内閣府は2026年1月に新たに「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」を公表しました。これは従来の大規模地震対策に加え、遠地地震による津波・大雨や積雪・鉄道運休・大規模停電・通信障害等も含めて対応対象を拡大したものです。企業や自治体に対して、災害発生時の安全確保・出勤抑制・早めの帰宅判断などを推奨しています。
このガイドラインのポイントは、災害によって交通網が麻痺した場合に無理に出勤させず、帰宅困難者を増やさない対応を取ること、そして発災前・発災後の準備を行うことです。
■出勤を抑制・自宅待機を判断する基準例
あらかじめ社内ルールとして定めることが必要です。
・特別警報・警報が発令された場合 → 原則「自宅待機」
・主要交通機関が運休・大幅遅延の場合 → 出勤見合わせ
・震度5弱以上または余震が頻発する場合 → 自宅・社内安全確保優先
・災害発生後に被害状況が明確でない場合 → まず安否確認を優先
このように条件を定めておけば、上司の個別判断に頼らず、誰が見ても同じ行動がとれるルール化が可能になります。
■連絡方法の複線化(無料でできる対策)
災害時に電話だけでは連絡がつながりにくいため、以下のような複数チャネルの整備が重要です。
・LINEグループ(既読や返信で安否確認ができる)
・SNS(X、Facebook 等)での公式情報発信
・メール一斉配信
・SMS/グループメッセージ
・社内チャットアプリ
情報発信のポイントは、
・正確な情報だけを簡潔に伝えること
・重要事項は繰り返し発信すること
・従業員が確認しやすいタイミングで届けること
複線化により、どれか一つの手段が使えなくても他の方法で連絡が取れる可能性が高まります。
■従業員からの安否確認
連絡を“送るだけ”では不十分です。必ず返信・ステータスの確認手順を整えておく必要があります。
・LINEで「無事・被害あり・返信不要」などのスタンプ返信
・Googleフォームなどで簡単な安否入力
・緊急連絡リスト付きのチェック表により状況を把握
管理側は朝一番に、誰と連絡が取れているか/取れていないかを把握し、連絡が取れない場合は代替手段(電話・訪問等)の実施ルールも必要です。
■労務管理と労働時間の取り扱い
災害時の自宅待機は労働時間となるかについては、労基法上の解釈がケースごとに異なる可能性があります。例えば、いつでも連絡が取れ、出勤可能な状態である場合は「労働時間外」と判断される場合もありますが、行動制限がある場合は労働時間とされるケースもあります。内規や就業規則で明確に定めておくことが求められます。
■日常からの訓練と確認体制
出勤判断や安否確認は、災害が起きてから慌てて決めるものではありません。
日常的に下記を行っておくことが大切です。
・社員全員に安否確認手順を周知
・災害発生時の連絡手段を定期的にテスト
・BCP(事業継続計画)の訓練
・自然災害発生予測情報のチェック(前夜・早朝)
■安全第一が最優先
出勤か自宅待機かの判断、従業員への迅速な連絡・安否確認は、明確な基準・複線的な通信手段・日常からの訓練で確実に対応できることが必要です。
・災害発生時の従業員の安否確認について
・食品工場長が果たすべき「データ管理」の責任 ― 内部不正を防ぐために現場で見るべきポイント ―
・新工場を設計するときに注意すること 〜設計段階で将来を見据えること〜
・将来の計画を立てているか 〜責任者は常に将来を考えること〜
・食品工場の工場長の仕事とは 〜常に改善を求める姿勢が大切〜
・生産設備のデーターのバックアップ 〜停電してもデーターが残るか〜
・原料から最終商品への紐がつながるか 〜原材料、包装資材に問題があったら〜
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・ICチップカードの利用について 〜入場していい作業場かどうか〜
・食堂もキャッシュレスに。食品工場内のICカードの利用のすすめ
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食品安全教育研究所 代表 1958年1月北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、農場から食卓までの品質管理を実践中。これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハムソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け総菜工場、玉子加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。毎年100箇所以上の食品工場点検、教育を行っている。 |
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