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【中小食品メーカーのマーケティング戦略】 第3回:強いブランドを生み出す方法

2021/4/28 [食品,コラム]

「中小食品メーカーのマーケティング戦略」がテーマの連載コラム(全4回)。地域や中小企業のマーケティングを主な研究テーマとして各方面で活躍する、静岡県立大学教授の岩崎邦彦氏によるわかりやすい解説コラムです。

目次

  • ブランドは「品質」を超える
  • モノづくり ≠ ブランドづくり
  • 「強いブランド」にはどのような特性があるのか
  • 「ブランド」は成り行き任せでは、できない

ブランドは「品質」を超える

突然だが、ここに全く同じ価格、同じ品質の2つの牛肉のステーキがあるとしよう。ひとつには、「松阪牛」と書いてある。もうひとつには「静岡和牛」と書いてある。

あなたは、どちらを選ぶだろうか。繰り返すが、価格、品質は全く同じだ。

「松阪牛」「静岡和牛」

全国の消費者に聞いてみた。結果は表1に示したとおりである。

まったく同じ品質と価格にもかかわらず、「松阪牛」を選んだ人の割合は、「静岡和牛」の20倍だ。

これがブランドの力である。

まったく同じ品質であったとしても、選ばれるものと選ばれないものがある。選ばれるのは、「強いブランド」だ。

表1:松阪牛 vs 静岡和牛

モノづくり ≠ ブランドづくり

牛肉のステーキの例が示すように、選ばれるためには、品質を超えた「何か」が欠かせない。では、品質を超えた「何か」とは何か。

それが、「ブランド」だ。

「ブランドづくり」は、「モノづくり」を超える。ブランドとは、品質を超えた「とんがり」である(図2)。

図2:ブランドは、品質を超えた「とんがり」

「強いブランド」にはどのような特性があるのか

では、どうすれば、強いブランドは生まれるのだろうか。以下では、「消費者調査」と「経営者調査」から導出された、強いブランドに共通する6つの特性を紹介しよう(図3)。ブランドづくりの方向性がみえてくるはずだ。

図3:「強いブランド」の6つの特性

強いブランドの特性① イメージが明快である

強いブランドに共通するもっとも重要な特性は、「イメージが明快である」ということだ。

ブランド名を聞いたときに、買い手の心の中にイメージが浮かぶから、選ばれるのである。名前を聞いても、イメージが浮かばなければ、選ばれることはない。

では、どうすれば、買い手の心に、明快な「ブランド・イメージ」をつくることができるのだろうか。

そのためには、売り手側が「ブランド・アイデンティティ」(ブランドの理想の姿)を明確化することが欠かせない。

「ブランド・アイデンティティ」と「ブランド・イメージ」は、原因と結果の関係だ。明快なブランド・イメージをつくるためには、明確なブランド・アイデンティティが前提になる。

強いブランドの特性② 感性に訴求している

強いブランドは、顧客の「理性」(頭)だけでなく、顧客の「感性」(心)にも訴求している(図4)。

顧客を引きつけるためには、ネーミング、パッケージ、デザイン、物語、接客などで、顧客の感性に訴えていくことが欠かせない。

図4:強いブランドは、買い手の「頭」と「心」に訴える

強いブランドの特性③ 独自性がある

「無難」「平凡」は、どれもブランドづくりのNGワードだ。

まだ世の中に「難」が多かった過去は、「無難」だから選ばれた。かつて、日本が貧しかった時代は、「平凡」が魅力だった。

だが、今は違う。今は、「無難=難有(なんあり)」の時代である。「平凡」という名の雑誌も、今は廃刊だ。強いブランドをつくりたければ、「脱・無難」、「脱・平凡」で、周りがやっていないことをやる必要がある。

強いブランドの特性④ 価格以外の魅力で顧客を引きつけている

価格を下げなければ顧客を生み出せないとすれば、それは「ブランド」ではなく、ただの「商品」だ。

消費者がブランドに求めているのは、「低い価格」ではなく、「高い価値」である。強いブランドをつくるためには、「いかに安く売るか」ではなく、「いかに、安く売らないか」に知恵を絞るべきだろう。

強いブランドの特性⑤ 情報発生力がある

強いブランドには、「情報発生力」がある。「発信力」ではない。「発生力」だ。

具体的には、新聞、テレビ、雑誌などのメディア経由で、そのブランドがとり上げられやすいということである。

自分で「この商品はすばらしい」と広告するよりも、「この商品はすばらしい」とメディアが伝えてくれた方が、はるかに信頼性が高く、説得力も強い。

強いブランドの特性⑥ 口コミ発生力がある

強いブランドには、「口コミ発生力」がある。「顧客が、顧客を生み出す」というメカニズムが作用しているということだ。

次の2つのメッセージのどちらにひかれるだろうか。

・「このスイーツ、とても美味しいの」(友人・知人の言葉)

・「当社のスイーツは、とても美味しいです」(売り手の言葉)

消費者に聞くと、圧倒的に多くの人が友人・知人の言葉にひかれると回答する。売り手の言葉よりも、知人・友人の口コミが勝るということだ。

「ブランド」は成り行き任せでは、できない

今回は、強いブランドに共通する条件をみてきた。これらの条件に、ブランドづくりのヒントがあるはずだ。

・その商品は、イメージが明快だろうか

・消費者の感性に訴求しているだろうか

・独自性があるだろうか

・価格以外の魅力で消費者を引きつけているだろうか

・メディアに取り上げられることはあるだろうか

・消費者が口コミをしやすい特徴があるだろうか

強いブランドは、成り行き任せではできない。戦略性と創造性を持ってつくりあげるものである。

静岡県立大学 経営情報学部 教授
岩崎 邦彦 氏

静岡県立大学 経営情報学部 教授・学長補佐・地域経営研究センター長 博士(農業経済学)。専攻は、マーケティング。とくに、地域や中小企業に関するマーケティングを主な研究テーマとしている。これらの業績により、日本観光研究学会賞、日本地域学会賞、世界緑茶協会 学術研究大賞、財団法人商工総合研究所 中小企業研究奨励賞などを受賞。
著書に、「地域引力を高める 観光ブランドの教科書(日本観光研究学会観光著作賞)」「農業のマーケティング教科書:食と農のおいしいつなぎかた」「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」「引き算する勇気:会社を強くする逆転発想」(いずれも日本経済新聞出版社)などがある。
公職は、静岡県地域づくりアドバイザー、中小企業診断士国家試験委員、世界緑茶協会世界緑茶コンテスト審査委員、近江米振興協会オーガニック近江米ブランディングアドバイザーなど多数。

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