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【福祉コラム】 介護現場におけるICT利活用の必要性と向き合い方<準備編その2>

2019/3/29 [福祉,コラム]

株式会社BI Bridは「介護とITを同時に考える会社」として、介護・福祉・医療業界の皆様の役に立つICT利活用のサポート業務や情報発信などを専門に行っています。最終回となる本稿では前回に引き続き、ICT利活用がいよいよ必須となってきている介護現場の状況をふまえ、実際に現場で必要な準備・取り組みについてお伝えしたいと思います。

▽全3回
介護現場におけるICT利活用の必要性と向き合い方<導入編>
介護現場におけるICT利活用の必要性と向き合い方<準備編その1>
介護現場におけるICT利活用の必要性と向き合い方<準備編その2>

目次

  • 介護現場のICT導入費用で見落としがちな点
  • 現場スタッフが困らない環境整備を
  • 職員へのICT利活用に関する教育は継続的に

株式会社BI Brid

介護現場のICT導入費用で見落としがちな点

ICT導入をやると決めれば、当然ながらまずは予算を確保するということが必要になりますが、そのためには導入にあたってどんな費用がかかってくるのかを正確に把握していなければなりません。

例えば、現在使用している介護ソフトから記録をタブレット端末で入力できるソフトに乗り換えるという場合、ソフトの使用料や初期設定にかかる費用、タブレット端末の費用などはすぐに思い浮かぶと思いますが、無線を含むLAN(事業所内でパソコン等の情報機器が相互に通信出来るようにしたネットワーク)環境の構築にかかる費用の想定がすっぽりと抜けているケースがあります。

タブレット端末やセンサー類の利用には多くの場合無線LAN環境が必須ですが、築年数の古い施設では事業所開設時にインターネットが今ほど普及していなかったため、後から工事して環境を誂えていることが多く、そのため事務所など施設の一部にしかLAN環境がないということが少なくありません。

ICT導入を進める担当者が施設のLAN環境がどうなっているかを理解していないまま話を進めていき、いざ業者から提示された正式な見積書を確認すると、想定していなかったLAN工事作業や無線アクセスポイントのようなネットワーク機器の費用が記載されていて驚くというようなことが実際にあります。特に施設内に隈なく無線LANの電波が届く環境を構築するとなると必要な機器の数も多く費用が高額になりがちなので、現状を把握しておくと共に計算から抜け落ちるということのないように注意が必要です。

なお、導入するICTの種類や運用方法によっては部分的にLAN環境を整えるだけでも支障がない場合もありえます。この場合、逆に過剰な設備投資になってしまう工事を見積もってしまっていることもあるので、こちらも気を付けましょう。

また、現在使用している介護ソフトから全く別のソフトに乗り換える場合、既存のデータを新しいソフトに移行するのに必要な費用も忘れがちです。これは使用しているソフトによっても事情が異なってくると思いますが、場合によっては異なるソフト間でデータを読み込み可能な形に変換する作業や、データでの移行を諦めて紙に出力した情報を新たに手入力する作業などで追加の費用がかかってくるケースもあります。業者から提示されている見積内容に既存ソフトからのデータ移行費用が含まれているか、その作業の内容など事前に確認しておくのが安全です。

現場スタッフが困らない環境整備を

ICT導入の目的がきちんとあり適切なツールを選んだとしても、実際に運用するための環境が整っていなければICT利活用は上手くいきません。介護現場の職員が使いづらいと思ってしまえば、どんなに高価なシステムや機器でもあっという間に使われなくなってしまい無駄になります。

例えば先に無線LAN環境の構築について触れましたが、せっかくタブレット端末を導入して各居室においてその場で記録を入力できるようになると職員は思っていたのに、実際は無線アクセスポイント(パソコンやタブレットを無線でネットワークに接続するために電波を飛ばす装置)が適切に設置されておらず通信が不安定なために、結局紙でメモしたものを電波の届く場所に移動してから入力しなおさなければならなかったとしたらどうでしょうか。「だったら全部紙でやったほうがいい」「なんでこんな面倒なことをしなければならないのか」となるのがオチです。あるいは、無線LANで通信する見守りセンサーだったとしたらどうでしょうか。通信が繋がったり繋がらなかったりするような不安定な環境で、利用者の命を預かっている職員がセンサーを活用するとは考えにくいでしょう。

また、物理的な環境が整っていたとしても、ICTを受け入れる職員側の体制が不十分なままに運用を始めてしまったがために失敗することも多々あります。新しいソフトや機器の操作方法などを通常業務をこなしながら習得するのは当然ながら非常に負荷がかかります。

例えば、上述のようなタブレットで記録を取るソフトを新規に導入する場合では、今現在の業務フローと並行しながら段階を踏んで徐々に運用する範囲を広げていくのが安全です。方法としては、使用する機能を限定して始め少しずつ増やしていくことや、限られた職位の職員のみあるいは特定のフロアのみでの運用からスタートするなどが考えられます。これがいきなりある時点から一斉に運用を開始したりすると、ICTが不得意な職員が使用方法について他の職員に訊ねようとしたものの、リーダー層を含め誰も説明できず現場が混乱するというようなことが起こります。最低でも、ICTの導入を推進する職員を決めた上で、その人が他の職員にある程度説明できる状態を予め整えておくべきでしょう。

ICT導入がうまくいっていない施設では、このような現場職員の不満や不安に適切な対処ができていない場合が多く見受けられます。ICTを導入したらそれで終わりではなく、正しく運用するための継続的な環境整備が重要です。

職員へのICT利活用に関する教育は継続的に

最後にもう一つ、環境の話と切り離せないのが職員への教育です。

例えば、業務でパソコンを使っていたのは請求担当など事務作業を行う一部の職員だけ、という事業所で、現場の職員全員が利用するICTを導入するという状況を想像してみます。介護ソフトでもセンサー類でも導入時にはまず使用方法について業者の担当者から説明を受ける機会があると思いますが、それはあくまでもその製品自体の使用方法の説明です。パソコンなど情報機器の操作に慣れている職員はそれで内容を理解して使い始められる一方、そもそも機械が苦手な職員の方では、どれだけ丁寧に説明されても何を言っているのか全然分からず困惑しまうという状況が目に浮かびます。

パソコンなど情報機器の操作については慣れ不慣れのバラつきがあるのが普通ですので、特に不慣れな職員向けに別途事業所独自にパソコンや情報機器の基本的な操作方法を学べる研修が用意されていると、職員のICT導入に対する不安や抵抗は軽減されると考えられます。

それから、導入時の製品説明はシフト勤務をしている職員に向けて複数回行われることも多いと思いますが、参加できなかった人や運用開始後に新規に入職した人にも同じ情報が共有できるように注意しましょう。異動や退職などで職員が入れ替わっていくうちに、気が付いたら現場に使用方法をきちんと理解している人がいなくなっていた、というような事態は防がなくてはなりません。また、正規の製品使用マニュアルがある場合でもそのままだと記述が多かったり説明的すぎたりして分かりづらいという時には、最低限業務を行う上で理解している必要のある機能をピックアップして簡易マニュアルを別途用意するのも有効でしょう。

いずれにせよ職員が導入したICTを適切に使用できるようにすることは事業所の責任として行うことが重要です。特にトップダウン的にICT導入を進めた場合、業務とはいえ特にサポートもなく自助努力で使えるようにせよというのでは、業務を効率化して働きやすくするためにICTを導入したはずが、逆に職員のモチベーションを下げてしまうことにもなりかねませんので、是非とも職員への教育についても検討していただければと思います。

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