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【食品工場長向けコラム】 異物クレームを減らすために

2025/5/19 [食品,コラム]

今回の食品工場長向けコラムは「異物クレームを減らすために」と題して、日々の記録やクレーム要因の分析、自社でも現物回収後に検査や情報収集を行うことの重要性についてお話します。

目標を明確にする

食品工場の永遠の課題のひとつに、お客さまクレームを減らし続けることがあります。

充分に管理されている工場であれば、出荷単位100万個あたりのクレームは1件以下になります。よく言われる1ppm以下の管理になります。出荷額あたりでは、1億円でクレーム1件以下が良く管理されている工場になります。

このクレームには、配送段階や販売段階で発生した、いわゆる工場由来のクレーム以外も含まれます。

クレームを減らすためには、目標値を設定し、毎日クレームの発生件数、製造数量を記録し、何ppmになっているかを記録することが必要です。

クレーム削減のためには、毎日、数値に関心を持つことが第一歩になります。

過去の異物クレームの分析

昨年度の異物クレーム状況を分析し、発生数の多いクレームの要因を見つけることが大切です。

今回は、どこから異物が混入したかを分析する特性要因図を作成してみます。

異物混入はどこから入るのか

過去の異物クレームを、原料、設備、環境、作業者の四つに分類し、それぞれのクレームが各項目のどこから混入した可能性があるかをまとめてみます。

黒い異物は原因不明に分類しがちですが、私の経験ですと、ほとんどの黒い異物は作業場のカビが混入したものと思われます。外部分析機関に検査を依頼する前に、ポテト培地で培養してみると、明らかにカビであることがあります。

カビが発生している作業場で包装されたカステラなどで、シンナー臭がする場合があります。これもカビが要因の場合があります。

異物クレームを削減するためには、必ず、どこから混入したのか明確にする必要があります。

分析が必要

異物クレームの現物回収ができた時点で、すぐに外部分析機関に検査を依頼するのではなく、自社でどこから混入したか可能性をさぐるだけの分析が必要です。

断面の写真を撮り、磁性の確認を行い、自社の異物検査装置で排除できるかどうか等の最低の検査を行うべきです。顕微鏡で写真を撮ることで、ある程度は異物の可能性が探れるはずです。

異物クレームは、混入した要因をすぐに探り、他のLOTや製品に混入の可能性がないことをいち早く判断できる、情報を集めることが大切です。

いわゆる、危険異物、ガラス、石、金属、骨のクレームは、起こさない管理を目指しませんか。

異物クレームを減らすためのチェックポイント

  • 異物混入クレームの目標値が明確になっているか
  • 過去のクレーム分析ができているか
  • 危険異物クレームの分析ができているか

食品工場長向けコラムの記事一覧

・異物クレームを減らすために

工場改善の目標値はなにか 〜帳票を記帳する目的は〜

ICタグの利用について 〜危機管理、生産性管理での利用〜

更にクレームを減らすために 〜従業員教育のいらない管理〜

クレーム要因の区分 〜特性要因図の作成〜

クレームを更に減らすために

クレームの要因分析

災害時の対応について

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製造委託先の帳票管理について

入り数不足を無くするために

帳票に頼らない管理

知識の共有化について

包装フイルムのつなぎ方について

食品工場の工場長の仕事とは 〜常に改善を求める姿勢が大切〜

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原材料欠品防止について 〜原料庫の「見える化」〜

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問い合わせ電話の対応 〜専用電話で確認できること〜

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カミナリ対策に無停電装置が有効

生産帳票の確認について 〜出荷判定を確実に〜

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ICチップカードの利用について 〜入場していい作業場かどうか〜

帳票の管理について、クレーム発生時にすぐに確認ができるか

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帳票は毎日印刷すること

トレースバックできる仕組み作り

地域からの苦情の受付について

個人情報の取り扱いについて

危機管理センターの備えておくべき電気設備

危機管理センターの備えておくべき通信設備

危機管理センターという考え方

虫対策の必要性

殺菌の必要な設備の設計

こんな新設備の提案がほしい

ネット上の情報を確認していますか

ミス失敗の図書館が必要

安全衛生点検の必要性 〜転倒事故を防ぐために〜

コールセンターの必要性 〜違反の笛を吹くために〜

AI等の設備投資

食堂もキャッシュレスに。食品工場内のICカードの利用のすすめ

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通勤時の荷物について

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食品安全教育研究所 代表
河岸 宏和 氏

1958年1月北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、農場から食卓までの品質管理を実践中。これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハムソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け総菜工場、玉子加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。毎年100箇所以上の食品工場点検、教育を行っている。
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