急激な成長に合せたシステムによる物流の効率化を図る
松浦:内田洋行の松浦と申します。私からは原部長より説明がありましたシステム導入による物流の効率化について具体的に説明させていただきます。
最初に食品業界の物流全般について説明すると、日本でも最も市場規模が大きく、品質面での社会的要求も非常に厳しいものがあります。しかし、単価が安いので物流コストが他の業界よりも重荷になってきます。対売上げ物流コストは売上げに対して平均5%ぐらいで、長い間変わっていません。
食品に限らず物流に関わる問題改善点は、発注コントロール、入荷精度向上、棚卸し検品などいろいろあります。
キャメル珈琲様はこの10年で急激に店舗数が増えたため、インフラも急激に変化しました。出荷精度、在庫の判断や棚卸しの精度を上げるのが人頼みでは難しくなり、システム化に取り組まれたというわけです。
全体で作業コストを調整するための効率化を図る
データ入力の手間でコストが増えないよう、その前のピッキングの作業を減らすことに重点を置いてトータルでコストを調整し、さらに効率化を図られています。
物流倉庫内の作業は、大きく分けて、入荷作業、入庫、ピッキング、出荷作業があり、その中で一番時間がかかるのがピッキングです。ピッキングは「歩く、探す、取る」が三大要素で、これらがコストにまともに跳ね返ってくるので、「歩かない、探さない、取りやすい」が三大効率化になります
出荷検品で多少時間がかかったとしても、余りある効果が期待できるとして採用されたのが、デジタルピッキングシステムです。
デジタルピッキングの特徴は、ランプが付いた場所で商品を取ればいいので、誰でも、商品がわからなくても作業できますし、バラ出荷にも対応できます。
導入後は作業人数を35%削減でき、時間も半分以下に短縮され、ミスも減ったと聞いています。
ただし、デジタルピッキングにも問題があり、ランプが点いた場所で違う商品をピッキングしてもわかりません。また、スピードと精度を高めるには固定ロケーションが必要ですが、商品が増えるとランプの数が増えて間違うリスクが増えます。
固定在庫に対し、バラを用意する補充作業が増えるという弊害も起きます。
そこで、全てに固定ロケーションは必要かが次の検討課題になります。
繁忙期、売れ筋の商品はバラでなく、店舗分でまとめると数百ケースに及ぶこともあります。それらをストックエリアからまとめて取ってくるようにすれば間口を減らせます。これをトータルピッキングといい、そのためのロケーション管理がきちんと行えるシステムとして、WMSを検討いただきました。
コンセプトを明確にしたシステムづくり
松浦:キャメル珈琲様にWMSの導入を検討いただいのは昨年でした。
コンセプトは店舗が増えた時に最低限の人とコストで対応できる仕組みづくり。具体的には目標とする500店舗の出店計画に対応できる仕組みが求められました。
物流倉庫の基幹システムのコントロールも検討されています。ピッキング作業の効率化と補充タイミングのコントロール等を行い、それらの作業を誰でもできるようにするというのもコンセプトに含まれています。
店舗の効率化を図るための店舗支援も視野に入れ、複数店舗の同時ピッキングや現物在庫をリアルタイムに店舗で把握できることを目指しています。
日付の管理、新店舗の作業、そして24時間365日インフラを止めない仕組みにも力を入れられています。
WMSで在庫管理をコントロールする
松浦:WMSを在庫管理として導入されるケースも結構あります。
物流在庫側で行うのは現在の在庫の把握です。在庫のズレは、入荷予定と違う商品数量が納品されてきたが、とりあえず受け入れといった、地味なミスが積み重なって生じます。
どれほど需要予測をしても、現物の在庫量がリアルタイムで把握できなければ、課題解決にはなりません。それを解決するのがWMSです。
倉庫内のロケーション管理は番地を付けるところから始まります。
大量に来る新商品は平置きでもいいので、保管効率を高める方が大事になり、それをWMSでコントロールします。
WMSで倉庫の図面を上から見ると、緑色が棚、青色が通路で、全てに番号が付いており、そこでどのように動線を引いて人をコントロールするかを考えます。
棚を縦から見た図もあり、そこにも番号が付けられています。
商品別にパレットで保管している大量品はどこから出すかなどもコントロールし、商品の特性に合った保管をしています。
松浦:キャメル珈琲様ではWMS導入でロケーション管理の効率化に成功され、基幹システムの刷新を進められています。
店舗レイアウトの変更を引き続き進め、店舗数が多いことからデジタルピッキングの仕分け版ともいえるアソートシステムの導入も検討されています。
賞味期限を始めとした鮮度管理、日付管理をルール面とシステム面でよりいっそう強化することを目的に、日々効率化に励まれています。
内田洋行も事例以外の部分についても、今後もお手伝いをさせていただこうと考えております。