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【内田洋行食品ITフェア2019in東京】 自社物流を活用 通販物流に特化した3PL 事業・事例のご紹介

2019/4/22 [物流,セミナーレポート]

ロジスティクスをビジネスの中核に位置づけ、コスト削減だけでなく、事業拡大にも挑戦しているレッドホースコーポレーション株式会社。同社が取り組む3PL(3rd Party Logistics/サードパーティロジスティクス)事業について、全国多店舗展開している小売業から受託した事例を通じて、必要となる戦略や業務改善を責任者が説明します。

目次

  • 一つの部門で物流と商品調達の両機能を有する
  • 自社の強みを生かして外部の物流業務を受託
  • システムを活用してスタート当初の課題を短期解決
  • マニュアルとシステムをうまく分けて融合する

内田洋行食品ITフェア2019 in 東京にて

レッドホースコーポレーション株式会社
カスタマーサービス部 部長
大久保 雅明 氏

1992年度入社以来、数々の物流業務の改善を行い、現在は、SCM(コールセンター・発注・物流)を束ねる責任者として活躍中。3PLや社外へのコンサルティングも実施しており、その手腕には定評がある。

一つの部門で物流と商品調達の両機能を有する

弊社におけるアウトソーサーの事業について、その内容をはじめ、取り組んできた中で気づいたさまざまなことを紹介します。まず弊社の概要です。

レッドホースコーポレーション株式会社は東京都江東区豊洲に本社があります。売上高は224億円(2017年)。稼ぎ頭の事業は、土産カタログを見て注文していただいた旅行者様に品物を自宅に届けるトラベルサービス事業と、自社のウェブサイトを通してふるさと納税をしてくれた方への返礼品を宅配する地域活性化事業の二つです。

多くの物流企業が物流だけに特化している中で、弊社の特徴の一つは、一つの部門で物流と商品調達の両方の機能を有していることです。お客様からの注文データを自ら受けて、必要な商品を発注し、仕入れて、保管し、そして出荷します。

弊社には外部の物流業務の請負など、受託を専門に扱うチームがあります。また、カスタマーセンターでは、お客様からの問い合わせや注文の登録、売掛債権管理までを担います。機能を集約することで、異なる販売チャネルへの対応力を強化し、新規の案件に対して柔軟に動ける体制を築いています。

自社の強みを生かして外部の物流業務を受託

弊社では、3PL事業(3rd Party Logistics/サードパーティロジスティクス)が拡大しています。この事業に取り組むきっかけになったのは、宅配業者の送料値上げなどです。他でコスト削減の努力をしても、ロジスティクスのコストが上がり続けることが予想されました。

この事態をどうやって打破するか。我々はこの部署で「売上を作る」と決めて、自社以外から物流作業を受け入れられないか、新しい道を模索しました。2015年10月くらいから動き始め、その活動の中で、自社の強みは何かと見つめることになりました。

弊社で取り扱う荷物は年80万個のB to Cの商品。食品管理に最適な倉庫と仕組みも持ち、賞味期限を管理しながら配送をコントロールできます。また、日通の物流の拠点にいるので、場所の増床や減床、人員の増減が比較的フレキシブルに対応できます。多くの通販では、売上に対する物流コストの比率は10〜12%程度だと思われますが、弊社はさまざまな努力で6〜8%程度に抑えています。この強みを武器に、外部委託を検討する荷主側の動機を分析し、営業活動を重ねていきました。2016年2月、全国で食品店を展開している某企業様(以下、A社)と契約を結び、ネット通販の在庫管理や発送業務を受託できました。

当時のA社様は、各店舗向けの配送で倉庫業務が負担になっていました。その中で通販事業を拡大しようとしていて、賞味期限のある商品の管理や物流コストの削減が課題となっているところでした。そこで、弊社は、取り扱う商品が弊社のものと類似点が多いことや、通販の実績も多いこと、同じERP/基幹業務システム「スーパーカクテルCore」を使っていることなどを訴追したところ、受託契約に至りました。ただ、スタート当初はいろいろな問題が起きました。

このような問題は、新しい業務を始めれば必ずあるので、うやむやにして長期化させないことがポイントです。問題を特定していけば、たいてい「人」「システム」「運用」「モノ」に分類できるというのが、我々が学んだことの一つです。問題が明確になったら、一覧にして解決順序を決めます。ここで大事なのは、取引先と定期的に問題解決を協議する場を設けることです。そして、問題を解決できたら、作業件数に対する必用人員を算出できる指標を確立します。出荷伝票が出力され、商品を取り出し、検品し、梱包し、出荷するまでに要する時間を調べて、一人あたりの時間を出す。ハンディーターミナルで作業しているので、そのようなデータはシステム上に出せますし、いろいろな分析もできます。スタートしてから3カ月ほど経つと、1件あたりの必要時間がだいたい落ち着いてきました。これが分かれば、作業計画を確立できます。仮にその必要時間が変動したら、すぐに見直していきます。参考までに、当時の問題点は次のようなものでした。

参考資料:問題点まとめ(当時データ)

①入庫予定なし商品:入庫予定のない商品が多く在庫調整処理で対応。入庫予定データ連携不備か、単純な発送ミスとの区別ができない。

②欠品商品:欠品商品が多く、前日以前の未出荷が多数発生。

③出荷日予定日:当日受信データの出荷予定日の切り分けが不明。

④補充、通過品:入庫時間が11時を過ぎることが多く、また入庫後すぐ出荷する商品が多く、沢山の人員を要している。

⑤JANコード不備:出荷検品時にJANコードが通らない商品があり、ほとんどの場合は桁数が異なる。

システムを活用してスタート当初の課題を短期解決

物流事業者と荷主の関係の改善は、互いにコミュニケーションを重視できるどうかで決まります。言いたいことを言い合える信頼関係を築き、その話し合いの中で落としどころをきちんと見つけられる環境が、協業による発展を促します。

おかげさまでA社様との間では良好な関係を続けております。その受託扱い量と売上額は増え続けています。2016年と2018年を比較すると扱い量は243%となりました。しかし、売上額は184%にとどまっています。理由の一つは、2017年に送料が本格的に値上げになったことです。この送料値上げを抑止し、逆に値下げという交渉ができる環境をいかに作るかが重要になってくるでしょう。

例えば、配送中の事故をなるべく少なくするためにこちらの梱包を工夫したり、急がない荷物は人手が余りやすい午前中の集荷に変えるなど、提携先の運送会社に協力できることはいろいろとあります。常に「これでいいのだろうか」という疑問を持ち、問題を認識し、解決方法を計画し、それを実際に適応していく。このサイクルを回し続けることが改善に結びつきます。

また、改善行動を明確にするためには、原因特定・仮説・検証が重要です。先ほど説明した通り、原因は4M(Man Machine Method Material)に分類されます。この観点で原因を特定し、解決するための仮説を立てて、それを検証していく。これが基本です。このようにして改善できた暁には、今の仕組みの最適化による適切な運営の遂行が実現します。

弊社では、一昨年あたりから業務のセクションごとに全社員で月1回1時間ほどのミーティングをしています。問題を見つけて、解決に取り組み、分析データでチェックし、改善に努める。きちんと「○」「×」を付けて、PDCAをしっかり回すようにしたら、社員全員のスキルも底上げすることができました。

マニュアルとシステムをうまく分けて融合する

弊社では、2005年に内田洋行の物流システムを導入しました。そのコスト改善効果は、大きなものでした。導入前の稼働時間は月間9,960時間でしたが、導入後は2,220時間も減って7,740時間となりました。13名分の人員を減らせたのです。主な内容は、①バーコード検品による処理時間の軽減と検品ミスの激減②リアル在庫の把握による欠品商品の激減と賞味期限確認作業の効率向上③注文データとピッキングエリア在庫の引き当てによる補充作業の大幅向上の3つです。

特に良かったのは、入荷の実績や賞味期限の情報などの情報がすぐに確認できることです。そのデータを活用して、業務改善についていろいろな仮説を立てることができました。

システムを導入するにあたっては、まず導入目的を明確にすることです。何らかの作業の効率が悪い状態は、単に考えるだけでは良くはなりません。その状態をどのような状態に変えたいのか。その思いをきちんと持って、成功条件を明確にする。そうしないと、システムは決して応えてくれません。

また、全体最適の観点で取り組むことが大事です。新たなシステムを導入すると、部分的に効率が落ちることがあります。しかし、部分最適や部分都合にこだわらず、全体的に最適化することを第一に考えていくことが重要です。また、すべてをシステム化しようとすると、とても使い勝手の悪いものになります。人が判断した方が良いマニュアルの部分と、システムでやった方が良い部分をきちんと分けて、うまく融合することが、システムの導入で失敗しないポイントです。そして、適切なベンダーを選ぶこと。現場の運営を理解しようと努める姿勢を持っているかどうかを必ず見てください。もし、物流の外部委託をご検討されているのでしたら、どうぞ当社にお声がけください。

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