最新の近畿物流センター
泉平は「物流を科学する」をコンセプトに物流改革を積み上げています。今、それを実践しているのが「近畿物流センター」です。2014年3月に稼働した同センターは、商品売上(通過)高約59億円。住所は神戸のテクノ・ロジスティクパークという工業団地内にあります。敷地面積約5500u(1600坪)、うち倉庫床面積は2545u(620坪)の2階建てです。駐車台数は108台で24時間稼働し、常時、駐車場は満車状態です。
保管能力は、冷凍5800間口、チルド720間口、ドライ3625間口あります。主な設備では太陽光パネルと自家発蓄電の仕組みと、監視カメラ、陽圧管理です。
取扱は現在5000(登録2万)SKUで、入出荷量は3000〜5500ケースです。
システムは内田洋行のスーパーカクテルで基幹システムと一部改良型のWMSを導入しTWSやデジタルレコーダーやドライブレコーダーを採用しています。
従業員は100名強(荷役要員45名)、配送コースは約39、得意先は1200あり、毎日配達する先は500軒程度です。商圏は神戸を中心に120分圏内の配送箇所。神戸、大阪、京都と滋賀・奈良・和歌山の一部が現在対応しているエリアです。
1階は、入出荷バースが12台。前室が5℃管理で、100坪強です。冷凍庫は約300坪弱。あとは冷凍分荷室30坪、チルド庫が20坪と現場事務所があります。2階はドライ庫とオフィスでドライ庫は3分の2、残りが更衣室や会議室です。垂直搬送機とエレベータがあり、リスク管理のため上下搬送機は2台を設置しています。
入出荷バースは壁の色が寒色から暖色に入荷温度帯に応じて変化させ、トラックが着けやすい工夫をしています。通常は2t車用で、2箇所は10t車、ウィング車用に高速シャッターも配置しています。前室は5℃管理で、無人時に自動で10℃になる設計です。
冷凍庫およびドライ庫は、有人で上下運動するピッキングカートを導入しています。冷凍分荷室はメディカル専用です。ドライ分荷室は主に学校給食が中心で、栄養士の視察も多く、衛生面で注意を払い、空調の陽圧システムを導入し異物混入しにくい仕組みです。
テストキッチンは、主に営業が顧客向けプレゼンやサンプル試作に活用しており、業務用冷蔵庫を配置して、メーカーサンプルを在庫します。売卸業でサンプルを庫内に置くのは資産管理上よくないので、センター稼働後は商品とサンプルを別管理としています。
オフィス部門は太陽光と蓄電システムが特徴でOA機器は最低8時間稼働できます。阪神大震災で最長3時間停電した教訓を踏まえ、2倍以上稼働できるようにしています。
ロケーションサインでは、アップル、エッグ、アイスなど初心者でも直感的に理解できるイラストを使うことで荷受作業員のピッキングが円滑になりました。Voiceシステムを導入し、アルファベットでは認識しづらい「アップルの〜A」の形で発話することで、認識率を高める工夫をしています。
物流システムは、WMSとTMSを導入しています。WMSのVoice機能は入荷検品や日付管理で活用しています。今期2次出荷にも応用する予定です。エラーがなく生産性が高いところから順次システム化を進めています。TMSは画面上で最適な配達を制御する仕組みであり、活用が進んでいます。当初、配送ルートは固定でしたが、物流コストの見える化で数値が掌握できると、高額な配送コストがつまびらかになりました。TMSで細かくシミュレートを行った結果、道路情報や高速料金の変更も瞬時に把握でき、配送コストの制御が可能になりました。
計画の軌道修正
この結果、大阪から岡山までの6拠点を統合する当初の計画は、必要スペースや人員、投資額を試算した結果、非常にリスクが高く、投資効果が出ないと判明し、メディカル部門と大阪と神戸の3拠点を統合することに軌道修正しました。統合拠点はどこが最適かも検証しました。ユーザーの位置情報をTMSでプロットし、仮配送コースを運用し、ユーザーごとの空走距離と荷卸し時間等の条件を入れて試算した結果、テクノパーク、ポートピア、六甲アイランド、西宮北、の4カ所が候補となりました。最小台数の車で、最短の稼働時間、走行距離、燃料、実稼働時間、空走時間、有料道路料金の金額でテクノパークに決定しました。
今後の課題〜次世代をにらんで〜
今後の課題は(1)人材育成(2)KPIの掘り下げ(3)エラーゼロの3点です。離職率の低下を目標とし人材育成に力を入れていく方針です。KPIで業務改善が実現できたので、効率面および品質面から更にKPIを掘り下げて行く意向です。そして、エラーゼロのセンターを目指します。
この3つのテーマで次のステージへ挑戦をしていきます。