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【会計コラム】 民法改正(相続編)の概要と施行時期

2019/11/1 [会計,コラム]

今回の会計コラムでは「民法改正(相続編)の概要と施行時期」についてまとめました。約40年ぶりに改正されて話題になった民法の相続編(相続法)について、改正内容や施行時期等の取り扱いなどご紹介いたします。

目次

  • はじめに
  • 民法改正(相続編)の概要と施行時期

アクタス税理士法人
代表社員 税理士
加藤 幸人 氏

東京と大阪を中心に5拠点、総勢約150名で構成する会計事務所グループ「アクタス」の代表を務める。税理士は、「接客・サービス・コンサル業」であるという考えにもとづき、いつもお客様の立場になって徹底的に考え、経営視点でのコンサルティングを提供している。セミナー講師も数多く行っており、受講者目線で、わかりやすく丁寧な解説には定評がある。

はじめに

年末年始やお盆などの帰省で実家に親族が大勢集まった際、相続の話をされた経験はありませんか?

その相続ですが、民法の相続編(相続法)について、2018年7月6日に改正法が成立し、一部の規定については2019年7月1日から施行されております。高齢化の進展など社会環境の変化に対応するための改正内容となっており、世間では、1980年(昭和55年)改正以来の約40年ぶりの改正ということで話題になっております。

今回は、この相続法の改正内容と施行時期等の取り扱いについてご紹介いたします。今回の改正は、残される配偶者の生活保護の観点や、相続争いを減らすことなどが考慮されたものとなっております。この機会にぜひ内容をご確認ください。

民法改正(相続編)の概要と施行時期

2018年7月6日に相続に関する民法等の規定(いわゆる相続法)を改正する法律が成立しており、一部の規定が2019年7月1日から施行されております。

■遺産分割に関する見直し

○持ち戻し免除の意思表示の推定規定(2019年7月1日以後にされた遺贈贈与から適用)

婚姻期間が20年以上である夫婦間において、居住用不動産を遺贈または贈与した場合には、原則特別受益として遺産に含めなくて良いこととなりました。結果、配偶者が居住用不動産を確保しつつ、遺産分割を行うことができることになります。

◆法務局Webサイト「長期間婚姻している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等について(PDF)

○預貯金の払戻し制度の創設(2019年7月1日以後にする仮払いから適用)

預貯金債権について他の共同相続人の同意や家庭裁判所の判断を経ずに、同一金融機関ごと150万円を上限として、金融機関の窓口で支払いを受けられるようになりました。また、仮払いの必要性があり、他の共同相続人の利益を害さない限り、申立てにより家庭裁判所の判断で仮払いが認められる要件が緩和されました。

◆法務局Webサイト「遺産分割前の払戻し制度の創設等(PDF)

■配偶者保護に関する見直し

○配偶者居住権の創設(2020年4月1日以後開始した相続から適用)

「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」の2種類の権利が創設されました。

1.配偶者短期居住権

相続開始時に被相続人の自宅に無償で住んでいた配偶者が一定期間(最低6か月間)無償でその家を使用することができるとする権利(相続開始により自然に発生)

2.配偶者居住権

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の自宅を原則として終身の間、無償で使用することができる権利(遺産分割、遺贈によって取得させる必要あり)

注:1.2ともに譲渡不可、配偶者の死亡等一定の消滅事由あり

◆法務局Webサイト「配偶者居住権について(PDF)

■遺言制度に関する見直し

○自筆証書遺言の方式緩和(2019年1月13日以後作成の自筆証書遺言から適用)

添付する財産目録について、自書ではなくパソコンでの作成や、通帳のコピー、不動産の登記事項証明書などを添付することが可能になりました。なお、財産目録の各頁には署名押印が必要となります。

◆法務局Webサイト「自筆証書遺言に関する見直し(PDF)

○自筆証書遺言の保管制度の創設(2020年7月10日から適用)

法務省令で定める様式で作成した、封をしていない遺言書を持参することにより、自筆証書遺言を法務局に保管できるようになりました。なお保管の申請は、遺言者本人が行わなければなりません。

◆法務局Webサイト「法務局における遺言書の保管等に関する法律について

■遺留分制度に関する見直し(2019年7月1日以後開始した相続から適用)

遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることとされ、共有状態を解消することができるようになりました。また、相続人に対する生前贈与は相続開始前10年間にされた贈与に限り対象となる取り扱いとされました。

◆法務局Webサイト「遺留分制度の見直し(PDF)

■相続の効力等に関する見直し

○法定相続分を超える部分の承継にかかる第三者対抗要件(2019年7月1日以後開始した相続から適用)

法定相続分を超える部分の承継については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないこととなりました。

◆法務局Webサイト「相続の効力等の見直し(PDF)

■相続人以外の者の貢献

○相続人以外の者にかかる特別寄与料制度の創設(2019年7月1日以後開始した相続から適用)

相続人以外の被相続人の親族(長男の妻など)が、無償で被相続人の療養看護等を行った場合、相続人に対して金銭の請求をすることができるようになりました。なお、この取得した金銭については、相続税の課税対象となります。

◆法務局Webサイト「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(PDF)

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