食品安全教育研究所 代表 |
1958年1月北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、農場から食卓までの品質管理を実践中。これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハムソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け総菜工場、玉子加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。毎年100箇所以上の食品工場点検、教育を行っている。 【最新刊の案内】
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2019年4月から、残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることは、法律上は出来なくなりました。大企業への施行は2019年4月ですが、中小企業への適用は1年猶予され2020年4月となります。
36協定で45時間以上の残業を結ぶ事もできなくなってしまいました。
2019年4月から従業員の残業時間を把握していますか。残業時間は毎日累積で把握しないと、月末、年度末になってからでは対応ができない場合が出てしまいます。
売り上げ管理と同じように、従業員の残業時間を毎日把握し、「見える化」していますか。
従業員から見て、あなたの工場は、働きがいがあり、賃金の上昇が見込める、いい工場と思われていますか。
あなたの工場では、タイムカードをどこで打刻していますか。一般的な食品工場では、車で出勤し、駐車場に止め、➀正門を通り、➁更衣室で着替え、➂ローラーがけを行い、エアーシャワーを通過し、前掛けを着用し、➃手を洗い、手袋をして作業にあたります。
私は、正門で打刻すべきと考えます。退出の打刻も正門ですべきです。更衣室で髪の毛を整え、作業着に着替える行為は、作業中であるべきなのです。作業中であるからこそ、髪の毛のまとめ方を注意し、ローラーがけを注意し、手洗いの方法を指導できるはずです。
タイムカードを打刻する前の、無給中の動作を指導することはできないはずです。
定時が17時までの工場で、残業は何分後から計算していますか。15分後、30分後から計算していませんか。本来は1分後から計算すべきです。退出時にはタイムカードの前に行列ができてしまって1分では管理できないのであれば、ICカードなどで、打刻時間を短くする工夫が必要です。
残業時間を45時間に制限すると、毎月の支給額が減ってしまう従業員の方が出てしまいます。従業員の中には、残業を生活給、住宅ローンの返済などに考えて生活を設計している方がいます。現状は、残業時間が60時間必要な現場であれば、時間残業時間を45時間に制限する前に、作業改善を行い、生産性を上げて残業時間が45時間で同じ作業ができるように改善を行うべきです。
すなわち、残業時間を制限する前に、残業が多かった時期の従業員の支給額が減らないように給与体系を変更することが必要になります。
「働き方改革」は従業員の立場になって考え、働きがいがあり、賃金の上昇が期待できる工場になることが必要な事を忘れてはならないのです。残業分の賃金を減らすことが目的ではないはずです。
・ICチップカードの利用について 〜入場していい作業場かどうか〜
・食堂もキャッシュレスに。食品工場内のICカードの利用のすすめ
・清掃が工場管理の基本の基本 工場長の机は磨き込んでいますか
・残業の管理をどうすべきか