クレームが発生したときは、現物回収を行い、再発防止策を検討し、再発防止策を実施していると思います。現物回収を行い、現物を確認し、とりあえず再発しない防止策を現物確認から24時間以内に行うことが大切です。
24時間以内と言うのは、現物を確認したときに、クレーム品の拡散性がある場合は、クレームLOT以外のLOTの市場回収が必要になるかもしれないためです。
クレームの再発防止策は、「すぐに出来ること」、「ちょっとお金をかけて出来ること」、「従業員教育を受けていない方でもミスを行わない仕組みを作ること」の三段階で考えることが必要です。
例えば、チャタテ虫が製品に混入してしまったクレームを考えます。
チャタテ虫はカビが好物で、湿気のあるところに巣を作ります。小さな虫ですので、ゴミが混入したというクレームが、実はチャタテ虫だったという事例もあります。クレーム品を確認したところチャタテ虫と確認出来れば、すぐに作業場の清掃が必要になります。包装時に混入したのなら包装室、加熱調合時に混入したのなら加熱調合室の大掃除が必要になります。
「再発防止策は毎週きちんと掃除すること」をルールにすると、作業者の手抜きを原因にしてしまいがちですが、十分な従業員教育、訓練を行っていない従業員の方でも、ミスをしない仕組みを作り上げることが必要です。
包装室で、チャタテ虫の混入があったとします。
製品の残渣と湿気でカビが発生し、チャタテ虫が発生したのであれば、カビが発生しない環境を作りあげることが第一に必要です。包装室の温度管理を行っていても、湿度管理を行っている工場は少ないものです。毎日定期的に、温度、湿度の記録を取り、湿度を常に50%以下に保つ環境造りが必要です。更に残渣が設備等に溜まらないような工夫が必要です。天井の材質は石膏ボードなどではなく、表面が平らなパネル状にし、配管などもパネルの表面に無い状態を作り上げます。
また、包装機の足の高さあわせのアジャスターもネジが表面に出ている物がほとんどですが、このねじ部に埃がたまり、カビの要因になってしまいます。アジャスターの表面にネジ部の無い物が使用されている工場もあります。
このように、食品残渣が溜まらない構造、湿度管理を行うことが、従業員に頼らない再発防止策になるのです。
・更にクレームを減らすために 〜従業員教育のいらない管理〜
・食品工場の工場長の仕事とは 〜常に改善を求める姿勢が大切〜
・生産設備のデーターのバックアップ 〜停電してもデーターが残るか〜
・原料から最終商品への紐がつながるか 〜原材料、包装資材に問題があったら〜
・データの流出防止 〜パソコンなどの持ち出しを許可しているか〜
・ICチップカードの利用について 〜入場していい作業場かどうか〜
・食堂もキャッシュレスに。食品工場内のICカードの利用のすすめ
食品安全教育研究所 代表 1958年1月北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、農場から食卓までの品質管理を実践中。これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハムソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け総菜工場、玉子加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。毎年100箇所以上の食品工場点検、教育を行っている。 |
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