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【福祉コラム】 介護現場におけるICT利活用の必要性と向き合い方<準備編その1>

2019/2/28 [福祉,コラム]

株式会社BI Bridは「介護とITを同時に考える会社」として、介護・福祉・医療業界の皆様の役に立つICT利活用のサポート業務や情報発信などを専門に行っています。今回はICT利活用がいよいよ必須となってきている介護現場の状況をふまえ、実際に現場で必要な準備・取り組みについてお伝えしたいと思います。

▽全3回
介護現場におけるICT利活用の必要性と向き合い方<導入編>
介護現場におけるICT利活用の必要性と向き合い方<準備編その1>
介護現場におけるICT利活用の必要性と向き合い方<準備編その2>

目次

  • ICT利活用の意思決定を行うには業務課題分析が重要
  • 他社ICT利活用の成功事例を参考にする場合の注意点

株式会社BI Brid

ICT利活用の意思決定を行うには業務課題分析が重要

ICTやロボット技術はあくまでも道具・手段であり、介護サービス事業者として目的を明確にした上で導入〜活用することが重要と前回の記事でお伝えしました。目的を明確にしてICT導入の意思決定を行っていくには、最初に法人や事業所の現状を認識するための業務課題分析を行う必要があります。

業務課題分析は現状ICTを用いて行っている業務もそうでない業務も含めて行います。検討を深めていくと、これはICTで改善できるかもしれないという課題と、そうではない課題とが存在することが徐々にはっきりしてくるはずです。この最初の段階で課題の抽出作業をきっちり行わず、ICTやロボット技術に対する漠然としたイメージや思い込みだけで話を進めてしまうと、後になって真の課題は別のところにあると判明し、それまでの作業が全て見当違いで投資が無駄になってしまう可能性も出てきてしまいます。ICTは導入すれば魔法のように一瞬で問題を解決できるという類のものではありませんが、プロセスをきちんと踏んでいけばICT利活用での改善効果が得られやすい課題が見つかりますので、まずはそれが何なのか考えてみるということが大切です。

業務課題分析などというと大げさに、あるいは難解に聞こえるかもしれませんが、介護の仕事において皆様は日頃自然にこれを行っているはずです。つまり、ある利用者の生活をより良くするためにはどのような支援をすべきなのかということについて、各職員の視点から「こうした方がいいのではないか」「それよりもこういうのはどうだろうか」と議論を交わしながら方法を決定しているのと同じことを、業務において課題になっていそうなこと――例えば、「一度紙に記録した内容を介護ソフトに転載する作業が発生している」「申し送りの際に口頭で伝達した指示が全職員に伝わらない」など――に対して行えばよいのです。また、組織内からの見方だけですと、それがそもそも課題だということに気が付かないようなことも中にはありますので、場合によってはコンサルタントのような第三者を交えて検討することも有効です。

他社ICT利活用の成功事例を参考にする場合の注意点

加えてもう一点上記に関連することとして、他法人・他事業所でのICT利活用の取り組みを参考にする場合に、成功している取り組みをそっくりそのまま真似しても同じように成功するとは限らないということにも注意していただきたいと思います。実際の介護現場での活用事例を知ることはICTで出来ることについてのイメージを具体的にしてくれるので有益ですが、他社事例はあくまで他社での話です。

例えば、近所にある特養でインカムを導入したら職員間での情報伝達がスムーズになり業務効率が上がったという話を聞いて、自分のところの特養でもインカムを導入したいと考えたとしましょう。しかし一口に同じ特養と言っても、建物の面積・居室の数・階数・フロアの形状などなど当然施設ごとに異なりますし、働く職員の数や質も同じことはないはずです。たまたま他所でインカムが課題解決の方法として適合したからといって、それが自分の働く事業所でも同じように効果を発するかどうかは分かりません。

他社事例で重要なのは、ICT利活用に成功したその事業所は何を課題にしていたのかと、その理由の部分です。もしその課題や理由が自分の事業所の現状と近いものであれば、インカム導入が同様の改善を生み出す可能性は高いので導入を検討する意義があります。逆に、ちょっと自分の施設はまた状況が違うということであれば、どこがどう違うのかを分析し、それでもインカム導入に効果がありそうなのか、またはやっぱり無さそうなのかを判断すればよいのです。もちろん、成功事例は成功事例なので、まるまる真似するだけで改善できることも少なくないと思いますが、「自分たちの事業所の場合はどうか、いや、ここではこうした方がいいかもしれない……」と一旦整理するクセを付けることがより効果を上げることや、無駄な投資をする事態を避けることに繋がります。

最後に繰り返しになりますが、皆様は介護のプロなので日頃サービス利用者に対しては個別化の原則で接していると思います。そして、ニーズは一人一人異なるということを知っている皆様であれば、業務課題の改善に必要なICTがそれぞれの状況において異なるということを理解していただけると考えます。あくまでも個々の課題が先にあり、それに対する解決手段としてICTの利活用があるということを忘れずにいてもらえさえすれば、ICT利活用を成功に導くことは決して難しくありません。次回コラム最終回となりますが、ICT導入を決定した後の準備としての予算確保、環境整備、社員教育などについてお伝えする予定です。引き続きお読みいただければ幸いです。

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