細い線がチューニングポイントというわけです。

結果からのラーニング

回答の精度向上が、今後の課題となりますが、そのためには、

  • (1) FAQの精度を上げていくこと(古いデータは排除するなど)
  • (2) 統計学に基づくノウハウの習得
  • (3) テスト⇒フィードバック⇒トレーニングのサイクルを何度も回すこと

の3点が重要と考えています。

特に(1)、(3)は、業務部門の協力がなければできないので、協力体制作りも大変重要と考えています。

法人向けチャットボットソフト「CB1」リリース

トライアルを経て、2017年2月28日に、チャットボットソフト「CB1」をリリースしました。

CB1の主な機能は3点あり、QA機能と管理機能、そしてコーパスとよばれる学習データを読み込ませたWatsonです。

QA機能は、入力されたメッセージからユーザーの意図を判断して返答内容を生成し、自動回答するというもの。

管理機能は、(1)質問・回答・学習データ管理、(2)フィードバック管理、(3)一括QAテストの3つです。IT管理者でなくても学習データの登録・更新や、不正解分のチューニングなどの作業が簡単にできるようになっています。

Watsonには、質問文と回答文のCSVファイルをアップロード、学習させます。この時に1つの回答に対して5個から10個の言い回しの異なる質問文を学習させると、正解率が向上します。

CB1は、LINE・Skypeにも対応、有人・ビデオチャットの切り替え、基幹システムとの連携、会話ログデータから顧客の傾向を発見するなど、多くのオプションがあります。今後は、AIスピーカーに対応したり、Pepperとの連携も検証を始めています。

より人間的な対応ができる「CB2」をリリース

9月15日に、CB1の上位製品として、CB2をリリースしました。

CB1との違いは、IBM Watsonの対話型APIを活用し、より人間味のある対応ができるようになったことです。弊社ではこれを「気配りのある一問一答」と呼んでいます。

どういうことかというと、たとえばCB1は、回答できない質問に対して「わかりません」としか答えられませんが、CB2は、「それは○○のことですか?」あるいは「それはA、B、Cのうちのどれですか?」と聞き返すことができるようになりました。

また対話型式の質問絞込みにも対応したことで、CB1よりも広範囲の会話に活用できます。

CB2は現在、内田洋行の「スーパーカクテル」の在庫情報、顧客情報、商品情報との連携や、RPA(ロボティックプロセスオートメーション=認知技術を利用した、主にホワイトカラーが行っている間接業務の自動化技術)との連携を研究中です。

これができるようになると、顧客からの商品に関する質問⇒回答⇒注文⇒在庫確認⇒見積書作成⇒上長による承認⇒顧客に回答⇒受注⇒発送といった、従来は有人でやっていたプロセスの多くを自動でできるようになります。

大幅な業務の省力化ができますので、働き方改革にもつながっていくと期待しています。

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