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【ウチダ食品・物流フォーラム2016】 お客様から支持され続けるメーカーを目指して
~IT活用実践事例ご紹介~
スーパーカクテル導入とクラウド環境移行への道のり

2016/4/20 [食品,クラウド,セミナーレポート]

私たちトーラクは神戸に本社を置く洋菓子メーカーです。「神戸プリン」「らくらくホイップ」などを主力商品としています。2010年に基幹業務システムをオフコンからスーパーカクテルに、かえ、その3年後の2013年、スーパーカクテルをプライベート仮想クラウド環境に移行しました。それぞれの過程においてさまざまな問題に直面し、ひとつひとつ解決していきました。道のりを振り返って、何がポイントになっていたのか、お話しさせていただきます。

目次

  • オフコンからスーパーカクテル導入へ
  • スーパーカクテルによる管理体制システム
  • サーバーの保守・終息問題がクラウド化へ道を開いた
  • クラウド環境で、業務システムを見直す
  • クラウド化成功の鍵はパートナー
メイン

ウチダ食品・物流フォーラム2016 にて

トーラク株式会社
業務管理部
玉木 隆大 氏

オフコンからスーパーカクテル導入へ

私が入社した頃は、大きな筐体のオフコンが、さまざまなソフトが作成した複雑なプログラムを動かしていました。新機能の追加は難しく、テストで成功しても実務にのせるとすぐエラーが出てしまいます。腫れ物に触るように扱っていました。ハードウェアも保守費用も高く、システム担当者としては、「投資の価値がない」とずっと感じていました。

基幹業務システムの切り替えを行うとき、3つの方針がありました。

  • 1.まず、新システムのパッケージに社内の運用を合わせていく。
  • 2.やりたいことを1から作っていく方法は、現状のスキルでは難しいのでやらない。
  • 3.そうは言いながら、トーラクの運用方法を少しずつ盛りこみながら、カスタマイズしていく。
  • この方針にしたがい、最も適合する基幹業務システムとしてスーパーカクテルを選択しました。ただ、導入までの間、運用を止めるわけにはいかないので、古いシステムで食いつないでいくことも必要でした。古いシステムを冷や冷やしながら使いつつ、できるだけ早くスムーズな新システムの構築を目指しました。

    スーパーカクテルによる管理体制システム

    最終的にスーパーカクテルを導入するにあたっては、3つの理由がありました。

  • (1)オフコンから解放されたい。
  • (2)誰にでも簡単に操作できる汎用性のあるシステムだった。
  • (3)運用のイメージがわかりやすく、みんなが理解して使えるシステムなので、今後の運用を進化させていきやすい。
  • こうして導入したスーパーカクテルですが、5つのカテゴリーに管理システムを分けています。

    1つ目は生産管理。生産計画を元に原材料の所要量を計算し、生産現場へ作業を指示します。工場より出来上がった製品に対して出来高を計上します。2つ目は購買管理。生産現場からの原材料の発注、入荷、仕入れ計上、支払、買掛管理を行います。3つ目の在庫管理は、原材料や資材の入荷から原材料の引き落としと出庫、棚卸とロッド管理、ロッド在庫の管理などが入ります。4つ目の販売管理は、受注を受けてから出荷、売上計上、請求、入金までとなります。5つ目は、上記4つがすべてつながる統計管理になります。

    業務と扱う資源を一元的に管理し、調達と生産、生産と販売を互いに関連させながら円滑に進められるシステムができました。以前のオフコンでは難しかったことです。

    こうして、原価の早期の把握、製品・原材料の可視化・統制、安定した出荷が可能になりました。業務スピードの向上・最適化ができ、最終的には運用の標準化・省力化ができるようになりました。

    さらにBIツール「Dr.sum」との連携で、販売実績もいろいろな角度から分析ができるようになりました。以前に比べてシステムがより身近な存在となり、簡単な社内教育でみんなが使いこなせる環境ができあがったと思いました。

    サーバーの保守・終息問題がクラウド化へ道を開いた

    スーパーカクテルも導入から6年以上が経った頃、サーバーの保守・終息問題に直面しました。スーパーカクテルはこれからも使っていきたいのに、ハードウェアの問題で使えなくなる。

    悩んだ上での結論が、クラウドへの移行でした。3つの理由があります。

  • (1)サーバーの老朽化に左右されたくない。
  • わずか6年で、使えるシステムを作り変えたりバージョンアップするのは現実的ではありません。ハードウェアの故障や老朽化のリスクをなくし、メンテナンスからも解放されるような仕組み作りたいと思いました。

  • (2)サーバーを安全な環境に置ける。
  • 台風、地震などの災害でシステムがダウンするリスクをなくし、安全な環境下にサーバー置きたいと思いました。

  • (3)BCP(事業継続計画)対策になる。
  • クラウド上にあれば、システムの早期復旧、データ保存の安全性向上に役立つと思いました。

    クラウド環境で、業務システムを見直す

    クラウド環境下へのシステムの移行に際し、社内の業務システムに関して大きな課題が3つ見えてきました。

  • (1)オンラインの発注システムの不具合があると、出荷が止まってしまう。
  • (2)ハードウェアの老朽化やシステムの処理能力不足によって業務の遅れが生じるかもしれない。
  • (3)トーラク本社が災害にあったときに、ネットワーク全体が止まってしまう。
  • 課題解決に向けて、ひとつひとつ見直しを進めていきました。

    1点目は、オンラインの受注が止まらないための見直しです。

    トーラク本社にはEOSシステムがあるのですが、このサーバーがよくフリーズしていました。復旧に時間がかかると、遅れや欠品に事態につながります。

    このトラブルメーカーであるEOSシステムを効率よく機能させるために一からシステムを立て直しました。EOSシステムのデータセンターが得意先から取った注文をIIJと連携させます。伝発名人とつないで、出荷データと伝票の出力を同時に出荷センターに指示します。これでスーパーカクテルと受注を受けるデータセンターが効率よく結ばれ、受信後から出荷指示まで延べ8時間の業務改善ができるようになりました。

    2点目は、システム全体が止まらないための見直しです。

    クラウド環境に特化して、将来の業務改善を盛り込んだバージョンアップにつなげるための環境作りを目指しました。例えば、データセンターでシステムを稼働することで、安全性、信頼性を向上させ、業務を継続するためのBCP対策も同時に行おうと考えました。

    3点目は運用を止めないための見直しです。

    以前はネットワークの中心が本社にあって、災害トラブルあれば全体のネットワークが止まってしまいました。ここを改善しないと、スーパーカクテルがクラウド環境にあっても運用が止まってしまうことになりかねない。安全性を高めるために、ネットワークの中心的な機能をデータセンターに移しました。データセンターを中心としたネットワークで事業の継続性を確保しつつ、ネットワークの契約や設計の方法も変えました。これにより月額の通信費を約50%カットできました。

    クラウド化成功の鍵はパートナー

    クラウド環境に対する社内の不安は理解できます。「目の前にサーバーがない」とか、「ネットワークが切れたらすべて終わりだ」とか、「お金を出して構築しても物理的に環境を感じることができない」とか。確かにそうなのですが、クラウドに比べて自社環境が弱い点が3つあります。

  • (1)クラウド環境が持つ安全性を自社で構築するのは物理的に困難。
  • (2)クラウド環境が持つ管理・サポート体制を自社で作ることはなかなかできない。
  • (3)クラウド環境でできる緊急時のシステムの早期復帰も自社環境ではたいへんむずかしい。
  • クラウド環境への不安と自社環境の弱点を天秤にかけた場合、後者の問題の方がより深刻です。「移行を否定する理由はない」と私には思えました。

    担当者が覚悟を持って進めることは当然ですが、社内外に強力なパートナーを持つことも鍵になると思います。

    移行を検討し始めた4年前、内田洋行に相談しました。最初は懐疑的な答えしか返ってきません。今考えれば当然です。プライベート仮想クラウド環境の中でスーパーカクテルを本当に稼働させるという事例が当時はまだなかったのですから。安全に動く保証はなく、リスクも高かったと思います。会うたびに言いたいことをいって内田洋行を困らせていました。移行とその後の検証はたいへんでしたが、内田洋行が強力なパートナーになってくれました。

    「無駄な投資をすることなく、みんなが使いこなせて業務効率がアップするシステムを構築する」言葉では簡単ですが、一筋縄ではいきません。これを旗印に、味方を増やし、経営者の方に理解してもらう努力も続けました。

    トーラクにはシステム担当者は私しかいません。職務上はひとりで全部をやらなくてはなりませんでした。しかし、私もスーパーマンではありません。できることもたかが知れています。しかし社内でシステムを使用する人たちは、トラブルがあれば私に頼るしか方法がないのですね。

    この現実の中でいかに効率よく問題を解決していくか。そう考えた時、社内外にたくさんのパートナーを見つけることが必要だと感じました。アプリ、ネットワーク、モバイル、サーバー、パソコンといろいろ分野はありますが、それぞれ個々に精通している人はたくさんいます。自分がすべてを解決できなくてもパートナーをうまくディレクトすることで、その場その場で最適の解が見つかればいいと思っています。パートナーのみなさんには、たいへん感謝しています。彼らの存在が、スーパーカクテルのクラウド環境への移行も可能にしてくれたと思っています。

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