工場から出荷した商品が、市場で大きな問題が発生したとします。
お客様から、賞味期限、ロットなどの情報が伝えられたときに、直ぐに、販売状況、流通状況、製造履歴を調査する必要があります。製造履歴には、使用した原材料、添加物、包装資材、使用設備、製造方法、作業者などの情報、記録が必要です。
私は、トレースバックを、スマホを首から提げているストラップを引っ張ると、スマホを初め、全ての情報がつながって伝わってくると説明しています。
あなたの工場では、最終商品のロットが解れば、直ぐに、必要な情報が紐につながって出てきますか。何時でもトレースバックできるように、帳票管理の仕組みを考えておくことが必要です。
使用している原料、例えば小麦粉に異物が入っていたと小麦粉メーカーから連絡があったときに、原料を引っ張ると、最終商品の該当原料を使用しているロットと出荷先を把握することができますか。
注意が必要なのは、例えば10kgの製品が2kg余った時に、翌日に回すことがあると思います。再生、リワーク品、戻し品などと言われています。昭和の時代は、一度市場に出荷した商品の返品分を再度包装しなおす等といったことがありましたが、どのような管理が行われているか解らない、工場から出荷した商品を、再度原料としても使用することは無くなっていると、私は信じています。
原材料、添加物のロット管理を行っている工場は多いのですが、包装資材、フイルム、ラベルをロット管理している工場は少ないものです。市場クレームを見ていると、バーコードが読めない等と言った印刷ムラによるクレームが出ています。
印刷フイルム、印刷ラベルなどが入荷してきたときに、前回納品した物か、初回発注のゲラと比較し検品を行っていますか。バーコードがついている物は、スキャナーでスキャンして印刷ムラなどが無いか確認して入荷することが大切です。
包装資材なども印刷ロットを確認し、最終商品を包装したときのロットナンバーを明確にしておくことが必要です。
帳票の管理をすべて、パソコンでスキャンし、管理している工場も出てきています。
スキャンしてパソコンで管理する場合、帳票をどのように探し出すことができるか、考えてスキャンしていますか。
理想的には、最終商品のロットを入れると、自動で帳票が確認できように、仕組みを作り上げるべきです。
紙ベースで管理している工場であれば、最終商品のロット毎に封筒などに入れて保管し、最終商品で問題があれば、探し出せるようにすべきです。
・ICチップカードの利用について 〜入場していい作業場かどうか〜
・トレースバックできる仕組み作り
・食堂もキャッシュレスに。食品工場内のICカードの利用のすすめ
食品安全教育研究所 代表 1958年1月北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、農場から食卓までの品質管理を実践中。これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハムソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け総菜工場、玉子加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。毎年100箇所以上の食品工場点検、教育を行っている。 |
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