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【内田洋行ITフェア2017in東京】 今、働き方改革で注目されているRPAとは

2017/11/29 [RPA,ワークスタイル,セミナーレポート]

今、働き方改革を進める企業が、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に注目しています。定型的なパソコン操作をソフトウエアで自動化するRPA。これについてわかりやすく解説するとともに、どうして働き方改革で有効なのか、その理由や、先進的な導入事例、RPAソリューション、導入の進め方などについて紹介します。

目次

  • どうして働き方改革でRPAが役に立つのか?
  • 定型的なパソコン操作をソフトウエアで自動化
  • 事務処理だけでなくシステム連携でも有用
  • どのようにしてRPAで手作業を自動化するのか
  • メール対応の自動化で生産性を大幅に向上
  • RPA導入に失敗しない七つのチェックポイント

内田洋行ITフェア2017 in 東京にて

ユーザックシステム株式会社
取締役 マーケティング本部長
小ノ島 尚博 氏

どうして働き方改革でRPAが役に立つのか?

今日は、働き方改革で注目されているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)について話します。

このRPAは比較的新しい言葉ですが、最近ではマスコミで多く取り上げられています。先の9月の報道では、三菱UFJフィナンシャル・グループが、これからRPAを導入して約9,500人に相当する労働量の削減を目指す方向性だと伝えていました。

当社は、1971年の創業です。主な業務の一つは、自動化するRPAソフトのパッケージ「名人シリーズ」の開発と販売で、2004年には業務自動化ソフト「Autoブラウザ名人」を開発。2010年には「Autoメール名人」を開発しました。これまでに約600社の企業に導入いただいています。

この製品は、2017年に日本食糧新聞社の「第20回日本優秀食品機械・資材・素材賞」を受賞しました。また、富士キメラ総研の「2017 サービスロボット/RPA関連市場の将来展望」において、2016年のブラウザ操作部門でシェアNo.1と評されています。

なぜ働き方改革でRPAが役に立つのか? その背景について説明します。

我が国の生産年齢人口は、1997年の8,699万人を境に減少が続いています。2016年は7,665万人まで減りました。この減少傾向は、他の先進国と比べても顕著です。また、日本における一人当たりの年間総実労働時間の推移を見ると、見かけ上は減少傾向を示していますが、これは全労働者の占めるパートタイム労働者の比率が高まったからです。いわゆる「正社員」と呼ばれる一般労働者の総実労働時間は、年間約2,000時間で、ほぼ横ばいの状態です。

では、一人当たりの労働生産性はどうなのか。1労働者1時間当たりの労働生産性の推移を見ると、我が国の時間当たりの労働生産性は、他の先進国と比べて低く、特に米仏独との差は拡大傾向にあります。(厚生労働省の労働統計調査より)

つまり、現在の日本の労働環境は、人材不足であり、かつ労働生産性も低いという状況なのです。

この現状を踏まえて、安倍晋三首相は平成28年9月27日に「働き方改革実現会議」をスタートさせました。翌年の平成29年3月28日には、第10回会議で「働き方改革実行計画」を発表。この計画には大きく三つの視点が盛り込まれています。

一つ目は「処遇の改善」。例えば労働生産性の向上や長時間労働の是正などが検討テーマに盛り込まれています。二つ目は「制約の克服」。女性や若者が活躍しやすい柔軟な労働環境の整備などが検討テーマとしてあがっています。三つ目は「キャリアの構築」という視点で、再就職支援や高齢者の就業促進などの検討テーマが含まれます。国は、これらのテーマを通して、「労働生産性向上」と「雇用創出」を生み出そうとしているわけです。

RPAは、労働生産性の向上に役立てることができます。

実際にRPAを導入するにあたっては、まず、業務の棚おろしから始めます。次に、これまでの業務プロセスが本当に良かったのかどうかを検討。例えば、誰も見ない帳票の作成などの無駄があれば改善します。その上で、RPAを導入して作業を自動化する。従来の担当者は、その作業から開放され、本来の業務に集中でき、別の業務にシフトできます。

つまり、RPAの導入は、労働時間の短縮だけでなく、業務品質や労働意欲など生産性の向上にもつながるのです。

定型的なパソコン操作をソフトウエアで自動化

RPAはキーボード操作やマウス操作そのものを自動化します。人がやっていた入力作業やデータ収集など、定型的な操作を自動化していくのです。大きな特徴の一つは、今の既存システムをそのまま使えることです。

RPAが得意としている業務は、主に3つあります。

  • 「繰り返し行う業務」
  • 「大量データを処理する業務」
  • 「ルールに基づいた業務」

このような仕事は、誰がやっても同じ結果になります。また、この種の仕事は、人がやりたくない仕事、人がやらない方がいい仕事であることが多いです。単調で時間がかり、やり続けると苦痛を感じ、ミスも生じやすい。もし皆さんの会社に、このような3つのポイントを含む内部業務があれば、RPAの導入を検討すべきです。

コスト面でも、RPAの導入は利点が多くあります。

この他、エラー率の低下、サービスの改善、納期短縮、業務のスケーラビリティの向上、情報漏えい防止やコンプライアンスの向上など、潜在的なメリットも多々あります。

事務処理だけでなくシステム連携でも有用

実際に導入いただいた企業に対して、私たちはアンケート調査を実施しています。

どんな業務でRPAが役立つか、という質問には「事務処理」という回答が最も多く、全体の45%を占めます。次に多いのが「システム連携」です。割合は25%。意外にも、基幹システムなどに回すためのデータ変換などが、人手で行われていることが多いのです。

また、RPAで自動化したい操作について尋ねると、「ブラウザ操作」、「アプリ操作」、「メール操作」、「Excelデータ入出力」、「データ変換作業」、「基幹システムの入力」などの回答が同じような割合で分散します。多くの企業が、人手による作業を満遍なく自動化したいと考えています。

当社のRPAソリューションは、導入先の状況に合わせて容易に開発できるのも特徴の一つです。

「Autoブラウザ名人」は、人がやっている画面上の操作を自動化するのが得意です。まず担当者の手作業を自動で記録し、その上で日々変化する要素をスクリプト編集するので、簡単に自動化の精度を高めていけます。また、「Autoメール名人」は、処理フローを設定するとき、いろいろな作業アイコンをつなげていくことで構築します。普段、担当者がやっている手順通りにアイコンを設定するだけで、その現場ごとに自動化の仕組みを開発できます。

システム連携や運用管理が充実しているのも特徴です。製品の中に、システムにつなぐためのデータ変換(マッピング)機能や、複数のパソコンのRPAの管理ができるスケジュール機能がある他、処理結果やエラー内容、スクリーンショットをメールで通知することもできます。

どのようにしてRPAで手作業を自動化するのか

では、どのようにRPA導入し業務を自動化するのか。

導入事例で多く見られるのは、受注データのダウンロードです。得意先からの注文を相手のウェブサイトを通して受ける。こういうやり方をとっている企業は多くあります。

この場合、まず注文を受ける側の担当者が手作業でログインします。そこからデータをダウンロードし、CSVファイルにして、基幹システムに回す。これをRPAで自動化していくのです。

また、商品の出荷確定データなどをCSVファイルで取り出し、画面上で入力するという手作業をしている企業も多くあり、これもRPAで自動化する場合がよくあります。手順が決まっている業務であれば自動化は可能です。

メール操作を自動化するための導入事例も多くあります。

例えば、外出している営業担当者が在庫の照会を出先でやりたいということはよくあります。しかし、その度にパソコンを立ち上げて社内システムを利用するのは煩雑です。そこで内勤の営業スタッフに問い合わせをする。しかし、その数が多くなると、営業スタッフが対応に追われ本来の業務に集中できなくなります。それなら、社外からアクセスできる在庫照会システムを作るという方法も考えられますが、情報システムの担当者からすればセキュリティの問題があるので、やりたくないでしょう。

このような場合、RPAの導入が効果的です。例えば、メールの件名欄に「在庫照会」などと決められた言葉を入れ、本文欄には商品コードだけを入れると決めておけば、「Autoメール名人」が受信メールの中で「在庫照会」だけを対象に選ぶことが可能になります。そして、本文欄に記された商品コードを抽出し、あらかじめ指定されたデータ群を参照。在庫データなどの情報を取り出して、それをメール本文欄に貼り付け返信します。営業担当者はすぐに在庫の確認ができます。既存システムの変更も必要ありません。

企業のRPA導入事例――煩雑な作業を自動化し生産性を向上

具体的な導入事例をいくつか紹介します。

サッポロビール様

最初は、サッポロビール様の営業支援部門です。この部門ではかつて、小売業から提供されるPOSデータをダウンロードするという業務が毎日ありました。欲しい商品データをダウンロードするには、各小売企業のウェブサイトで回数の多い操作をする必要がありました。しかも、ビールやワイン、焼酎など、20カテゴリーごとにしなくてはならず、それが7小売企業分もあったのです。

毎日、全てを処理するのは時間的に無理でした。一部のカテゴリーのみ毎日ダウンロードして、他は週1回などにして対応。細かい分析をして小売業に提案したい商品があっても、とてもできませんでした。

そこで「Autoブラウザ名人」を導入いただき、小売企業のウェブサイトを自動で巡回してPOSデータをダウンロードできるようにしました。その結果、年間約5,700時間分の作業を自動化できました。また、全てのカテゴリーを毎日ダウンロードできるようになり、きめ細かい分析や提案ができるようにもなりました。さらに、繰り返し作業から解放された担当者は、営業支援業務の方へシフト。年間の事務コスト削減は約1,100万円となり、導入コストは1カ月未満で回収しました。このようなRPAの導入事例は、食品業界に多くあります。

信州ハム様

次は、信州ハム様の事例です。ここでは、得意先からの受注データを先方のウェブサイトから手作業でダウンロードするという業務がありました。やはり操作の手順が多く、当時はそれを毎日20社分もやらなくてはなりませんでした。得意先ごとに操作方法が異なり、煩雑さによるミスやモレも発生。しかも、その数が増えていき、だんだんと手に負えない状況になりつつありました。

このデータは、基幹システムに回す必要もありました。そのため、得意先ごとに異なる形のデータを決められた形に変換しなくてはならず、その作業をするプログラム開発やメンテナンスにも追われていました。また、毎日注文が入るので、管理職の社員がこのダウンロード作業だけをするために、休日出勤しなくてはなりませんでした。

そこでRPAを導入し、「Autoブラウザ名人」で自動的に得意先のウェブサイトから受注データをダウンロードできるようにしました。データ変換までを自動化。得意先ごとのプログラム開発からも解放されました。現在、100社200スクリプトに対応しています。この結果、受注のミスがなくなり、担当者はストレスから解放された他、休日も休めるようになりました。また、受注業務を本社に集約することで、拠点は営業活動に専念できるようにもなりました。

メール対応の自動化で生産性を大幅に向上

ツインバード工業様

メールの受注処理の事例として、ツインバード工業様の例を紹介します。

この企業では、メールの添付ファイルを通して得意先からの注文を受ける仕組みになっていました。担当者の操作の流れは、「メール受信」→「パスワードで添付ファイルを解凍」→「ファイルを保存」→「ファイルを開いて印刷」→「基幹システムに入力」→「ファイルに納期入力」→「メールに添付」→「メール送信」という煩雑なものでした。

この業務に「Autoメール名人」を導入。受注メールの受信から基幹システムの入力まで、一連の処理を自動化。WebEDIの自動化を含め、年間約480時間の手作業を削減できました。担当者はメールの着信を気にする必要がなくなり、本来の仕事に集中できるようにもなりました。

ギンポーパック様

営業担当が必要な情報を自動でメールを送るようにしたギンポーパック様の事例も紹介します。ここは食品トレーなどを製造販売する企業で、商品が多品種・小ロットのため、在庫管理はそれぞれの営業担当者が担っていました。しかし、外出や出張が多い営業担当者がタイムリーに在庫の情報確認ができず、在庫切れによるクレームや過剰在庫などの問題が発生していました。また、営業担当者が在庫管理の責任も負うというスタイルだったので、営業活動に専念できない状況も生み出していました。

そこで、「Autoメール名人」を導入いただきました。そして、毎朝9時に安全在庫数や出荷予定数、製造依頼などの情報を担当者に自動でメール通知するようにしました。毎日、プッシュ型で情報を伝えていくので、営業担当者はどこにいても、メールの本文欄を見れば、自分が管理する商品の在庫をチェックできます。その結果、営業担当者が商品の生産指示などを早くできるようになり、在庫切れのクレームや過剰在庫の削減に成功しました。その結果、営業活動に費やせる時間も大幅に増えました。

RPA導入に失敗しない七つのチェックポイント

今後、RPAを活用して、「働き方改革」に取り組みたいと考える企業も増えると思われます。RPA導入のポイントを7つ示したいと思います。

RPAを導入しても、作業をブラックボックス化しないことが重要です。導入後も、これまでの手作業をいつでもできるようにしておくのもポイント。何らかの理由でシステムが止まったとき、手作業で対応できるからです。導入後、RPAがどのような作業をしているのか、常に管理体制は整えておくことはとても大切です。

最後に、今日の話をまとめます。

  • 人がやりたくない仕事=自己の能力向上につながらない。
  • 人がやらない方がいい仕事=人がやるとミスしやすい。
  • 誰がやっても同じ結果になる仕事は、RPAで自動化する。
  • 労働時間の短縮になり、労働生産性が向上する。
  • 人は付加価値の高い創造的な仕事にシフトする。
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