私は工場管理の指導などで工場を訪問する際、責任者に「この工場はあと何年使用する予定ですか」と尋ねるようにしています。
「10年以上使用する予定です」「数年後に建て替えの予定です」といった返答によって、設備改善の考え方が大きく変わってくるからです。
「あなたは10年後、何歳になりますか?」
私はよくこのように年齢を尋ねます。年齢の質問には、多くの人がすぐに答えられます。
しかし、「10年後の売上はいくらを予定していますか?」「10年後の一人あたりの時間単価の売上はいくらですか?」といった質問には、明確な数字で答えられる責任者は多くありません。
ましてや、「10年後のパート従業員の時給をいくらで想定していますか?」と答えられる方は非常に少ないのが現状です。
5年前の実績を明確にし、今年の毎日の数値、来年の目標、3年後・10年後の目標値をすぐに答えられるよう、数値目標を設定することが重要です。
私は、高卒・大卒などの新卒社員を採用している企業は、30年後の数値目標も常に作成すべきだと考えています。
売上目標を設定している事業所でも、「一人一時間あたりの売上」や「従業員の時給の想定」まで考えているところは少ないものです。
「失われた30年」という表現がありますが、皆さんの工場でも、今後30年の目標値を明確に数値で考えることで、何をすべきかが見えてくるはずです。
名刺を例に考えてみてください。
私は2025年現在、初めてお会いする方とも名刺交換の頻度が減ってきました。
事前にメールで住所や名前などの必要な情報を登録できるようになったからです。
名刺を印刷し、交換し、保管するという行為が不要になってきているのです。
飛行機のチケットも、紙を印刷することなく、予約から搭乗まで完結できます。
10年後、あなたの工場の製造工程はどのように変化し、それに伴ってどのような設備投資が必要になると考えていますか?
従業員の時給を上げるためには、設備投資を行い、一人一時間あたりの売上を向上させる必要があります。
あなたは、原稿を見ずに「30年後の工場」についてプレゼンテーションができますか?
・将来の計画を立てているか 〜責任者は常に将来を考えること〜
・食品工場の工場長の仕事とは 〜常に改善を求める姿勢が大切〜
・生産設備のデーターのバックアップ 〜停電してもデーターが残るか〜
・原料から最終商品への紐がつながるか 〜原材料、包装資材に問題があったら〜
・データの流出防止 〜パソコンなどの持ち出しを許可しているか〜
・ICチップカードの利用について 〜入場していい作業場かどうか〜
・食堂もキャッシュレスに。食品工場内のICカードの利用のすすめ
食品安全教育研究所 代表 1958年1月北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、農場から食卓までの品質管理を実践中。これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハムソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け総菜工場、玉子加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。毎年100箇所以上の食品工場点検、教育を行っている。 |
食品業の経営者・マネージャーの皆さまへ