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【内田洋行ITフェア2019in東京】 RPAの波は突然やってくる!昭和電機の2年間の成果と自動化した業務の事例とは

2019/12/23 [RPA,セミナーレポート]

昭和電機では、定型業務の自動化による労働生産性の向上を目指してRPAを導入しました。そして丸2年、順調に業務の移行が進み、現在は当初計画していた59業務中40業務の自動化が実現しています。このセミナーでは、複数のRPAを利用しながら安定的に稼働するロボットをどのようにして開発したのか、デジタルな成果と事例を交えてご紹介します。

目次

  • RPAの波は突然やってくる
  • コツコツと削減時間を積み上げる
  • RPAはいろいろな業務に導入できる
  • 今の業務の中で可能なものから着手する
  • 失敗しないRPAの導入方法

内田洋行ITフェア2019 in 東京にて

RPAの波は突然やってくる

昭和電機株式会社
経営管理部 ICTシステムグループ 兼 総務グループ
栗山 隆史 氏

(1)ある日、上司が「RPAをやるぞ!」

私どもがこの2年間、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入に取り組んで来たことを包み隠さずに話します。弊社は、1956年に設立されました。モーターに羽を取り付けて風を送る電動送風機などを製造し、さまざまなメーカーに部品として納めています。すべて受注生産です。顧客のメーカーは、部品ごとに異なる風を求めます。私どもは、そこにきめ細かく応えていくことで多くのメーカーから高い評価をいただいております。

現在の社員数は235人(単体)。製造拠点は大東工場(大阪府大東市)、伊賀工場(三重県伊賀市)、滋賀工場(滋賀県高島市)の3カ所です。資本金は8,850万円。売り上げは年商86億円(2018年度)です。

そんな弊社が2年前にRPAの導入に取り組むことになりました。ある日、管理部長が東京でセミナーを受けて帰ってきたら「RPAをやるぞ!」と言い出したのです。これがことの起こりです。私は情報システム室の室長なのですが、営業歴が長かったので、当時は「RPAってなんや?」と思ったのでした。

早速、インターネットで調べたのですが、情報はいろいろと出てくるものの、専門用語が多くて意味が分かりません。そこで、RPAのシステム開発を扱っている会社を探し出し、電話をして、説明しに来てほしいとお願いしました。しかし、ほとんどが「忙しくて今すぐには行けません」と言われてしまいました。

それでも諦めずに探し続けていると、なんとか数社見つけることができました。その間、私もRPAのセミナーなどに出て勉強し、どんなものなのか少しずつ理解していきました。

セミナー資料:RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」

(2)5つのソフトを独自の基準で検討

弊社のRPAの導入の目的を列記しますと、次のようになります。

セミナー資料:昭和電機のRPA導入の目的

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「昭和電機のRPA導入の目的」

これをよく見ていただくとわかるのですが、「残業費用の削減」以外は、直接お金には結びつかない項目ばかりです。当初は、「会社は本当に予算を用意してくれるのか」と不安になりました。でも、上が「やるぞ」と言っているので、とにかく始めてみようということになり、とりあえずの予算も用意されました。

まず検討したのは、どのような領域にRPAを適用し、どのように導入すれば効果的なのかということでした。

実際にやってみて、このアプローチの進め方がとても大事だとわかりました。最初に現状を把握して、次に試行してみて、そしてRPAが本当に効果があるのかを判断する。その上で導入を図っていくのです。また、試行の段階では、数社に声をかけて、それぞれ弊社用のシステムを有償で作ってもらい、計5つのソフトでデモンストレーションをやってみました。

次に検討したのは、これらのソフトの中でどれを選ぶのかということでした。私どもは、安定性の良いソフトを使いたいと考えていましたので、選定基準の1つをRPAの安定性としました。

セミナー資料:RPAの安定性

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「RPAの安定性」

上の図の左側にある「HTMLタグ、UIタグによる項目指定」や「キーボード操作による項目指定」などを中心に、5つのRPAソフトを評価しました。同時に、弊社の業務や体制に適しているRPAソフトを選ぶため、基準も作り、この観点からも評価しました。そして、最終的には1社のRPAソフトに決めました。

コツコツと削減時間を積み上げる

(1)情報システム担当者が各部署にヒアリングへ

選定したRPAソフトを実際に導入したのは2017年9月です。最初に適用したのは2つの作業で、1つ目は週報の集計および再発信。2つ目は勤怠の未入力者に対する注意喚起メールの発信でした。弊社の情報システム担当者たちも、実際の場面で動くところを見て、「こう動くのか」と深く理解できました。

次に私たち情報システム室の者が各部署に行きヒアリングを実施しました。RPAで自動化できるものとして46業務を抽出しました。翌年の8月には、さらに13業務を追加。そして9月には23業務を自動化しました。削減できた作業時間は月間218時間です。

RPAが導入可能であろう、と抽出した業務の例は以下の通りです。

ただしこれは弊社の場合です。

セミナー資料:昭和電機でRPA導入可能な業務の洗出し例

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「昭和電機でRPA導入可能な業務の洗出し例」

洗い出してみると、ボリュームのある業務はそう多くありませんでした。自動化して一気に作業時間を減らすことはできないので、コツコツと削減時間を積み上げることで、コストに見合うような効果が出るようになりました。

(2)一番多かったのはアラームを出す作業

2019年の開発体制と実績は次の通りになっています。弊社の情報システム担当社は私を除いて3名で、そのうちの2名は情報システムの未経験者でした。それでも、今では自動化する業務に合わせて自らRPAの自動化ロボットを開発できるようになっています。

セミナー資料:2019年の開発体制と実績

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「2019年の開発体制と実績」

現在、RPAで自動化した業務は次の通りです。なお、業務によっては全てを自動化ではなく人が部分的に介することもあり、それは「RPA化率」で示しています。

セミナー資料:RPA化した業務 営業部編

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「RPA化した業務 営業部編」

RPAで自動化した業務の分析もしました。多かったのは、通常の状態ではないときにアラームを出す作業の自動化でした。これまで人がタイミングを決めてチェックしていた作業を、代わりにRPAのロボットにひたすら監視させ、何かあればすぐに知らせるようにしたわけです。

データを集計してレポートを作成し、メールで発信するという作業も多くありました。経理関係では、2つの情報を照合するという作業も多くありました。

セミナー資料:RPA化した業務を分析すると

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「RPA化した業務を分析すると」

次の段階では、基幹システムへの入力の自動化に取り組みたいと考えています。ここにRPAを導入できると、これまで以上に大きな作業時間の削減が可能になるはずです。

(3)その細かな作業は他の部署でもやっていないか

RPAに置き換えた作業について、もともと人が費やしていた時間も調べました。全体の約1/3は人が5分以内に作業していたものでした。つまり、細かな作業が多かったということです。このくらいの作業時間だと、担当者が「わざわざ自動化しなくてもいい」と言ったりします。しかし、その作業を他の部署や拠点でも同じようにやっているのだとすれば、多くの時間を削減できます。

全体の3/4は1時間以内の作業です。RPAを推進するときは、このような小さな作業を見逃さないのが大事です。また、細かい作業の方がRPAロボットの開発も楽です。

また、人が10分でできる作業をRPAで自動化すると、ときに30分もかかってしまうことがあります。しかし、人がそこに介在する必要がなければ、人の作業時間を減らせますので、それはそれで良いと考えています。

RPAはいろいろな業務に導入できる

(1)事例1:納期回答ロボットで自動化

ここから具体的な事例について話します。最初は、納期回答ロボットです。弊社では1日に約600件の受注があります。この受注に対して、今はすべてRPAのロボットが納期の回答をしています。

これまでは、全国にある11の営業拠点の担当者がそれぞれ、基幹システムの納期回答一覧表を見て日にちを確認し、そして回答書に納期を書いて顧客に返答していました。1つの作業時間は短いので、担当者はそれほど苦に思っていなかったのですが、全拠点で合計すると毎日5〜6時間になっていました。

この作業をRPAで自動化しました。1日2回、基幹システムから納期回答データを収集し、本社から一括して顧客に回答する仕組みにしました。ただ、納期については担当者と顧客との間で個別に話し合っていることが多く、まず営業拠点に送付して、それから担当者がメッセージを添えてメールなどでお知らせするという形の運用をしています。

(2)事例2:アルバイト勤怠確認ロボットで自動化

近年、弊社ではアルバイトが増えています。しかし、そのシフトの予定と勤怠の実績とのチェックが大変になってきました。そこで、この作業をRPAで自動化しました。

従来は担当者が、月初に各部署から提出されたExcelのシフト表と、勤怠システムにある実績データとを照合していました。アルバイトの方の働き方はいろいろです。来る日もあれば来ない日もある。就業の開始時刻もバラバラ。今、30人ほどのアルバイトがいて、1カ月を21日間だとすると、照合するデータの数は計1,260にもなります。かつては、そのデータを人がつき合わせて、差異があれば上長に確認していました。

現在は、RPAのロボットがシフトの予定と実際の勤怠状況を照合し、差異が一目で分かるExcelデータを自動で作成しています。その後人が差異をチェックし、上長の確認後、勤怠システムの修正をしています。

セミナー資料:勤怠照合データ例

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「勤怠照合データ例」

(3)事例3:働き方改革を支えるアラート発信

弊社は退社から翌日の出社まで10時間以上のインターバルをおくルールがあり、インターバルが短い社員に注意メールを発信する部分を自動化しました。まず、RPAロボットが勤怠システムから最終打刻時刻情報を収集。弊社は午前9時が始業時刻なので、22時以降に退社の打刻した者、あるいは無打刻者をリストアップします。そして、翌日の午前5時25分にデータを作成し、6時58分に一覧表をメールで総務担当者に発信し、該当者それぞれに注意メールを発信しています。

(4)事例4:会計データの照合ロボットで自動化

会計業務には照合する作業が多くあります。売掛金データと入金データの照合をはじめ、買掛金データの照合、未払い金データの照合など、いろいろとあります。そこで、RPAロボットが会計システムや生産システムのデータをExcelで出力し、差異を分かりやすく表示するようにしました。

セミナー資料:会計データの照合ロボットで自動化の前

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「会計データの照合ロボットで自動化の前」

セミナー資料:会計データの照合ロボットで自動化の後

ITフェア2019講演資料:昭和電機株式会社「会計データの照合ロボットで自動化の後」

今の業務の中で可能なものから着手する

RPA化にはいろいろなやり方があると思いますが、最後に、弊社がRPAの導入に取り組んで分かったことをまとめます。

  • トップダウンでの推進
  • 身の丈に合ったRPAソフトから
  • 情報システム部門から現場にヒアリング
  • 短時間の作業もちりも積もれば山となる
  • 業務改善よりもまず今の作業をRPA化
  • 時には強引にRPAを押し付ける
  • 最後は現場主導に置き換える
  • RPA前提で新たな業務設計ができる
  • RPAは見えない効率化を生む
  • サポート体制の良いところ
  • RPAは止まることを前提に

諸説あります…現場に合わせてご参考ください。

弊社の場合、トップダウンで推進したからこそRPAを導入できました。皆が「やるしかない!」と思わないと、なかなか前に進まないと思います。

また、現場からRPAの要望や情報が上がってくることは滅多にありません。なぜなら、最初はRPAがどんなものかわからないからです。RPAで何ができるかをわかっている者が各現場に行くことが重要で、情報システム担当者が注文を取るようにして、「それをRPA化する」と決めていくことが大事です。

私は、業務改善よりも今の作業をとりあえずRPA化する方が重要だと考えています。まず今の業務の中で、RPAで自動化できるものから着手する。すると、現場もRPAの利便性を理解していき、「あの業務もRPA化できるのではないか」と思うようになります。

それから弊社では、RPAを導入するときは、誰かのパソコンに入れるのではなく、RPA用の専用機を業務ごとに用意しています。

最後に、弊社が使っているRPAソフトを開発してくれたユーザックシステム株式会社の担当者からも、アドバイスをしていただきたいと思います。

失敗しないRPAの導入方法(ユーザックシステム株式会社)

ユーザックシステム株式会社
取締役 マーケティング本部長 小ノ島 尚博 氏

弊社は、来年で50期を迎える企業で、システムインテグレーション事業やオリジナルソフト事業を展開しています。RPAについては15年前から取り組んでいて、2008年に「Autoブラウザ名人」、2010年に「Autoメール名人」、2018年に「Autoジョブ名人」をリリースしました。昭和電機様でお使いいただいているのは、パソコン操作を全般的に自動化する「Autoジョブ名人」と、メールの送受信などを自動化する「Autoメール名人」です。

これまで数多くの企業に対してRPAの導入を支援してきました。その経験の中で弊社が感じるRPAの失敗要因は主に3つあり、逆にこれを理解できれば、RPAを定着させるポイントも見えてきます。

セミナー資料:RPAが失敗する要因
セミナー資料:RPAを定着させる成功ポイント

弊社が関わってきた事例を見ると、RPAの成功が多い導入体制は、情報システム部門がそれぞれの業務に合ったRPAロボットを自ら開発して管理する形です。先ほどの栗山様のお話にもありましたが、現場は業務に追われています。自分たちで開発する時間がなかったり、スキル不足で安定的に動くものが作れなかったりします。情報システム部門で、きちんと専任者あるいは兼任者を決めて運用しているケースの方が、費用対効果はきちんと出ています。

セミナー資料:RPAの成功が多い導入体制
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