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【会計コラム】 海外進出時の税務上のポイント

2019/11/1 [会計,コラム]

今回の会計コラムでは「海外進出時の税務上のポイント」についてまとめました。どのような形態で進出しているのか、日本企業の進出する先の主要国の税制のポイントはどのあたりか、その基礎をご紹介いたします。

目次

  • はじめに
  • 海外進出時の税務上のポイント

アクタス税理士法人
代表社員 税理士
加藤 幸人 氏

東京と大阪を中心に5拠点、総勢約150名で構成する会計事務所グループ「アクタス」の代表を務める。税理士は、「接客・サービス・コンサル業」であるという考えにもとづき、いつもお客様の立場になって徹底的に考え、経営視点でのコンサルティングを提供している。セミナー講師も数多く行っており、受講者目線で、わかりやすく丁寧な解説には定評がある。

はじめに

今回は、「海外進出時の税務上のポイント」についてご紹介いたします。どのような形態で進出しているのか、日本企業の進出する先の主要国の税制のポイントはどのあたりか、その基礎をまとめてみました。

海外進出時の税務上のポイント

ここ最近、少子高齢化による国内の労働力や市場の縮小を背景として、業種を問わず、積極的な海外進出を進める中小企業の割合が増加傾向にあります。海外への進出を成功させるにあたって、進出目的の整理や現地市場などの調査のほか日本や現地の税制、租税条約などを含めた税務戦略の検討も重要性が増しています。

■海外進出検討のポイント

初めて海外に進出する場合の流れのポイントを簡単にまとめると以下になります。

1.海外進出の目的を明確にする

海外進出には経営を左右するリスクも伴うため、慎重に計画を立てる必要があります。そのためには、まず自社の状況や課題を客観的に整理し、海外展開の目的を明確にすることが重要です。目的を明確にすることで、事業プランを具体化することができます。

2.目的に応じた進出先国や進出の形態を検討する

海外展開の目的を達成するために適した国や地域を選定します。一般的な進出形態としては、駐在事務所、支店、現地法人がありますが、国によって選択できない形態もあります。

3. 社会情勢や市場、法律上、税務上の検討事項等の事前調査

政治、経済、社会情勢、法規制や税制、外資や環境面の規制など、まずは国内において確認可能な調査を行います。公的な支援機関や金融機関、専門家などの第三者機関を利用すれば、効率的に調査を進めることができます。弊社でも各国の専門家と協力した事前調査を支援しております。

4.現地調査

進出の決定に際しては、実際に現地に赴き、事前調査項目の検証、現地のビジネスパートナーや取引先等の見学、ビジネスインフラや物流の整備状況、経済特区の整備状況の確認、市場環境の確認など様々な現地調査を行う必要があります。また、治安状況や医療事情など社員が赴任する際の安全上の問題に関する現地状況を、自社スタッフの目で確認しておくことも重要になります。

5.意思決定

海外進出の目的、メリットとデメリット、発生が予想されるリスクなどを総合的に勘案し、さらに事前調査、現地調査の結果などをふまえて、海外進出の意思決定を行います。

■主要な進出先国の税務のポイント

主要な進出国の税務のポイントは以下のとおりになります。

1.アメリカ

・法人税率等:平均27%(州税含む)

・欠損金の繰越期限:無期限

・日本への送金に係る源泉税率(租税条約適用後)
配当10%,5%,0%、利子10%、ロイヤルティ0%

2.中国

・法人税率等:25%、20%

・欠損金の繰越期限:5年間

・日本への送金に係る源泉税率(租税条約適用後)
配当10%、利子10%、ロイヤルティ10%

3.ベトナム

・法人税率等:20%

・欠損金の繰越期限:5年間

・日本への送金に係る源泉税率(租税条約適用後)
配当10%、利子10%、ロイヤルティ10%

■主な海外進出の形態

企業が初めて海外に事業展開する場合、海外進出する目的を明確にし、その目的に合致した進出先となる国、進出方法を注意深く検討する必要があります。進出形態の代表的なものとしては、次の3つの形態があります。

1.駐在員事務所方式

原則として収益獲得に貢献しない補助的な活動しかできず、本社の一部として連絡や情報収集、市場調査などに活動が限定されます。資本金は原則不要です。駐在員事務所の損失は、本社にて合算申告を行います。

2.海外支店方式

駐在員事務所と異なり、営業活動が可能ですが、同一法人であるために、本社が支店の法律行為についてもすべて責任を負うことになります。資本金が原則不要です。支店の損益は、本社にて合算して申告しますが、現地で支店部分の申告義務がある場合があります。

3.海外子会社方式

本社からは独立して事業活動や法律行為を行う、進出先国の国内法人となります。資本金が必要となり、国や業種によっては外資出資比率に制限のある場合があります。海外子会社の損益はタックスヘイブン対策税制に該当しなければ本社と合算されません。現地での申告義務が発生することや親子間取引で気を付けるべき税制があります。

◆アクタスWebサイト「海外進出時の税務上のポイント

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